(3) 今後の鉄道整備の基本的な方向
以上三つの視点から見た課題を整理し、今後の鉄道整備の基本的な方向について、鉄道ネットワーク機能の強化と利用しやすさの向上の観点からまとめると、以下の通りとなる。
○鉄道ネットワーク機能の強化の方向
鉄道ネットワーク機能の強化の交通対策として、具体的には次のような例があげられる。
[1] 混雑緩和(全ての区間で混雑率150%以下)
・ 運行本数増回、輸送需要に見合った列車種別や停車駅の見直しなどによる混雑緩和の推進、貨物線の旅客線化、既設線の延伸、新在路線の直通化などによる混雑緩和の推進
・ 代替路線の整備による混雑緩和の推進
・ 時差出勤等の奨励や多様な列車種別の利用促進などによる混雑緩和の推進
[2] 速達性の向上
・ 速度向上
・ 都心部の急行運転化
・ 新幹線駅へのアクセスの強化
[3] 広域交通機関との連携
・ 空港と都心部間の所要時間30分台
・ 空港への直通列車の運行
[4] 地域との連携
・ 利便性向上による開発プロジェクトの支援、都市再生
・ 駅周辺との一体的な整備
・ 公共交通不便地域の解消
[5] 輸送ニーズの多様化に対応したネットワークの形成
・ 輸送特性を踏まえた機種選定(高速鉄道、新交通システム、LRTなど)
[6] リダンダンシーを考慮したネットワークの形成
[7] 効率的な施設整備ならびに活用
・ 既存ストックの有効活用
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○利用しやすさの向上の交通施策
利用しやすさ向上に向けた交通施策として、具体的には次のような例があげられる。
[1] シームレスな公共交通ネットワークの形成
・ 相互直通化
・ ホームツウホーム化
・ 主要駅の乗換利便性向上
[2] バリアフリー施設整備の推進
[3] 適切な交通機関分担のための自動車から公共交通への誘導
[4] バス・自動車との連携
・ 駅アクセスの改善によるバス・自動車との乗継利便性の向上
[5] サービスの多様化・高度化
・ 運行頻度増回
・ 運行時間拡大(終電繰り下げなど)
・ 運行ダイヤの工夫などによる利便性向上
・ シームレスな運賃制度(連絡運輸拡充、共通運賃の導入など)
・ 共通乗車制度の拡充(ICカードの導入など)
・ 運行情報等の提供(IT技術の活用)
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図 4-6-1 今後の鉄道整備の基本的な方向