渉外
1.IFとの折衝
各参加国際競技連盟(IF)との折衝は主にEメールで行われたが、毎年秋に開催されたGAISF年次総会では、AOCのプロモーション・ブースを設け、直接そのIFの会長や事務総長と話し合う機会をもった。
99年10月、大阪市で開催された第34回GAISF年次総会の際は、各IFの会長・事務総長を秋田に招待し、各競技会場を視察するなど個別具体な協議を行った。このほかにも個別に来秋した競技団体の担当者とは、その都度会場設営や競技運営に関して綿密な打ち合わせを行った。
2.VIP接週
(1)IWGA役員
大会期間中来秋したIWGA役員9人(医事委員2人を含む)のうち会長、副会長、事務総長の3人については、運転手付き専用車と英語の専属通訳を配置し、自由に活動できるようにした。また、医事委員を除く4人の役員については、2台の車と2人の雇用通訳を適宜割り振り、できるだけ希望どおりに活動できるよう配慮した。医事委員については、ドーピング・コントロール・チームとしてアテンド、通訳及び専用車を配置した。宿泊は、すべて本部ホテルの秋田キャッスルホテルに確保した。
(2)IWGA招待者
IWGA招待者の中で特別な接遇が必要となる所謂VIPは主に以下に掲げる方々であり、本部ホテルへ配宿するとともに、必要に応じて乗用車を手配し、競技会場視察等への便宜を図った。乗用車は運転手付きで、前日までに活動日程を聞き取りし、それに応じて配車を調整した。アテンドはIOC委員等のために雇用した通訳2人を適宜割り振ったほか、大会運営本部内で英会話可能な職員が行った。
・IWGA終身名誉会長/金 雲龍
・IOC副会長/ケバン・ゴスパー
・IOC委員/(Liaison Officer/連絡調整役員)猪谷千春(同伴者1人)
・IOC委員/GAISF副会長タマス・アジャン
・GAISF事務総長/ドン・ポーター
・IOCスポーツ・ディレクター/ギルバート・フェリー(同伴者2人)
・その他IOC委員(オランダ2人、台湾1人、香港1人、パキスタン3人、シンガポール2人)
これら以外のIWGA招待者は、基本的に本部ホテルへ配宿すると共に、各競技会場へのアクセスは、ホテルから出発する専用バスを利用してもらった。
3.入国手続き
第6回ワールドゲームズヘの参加選手・役員のうち、日本への入国に際して査証(ビザ)が必要となる国からの参加者の取り扱いについては、2000年9月頃より外務省等と協議を開始した。
ワールドゲームズはオリンピックに比べ内閣の了解(外務・法務の協力)を得られるほどの知名度がないこと、また参加選手の選出が競技団体毎に行われるため、参加国及び参加選手数等の確定が大会直前まで困難であることが予想されたことから、長野オリンピック等で採用された方式(IDカードに査証申請又は入国審査の際の証明能力を兼ねた機能を持たせる方式)は取れなかった。したがって、査証が必要な参加者については、通常の旅行者と同様、在外公館において本邦への「短期滞在査証」を取得し入国手続きを取ってもらうこととなった。(外務省の後援名義使用承認は2000年5月に取得済み)
査証申請に当たっては、在外公館での審査をスムーズに行ってもらえるよう、資格審査申請書(アクレディテーション・フォーム)を受領した場合には、「招へい状(招へい保証書/招へい理由書)」に加え、本人の写真入りの「参加申請確認通知書」を発行・郵送し、査証申請書と共に在外公館へ提出するように各参加者に案内した。しかし、「申請書」の到着の後れにより「通知書」の発行も遅れたこと、また申請後の参加者の交替等もあり、在外公館からの問合わせや事実確認等の連絡も多く、7月中旬から8月上旬にかけては、そうした事態への対応に追われた。
「招へい状」の発行に関しては、トラベルプランに記載される本邦への出入国のデータが必要となるが、6月21日時点でのトラベルプランの提出があまりにも少なかったため、当初予定していたデータベース・システムが全く活用できず、1人分ずつ作成しなければならなかった。
このため6月下旬から1ヶ月半ほどは終日「招へい状」の作成作業に追われることとなった。
外務省との協議は、大臣官房文化交流部人物交流課を窓口として継続し、特に査証に関して直接の所管となる領事移住部外国人課へも報告・協議を行った。8月はじめになって招へい状の様式等にかかる簡素化が認められ、またデータベース・システムも活用できるようになったことから、必要書類の作成はかなりスピードアップされることとなった。最終的に42ヶ国・地域の選手・役員968人分の招へい状を作成しEMS等で郵送した。
参加選手・役員の入国に際して直接所管することになる法務省入国管理局についても、2001年4月以降、担当者と連絡をとりながら調整を行った。トラベルプランの提出は依然低調であったが、最終的に8月10日時点での判明分を区切りとして全参加者に関する入国日程データを提出し、入国審査ができるだけスムーズに行われるよう依頼した。
なお、参加者全体の相当数が新東京国際(成田)空港経由で入国する見込みであったため、同空港公団へ出向きアドバイスを求めると共に、税関、動植防検疫、入国管理の成田空港の各担当窓口へも直接説明に出向き理解と協力をもとめた。幸いにして、入国時に審査等で問題となったケースは何も報告されなかった。
来会したIOCメンバー
  |
Name |
Country |
Remarks |
1 |
Gosper, Richard Kevan |
Australia |
AUS |
IOC Vice President |
2 |
Ajan, Tamas |
Hungary |
HUN |
GAISF Vice President |
3 |
Ali, Syed Shahid |
Pakistan |
PAK |
  |
4 |
Fok,Timothy Tsun Ting |
Hong Kong, China |
HKG |
  |
5 |
Geesink, Anthonius Johannes |
Netherlands |
NED |
  |
6 |
Grandi, Bruno |
Itary |
ITA |
FIG President |
7 |
Igaya, Chiharu |
Japan |
JPN |
  |
8 |
Kim, S.E. Un Yong |
Korea |
KOR |
GAISF President IWGA Hon. Founder President |
9 |
Ng, Ser Miang |
Singapore |
SIN |
  |
10 |
Wu, Ching-Kuo |
Chinese Taipei |
TPE |
  |
  |
  |
  |
  |
  |
  |
Felli, Gilbert |
Switzerland |
SUI |
IOC Sport Director |
来会したNOC
  |
NOC |
Country |
1 |
Belgium |
ベルギー |
BEL |
2 |
People's Republic of China |
中華人民共和国 |
CHN |
3 |
Colombia |
コロンビア |
COL |
4 |
Japan |
日本 |
JPA |
5 |
Korea |
大韓民国 |
KOR |
6 |
Netherlands |
オランダ |
NED |
7 |
South Africa |
南アフリカ |
RSA |
8 |
Chinese Taipei |
チャイニーズ・タイペイ |
TPE |
9 |
United States of America |
アメリカ合衆国 |
USA |
来会した各国政府系スポーツ団体
  |
Organization |
Country |
1 |
Spanish Sport Council |
スペイン |
ESP |
2 |
Hungarian Sports Confederation |
ハンガリー |
HUN |
3 |
Portuguese Sport Federation |
ポルトガル |
POR |
4 |
Singapore Sports Council |
シンガポール |
SIN |
5 |
Sports Authority of Thailand |
タイ |
THA |
通訳
1.計画
(1)雇用通訳
大会公用語を英語及び日本語とし、必要箇所に通訳者を配置することとした。通訳者の内、専門的な知識経験及び相当レベルの語学力が必要であり、一般的なボランティア通訳で対応困難と思われる業務については、業務委託を行うこととした。
(2)ボランティア通訳
各人の会話可能な言語、語学力のレベルにより選定・配置し、研修を行い通訳業務を行う他、雇用通訳のサポート業務を行うこととした。
通訳者配置場所
1) 大会本部
・メーンプレスセンター(MPC)
・国際放送センター(IBC)
・SOSセンター
・メーンアクレディテーションセンター(MAC)
2) VIP随行
3) 車両…競技団体輸送車両
4) 案内所…八橋運動公園、秋田駅、秋田空港、ワールドゲームズプラザ、秋田ふるさと村
5) 競技団体付き…各競技団体に1人
6) 競技会場付き…当該会場の競技実施日
2.実施内容
(1) 雇用通訳
(株)イー・シーと通訳派遣の業務委託契約を結び、延べ911人(実数98人)の通訳派遣を受けた。
大会公用語を英語及び日本語としたが、競技の特性上、他言語通訳の必要性の強い競技もあり、5競技については英語以外の通訳者が担当した。
競技に精通した通訳者の確保が困難なものもあり、4つの競技にあっては、競技団体推薦の通訳者を委託先に登録させたうえで派遣を受ける形態で対応した。
業務上、競技内容に関する通訳を特段必要としない競技の通訳については複数競技、複数会場を担当させることで通訳者の派遣人数の削減につとめた。
英語以外の言語の通訳者については、原則的に本部(SOSセンター)一括管理とし、各会場からの派遣要請に応じて派遣した。
  |
本部付き |
VIP随行 |
競技団体付き |
競技会場付き |
計 |
英 語 |
17 |
7 |
20 |
11 |
55 |
仏 語 |
5 |
  |
2 |
  |
7 |
独 語 |
4 |
  |
1 |
  |
5 |
西 語 |
6 |
  |
  |
  |
6 |
伊 語 |
4 |
  |
  |
  |
4 |
蘭 語 |
4 |
  |
1 |
  |
5 |
露 語 |
5 |
  |
1 |
  |
6 |
中国語 |
5 |
  |
  |
  |
5 |
ハングル |
5 |
  |
  |
  |
5 |
  |
55 |
7 |
25 |
11 |
98 |
大会期間中の雇用通訳者管理のため(株)イー・シーのコーディネーター3人が大会本部に常駐した。
(2) 語学ボランティア
ボランティア通訳という区分は行わず、ボランティアが担当する業務の内、相当レベルの語学力を必要とされるものについて、TOEIC−IPテストのスコアと自己申告の語学レベルに応じて配置を行った。
便宜的に「語学ボランティア」という括りとし、県内在住のネイティブスピーカー、相当レベルの語学力を持つ日本人ボランティアを各競技会場の選手・役員係等の主要箇所に配置した他、雇用通訳同様に本部付けとして競技会場等からの要請に基づいて派遣した。
3.問題点等
競技毎の参加国の確定が遅れたことから、各競技会場等で必要とされる言語の特定が出来ず、英語以外の言語に対する雇用通訳手配、語学ボランティアの配置に支障をきたした。
競技団体付き、競技会場付き雇用通訳の業務依頼内容について、競技団体と競技担当者との間で十分な確認が出来ず、現場での依頼業務の変更があった。