3.実施内容
3.1 性能改善可能な油分濃度測定方法の調査
3.1.1 超音波照射測定法の調査
測定対象に超音波を照射し、透過光だけを測ることによって区別できる特性を使った油分濃度測定法の原理と除去効果の確認を調査した。
3.1.1.1 超音波照射測定法の測定原理
超音波照射測定法は超音波によってサンプル水の乳化を2回行ない、その透過光の変化で油分濃度を測定する。1回目の乳化で※SS成分や界面活性剤による透過光の変化はほぼ終り、2回目で油分だけが変化する。これにより2回目の測定値から1回目の測定値を引くことにより、油分だけの濃度測定を行なうことができる。測定のプロセスと測定原理を図1・1に示す。
【※SSとはSμ spended Solids の略である。ここでは油分以外のゴミを示す】
図1・1 超音波照射法による油分濃度測定の原理図
3.1.1.2 油以外の混入物の干渉除去効果
原理を基に製品化された弊社製品で不純物を混入し指示値の影響を調査した。
混入物[条件] |
混入濃度[ppm] |
計測指示値[ppm] |
なし |
なし |
15 |
ダスト |
10 |
15 |
カオリン |
50 |
14 |
墨汁 |
50 |
14 |
洗剤(Gp-100) |
7.5 |
15 |
洗剤(クリーン100) |
7.5 |
13 |
その結果、15ppmの低濃度では混入物が除去されている。しかし、高濃度になった場合、透過光変化に限界があると思われ、その対策方法を見出すことが課題となる。
その他の問題点と対策方法
1)超音波振動の駆動により高電圧が必要なためバラスト測定の防爆環境には不適。 対策方法は測定セル専用配管により防爆環境でなく安全域に設置する。
2)測定セルの構造が複雑であるため、ユーザでのメンテナンスに限界がある。 対策方法は超音波照射部及び油分検出部をユニット化する。
3)完全に乳化したエマルジョンについては誤差となる恐れがある。 対策方法は十分にエマルジョン化が終了しているような油水に対しては測定できないとの懸念から透過光変化とは別の油分測定方法で可能性の検討を行なった。
3.1.2 透過光・散乱光・反射光測定法の調査と実験確認
3.1.2.1 透過光・散乱光・反射光による油分測定方法
水以外の油と不純物での濁度変化を透過光受光素子で測定する。
油分からの散乱光を散乱光受光素子で測定することで油分測定する。
油分以外を反射光受光素子が受け、固体不純物の測定をする。
測定原理を図2・1に示す。
図2・1 測定原理
3.1.2.2 透過光・散乱光・反射光の実験
測定原理図2・1を基に測定セル(写真2・1)を製作し、測定濃度を0〜100ppmの範囲で軽油・試験ダスト・二酸化鉄を其々個別にサンプル水に混ぜて、軽油からは散乱光、試験ダストと二酸化鉄からは反射光の測定ができるかどうかを確認した。
写真2・1 センサー構造
その結果、散乱光は軽油・試験ダスト・二酸化鉄の全てから検出された。反射光は二酸化鉄のみ低い値で検出できた。しかしこの方法では測定物をはっきりと区別はできない。そこで受光素子の数を増やし、多角度に測れるセンサーを製作し再実験を試みた。また測定対象物を油と試験ダストの2点に絞った。
今後軽油を油分、試験ダストをSSと改名し実験を進める