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新世紀への挑戦(Rescue Challenge in Tokyo)


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2001年8月8日
陸上会場 東京消防庁豊洲訓練場
水上会場 東京辰巳国際水泳場
 
 「−新世紀への挑戦− Rescue Challenge in Tokyo」をスローガンに、第三〇回全国消防救助技術大会が去る八月八日、東京都の東京消防庁豊洲訓練場において、中川消防庁長官をはじめ多くの来賓を迎えて盛大に挙行された。
 この大会は、全国の救助隊員が一堂に会し、日頃鍛え抜いた消防救助技術を披露するとともに、互いの知識・技術を交換することにより、ますます複雑多様化する災害現場に即応できる高度な救助技術と強靱な体力、精神力を養い、研さんするために、昭和四七年から日本財団の助成を受けて毎年開催しているものである。今大会は三〇回目の記念すべき大会となるとともに二一世紀初の大会であり、大会スローガンのとおり、新世紀における消防救助のさらなる飛躍を期待する大会となった。
 第一回、第四回大会の開催から、実に二六年ぶり三回目の大会開催となる東京都は、日本の首都として江戸開闢以来四〇〇年の歴史を有し、一、二〇〇万人都民が暮らす世界に冠たる国際都市であり、二一世紀を迎えてさらに活力と魅力にあふれ、人、もの、情報等が交流する「干客万来の世界都市・東京」の実現に向けた都市づくりが進められている。
 さて、大会当日は、猛暑が続いた七月とは打って変わって真夏を忘れさせるような爽やかな日となったが、これから檜舞台に立つ隊員たちの訓練に臨む意気込みや救助に対する情熱は、まさに炎天下の如く熱く燃えさかっていたに違いない。また、早朝より全国各地から応援に駆けつけた一般の方や消防関係者など約三、○○○名で埋め尽くされた会場内は、開会前から熱気と興奮に包まれ、熱き大会が始まるのを今か今かと待ち構えていた。
 午前九時、東京消防庁音楽隊の軽快な演奏に合わせ、全国九地区支部から選抜された九三九名の精鋭たちが堂々とした入場行進を行い、大会副会長である河内横浜市消防局長の開会宣言で二一世紀最初の大会の幕は開いた。
 開会式では、国旗・大会旗の掲揚後、消防使命達成のため殉職された消防職員の御霊に対して黙とうを捧げ、続いて、大会会長である杉村(財)全国消防協会会長、石原東京都知事のあいさつ、中川消防庁長官、?田(財)日本消防協会会長(代理・杉原理事長)の祝辞と続き、多数の方々からの祝電を代表して片山総務大臣からの祝電が披露された。さらに、大会審判長の渡邉北九州市消防局長による審判長指示の後、出場隊員を代表して東京消防庁の竹内展胤隊員が力強く隊員宣誓を行った。
 開会式の後、陸上会場では三宅島芸能同志会による「三宅島神着木遣り太鼓」とぞっこん町田'98による演舞「江戸の華」が、また水上会場では東京シンクロクラブによる「シンクロナイズドスイミング」が披露され、華麗な演技が会場内の張りつめた雰囲気を和らげた。
 いよいよ待ちに待った訓練の開始である。隊員たちの眼差しは一段と鋭くなり、出番に臨む。さすがに全国から選りすぐられた救助の精鋭たちばかりである。俊敏でしなやかな動き、強靱な体力、磨き抜かれた技を次々と披露していく。隊員が訓練を実施する度に、熱心に見守る観覧席からは激励と慰労の拍手が絶え間なく沸き起こり、会場内の盛り上がりはピークに達していった。
 この模様は、東京都の自治体衛星通信により全国へ配信され、各自治体においても隊員たちの勇姿がリアルタイムに映し出された。また、会場周辺では、隊員たちが互いの健闘を讃え合う姿や再会を誓う姿が随所で見受けられ、救助隊員の友好の輪は、新世紀においてより一層大きなものとなった。
 すべての訓練が終了し、未だ熱気と興奮がさめやらぬ中、東京消防庁音楽隊とカラーガーズ隊により良き日本を感じさせる演奏と息の合った演技が披露されると、先程まで息を呑んで訓練を見つめていた会場内は、にこやかな笑顔に包まれた「和」の空間へと変わっていった。
 閉会式では、大会副会長である中本広島市消防局長から「規律厳正かつ士気旺盛な活動を実施され、大変、意を強くしたところである。本大会に出場するまでの間、実践的な訓練の積み重ねによる救助技術と強靱な体力の習得の成果が、本日、遺憾なく発揮されたものと考える。地域住民の消防救助に対する期待の高まりの中、今後もより一層の救助技術の錬磨向上に努めていただきたい」との講評があった。国旗降納に続いて、大会旗が中村東京消防庁総務部長から次期開催地の石原名古屋市消防局長に引き継がれ、堅い握手が交わされた後、大会副会長である山口徳島市消防局長が閉会を宣言すると、真夏の大空に音高らかに花火が打ち上げられ、第三〇回大会は盛会のうちに幕を閉じた。
 猛暑の中、会場設営及び大会運営に当たられました東京消防庁の皆様に対し、衷心より感謝申し上げます。








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