2.3 FEMによる設計法及び評価
2.3.1 動力伝達部品の解析
1段目インターナルギヤに的を絞り、遠心荷重と熱による影響を解析した。
解析結果を【図3.1〜3.4】に示すが何れも実績範囲内で問題ない。
【図3.1】 遠心力による応用解析 (最大32N/mm2)
【図3.2】 遠心力による変形解析 (最大0.061mm)
【図3.3】 熱変形解析 (最大0.27mm)
【図3.4】 円環の固有振動数解析例
2.3.2 歯車箱の解析
歯車箱の材質として軽量化のためアルミニューム鋳物で検討を進めた。下表にねずみ鋳鉄(FC250)とアルミニューム鋳物(AC4A−T6)の物性値比較を示す。周知の内容であるが、歯車箱におけるねずみ鋳鉄に対するアルミニューム鋳物の注意点は剛性と熱負荷特性である。ここでは荷重および熱による変形をFEM解析し内部の主要部品への影響を確認し歯車箱の設計手法を調査した。
物性値等の比較
項目 |
FC250 |
AC4A-T6 |
影響項目 |
引張り強さ N/mm2 |
245(t30) |
216(砂型) |
強度、質量 |
ヤング率 N/mm2 |
10.8e4 |
7.1e4 |
剛性、質量 |
硬度 |
HB241(t30) |
HB90 |
摩耗、加工性 |
線膨張係数 mm/℃ |
108e-6 |
226e-6 |
変形、鋳物巣 |
密度 g/m3 |
7.25 |
2.73 |
質量、騒音 |
2.3.2−1)荷重による変形
歯車箱の固定方法が変形具合に大きく影響することが推測されるため、簡易形状で数種類の固定方法による概略剛性を解析調査し、減速機軸芯付近を固定すれば良い事を確認した。試設計の歯車箱は軸芯全域を固定することが構造上難しいためリブの配置・形状・肉厚変更等で剛性変化を解析した結果、剛性の低い部分の肉厚をねずみ鋳鉄とアルミニューム鋳物のヤング率比で単純に増加することで対応可能であることを確認した。尚、変形具合の良否判断は通常設計におけるねずみ鋳鉄材での値を基準とした。
調査構造 |
肉厚14mm
アルミ |
肉厚14mm
アルミ、各種リブ |
肉厚14mm
ねずみ鋳鉄 |
一部肉厚20mm
アルミ |
最大変形 mm |
0.023 |
0.020 |
0.016 |
0.017 |
材質、肉厚の相異によるFEM解析図(変位mm)を示す。
【アルミ、肉厚14mm】
【アルミ、肉厚14mm、一部20mm】
【ねずみ鋳鉄、肉厚14mm】