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社会参加システム推進グループ
障害のある人もない人も、みんなが主役
「神奈川区サマーホリデーコンサート」(8/19)
 2002年から始まる学校完全5日制。「ゆとり」をもたらすはずのこの制度ですが、障害のある子どもたちや家族には「楽しんで活動できる場が少ない」「一人で楽しむことが難しい」などの理由により、逆に負担となってしまうケースも少なくありません。
 このような状況を踏まえて、神奈川県教育委員会のモデルケースとして、横浜市神奈川区と県立みどり養護学校が中心となり、「神奈川区ホリデースクール」の試みが行われています(ニユース&にゅーす特別版2001Vol.25参照)。ホリデースクールは昨年12月に第1回を実施して以来、今年10月まで計10回行われ、今年度4月からは、定期的に毎月第3日曜日に開催されています。
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司会は神奈川総合高校の2人がボランティアで参加
●サマーコンサートを開催しよう
 昨年12月から実施した3回のホリデースクールの反省をもとに、今年度の活動についてスタッフボランティアからいろいろな要望が出されました。
「ホリデースクールをもっと地域の方たちに知ってもらいたい」「もっと地域の人にボランティアとして参加してもらいたい」「障害者のことを広く理解してもらいたい」「障害児と一緒になって、多くの人が楽しめるイベントを開催しよう」
 早速、神奈川区の「生きがいキャッチアップ事業」の助成を申請し、コンサートの開催に向け、動き出しました。コンサートのテーマは、「地域、共生、ふれあい」。実施日は8月19日。夏休みの1日に障害のあるなしにかかわらず、老若男女を問わず、ステージに立ってみんなで楽しもう、というものです。
 実行委員を募ってコンサートの企画運営を行うことになり、4月末から毎月1回のペースで会合を重ねました。養護学校、地域の高校などに出演を依頼し、地域の方200人に参加してもらうことを目標に、準備を整えました。
●320人が楽しんだ!
 当日、みどり養護学校太鼓同好会の勇壮な和太鼓の響きでコンサートは幕を開けました。司会は総合高校の女子生徒2人。同じく総合高校の学生バンドによるボーカルとダンス。ダンスでは、会場の子どもたちも一緒になってフロアで踊り、ステージ・客席が一体となって盛り上がりました。横浜創英短期大学女子高等学校バトン部の華麗な演技。大道芸のピエロくんは障害のある方を主役にして大きな拍手を受けました。知的障害のある成人の方が集まり、毎月余暇活動を行っている友遊クラブのメンバーたちは手話を交えて「明日があるさ」の大合唱。みどり養護学校OBはロックソーラン節のリズムを体いっぱいに表現し、観客に元気を、感動を与えてくれました。
 「ピエロさんへお花ありがとうございました。ソーラン節にすごく感動しました。また、ぜひ来たいです」「音楽を通して、心が豊かになり、落ち着いたやさしい気持ちになりました。障害のある人もない人も一生懸命に一つのことに取り組むことの大切さ、このコンサートのさわやかさ等、他の人にもぜひ味わってもらいたいです」(コンサートアンケートより)
 この日の入場者数は、当初目標としていた200入をはるかに上回る320人。一人でも多くの方に参加してもらおうという目的は達成できました。会場では、ホリデースクールを紹介した展示コーナーなども設け、障害者への理解も呼びかけました。実行委員会では、今後も地域の様々な場所に協力を呼びかけ、コンサートを毎年開催することで、地域の誰もが参加し、楽しめる行事としてサマーコンサートを育てていきたいと思っています。
(悪原 義範)
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みどり養護学校の迫力あるロックソーラン節で会場内は大いに盛り上がる








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