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3.2.システム設計
3.2.1 想定システムに対する課題検討
 前記開発要件を想定システムであるパイロットランプ方式で具現化するための課題を抽出した。各課題への対策方案と製品化への可否判断を表2に示す。特にメンテナンスの期間(シーズン)管理においてはカレンダー(数字)情報の入出力が必須であることが分かった。数字情報の入出力手段を持たないランプ方式ではパソコンが必須となり、市場で受け入れられる製品とすることは困難であると判断した。
表2 パイロットランプ方式の課題
  課題 対策方案 可否判定
1 ランプ切れによる告知不能 モニター制御
2 同時多点灯による過熱不具合 電圧調整+時差点灯制御
3 別体ユニットによるハーネスコスト 型費抑制額と相殺
4 期間管理の設定入力にパソコンが必須 対策困難 ×
5 リセット操作者識別入力方法 ハードキー方式
 
3.2.2 課題達成手段の検討
 前記課題から想定していたパイロットランプ方式を断念、課題達成のための新方式の検討を開始した。当初パイロットランプ方式を立案した理由は、低コスト(型投資額小)で視認性にも優れることにあった。しかしながら、期間(シーズン)管理を実現するためにはカレンダー情報=数字の入出力ができる液晶表示器が適している。このため、製品化の面から型投資額を最小限に抑えた液晶表示器の開発が必要であるとの結論に達した。
 これを解決する手段として、日本精機(株)製品の中から本品へ流用可龍な液晶表示器ケースの提案を受けた。
 液晶モニターケースを利用した試作イメージを図2に、パイロットランプ方式との特徴比較を表3に示す。
z1063_01.jpg
図2 液晶方式試作イメージ
 
表3 特徴比較
  項目 パイロットランプ方式 液晶方式(型流用案)
1 システム構成 表示部/制御部が別体 表示部/制御部一体
2 機能 期間(シーズン)管理不可 時間/期間管理とも可
3 信頼性 ランプ寿命などに課題あり 固有問題なし
4 操作者識別 ハードキーによる識別のみ 数字によるID識別が可能
 
3.2.3 試作アウトライン
 試作方案を液晶方式として試作アウトラインを検討した。表4〜表7に概要を示す。
表4 試作アウトライン(ハード)
大項目 項目 内容 備考
システム 構成 表示/制御一体  
表示 主表示部 液晶表示器 略称:LCD
補助表示 発光ダイオード 略称:LED
夜間調光 LCDバックライト タイマー方式
音響告知 ブザー 気づきのための補助 運転中は鳴らさない
操作部 スイッチ 作業手袋着用で操作可  
電源 主電源 エンジン用バッテリ バックアップ不要
カレンダー 専用電池を内蔵 15年間交換不要
制御部 演算素子 8ビットマイクロプロセッサ フラッシュROM
データ記憶 不揮発性メモリ  
 
表5 試作アウトライン(メンテナンス管理)
大項目 項目 内容 備考
管理方式 運転時間管理 キースイッチ・オン時間積算  
油圧スイッチ・オフ時間積算  
期間管理 経過期間または予定日  
管理内容 メンテナンス項目 オイル他全7項目  
メンテナンス作業 点検と交換を区別して管理  
設定 スケジュール パターンNo.で一括入力 記憶容量:99パターン
各パターンとも補正可能  
セキュリティ 4桁ID入力 顧客領域はID不要
実施判定 リセット入力 ID入力有無で作業者を区別  
セキュリティ 作業者区分を記録 パソコンで記録確認可
履歴記録 入力日と先回からの経過時間 本体でも確認可
 
表6 試作アウトライン(制御機能)
大項目 項目 内容 備考
通常モード 通常表示 メンテ残時間、超過時間他 超過時:LED+ブザー
前回履歴確認 前回メンテ日、間隔時間 項目・作業毎に検索
次回予定確認 次回予定 項目毎に検索
メンテナンスモード 設定モード パターンNo./内容補正、ID ID入力が必要
履歴モード 使用開始からの全履歴を確認 ↑、項目作業毎に検索
リセットモード 専門作業者による入力 ↑、PCで作業者確認可
ユーザーリセット 顧客による入力 ID入力しない、↑
通信モード PC通信 各種設定・履歴確認他 RS232C方式
 
表7 試作アウトライン(信頼性目標抜粋)
  信頼性項目 条件
1 高温放置試験 85℃
2 高温高湿作動耐久試験 60℃、90%
3 低温放置試験 -30℃
4 低温作動耐久試験 -20℃
5 熱衝撃試験 -30℃⇔+80℃
6 振動耐久試験 10〜500Hz 3G
7 塩水噴霧試験 35℃ 5%
8 被水作動試験 JIS S1 (噴水)
9 耐サージ試験 JASO D 001/902
10 耐静電気試験 JASO D 001








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