本日、ここ東京都において、第三〇回全国消防救助技術大会を開催いたしましたところ、中川消防庁長官殿、石原東京都知事殿をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、このように盛大に開会できますことを厚くお礼申し上げます。

　さて、この大会は、各種災害から地域住民の安全を守るため、全国から選抜された救助隊員が一堂に会し、救助技術の向上と錬磨、研さんを図ることなどを目的として、昭和四七年から日本財団の助成を受けて実施しているものであり、今回、三〇回目の記念すべき大会を迎えました。

　この間、我が国の消防救助技術は、隊員の皆さんのたゆまぬ訓練の積み重ねと、各消防本部並びに関係機関の各種資器材等の改良・開発、活用技術の研究により、着実に向上しております。

　また、各隊員は、本大会への参加を通じ、隊員相互の交流をはじめ、強靱な体力と精神力の養成など、多大な成果を挙げてまいりました。

　これらの成果は、国内の災害における緊急消防援助隊の活動はもとより、海外での国際消防救助隊の活動に遺憾なく発揮され、高い評価を得ております。

　しかしながら、近年における災害の様相は、都市化の進展や生活様式の多様化等に伴い、複雑・大規模化の傾向にあり、消防機関の行う救助活動もこれらの社会事象を反映して年々増加しております。

　また、昨年来、有珠山、三宅島の噴火災害をはじめ、豪雨災害や地震災害等が相次いで発生し、自然災害の脅威が住民の生活に大きな不安を与えております。

　このような状況から、地域住民の安全に対する関心は一段と高まっており、消防に寄せる期待はますます大きくなっております。

　参加隊員の皆さんは、本日の記念すべき第三〇回大会において、これまでの訓練成果を存分に発揮し、所期の目標を達成するとともに、今後、より一層救助技術の錬磨・向上に努め、地域住民の負託に応えられるよう切望するものであります。

　結びに、ご列席の皆様のますますのご健勝を祈念いたしまして挨拶といたします。