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グループホーム推進グループ
住み慣れた地域で最後までふれあいのある暮らしを
 1960年代から70年代にかけての高度経済成長期に、全国各地の大都市圏に数多く建設されたニュータウンは今、多くの問題を抱えています。急増した生産人口の受け皿として急ピッチで建設された賃貸住宅団地、子世帯・親世帯との同居を前提にした間取りの広い分譲戸建て住宅団地など形はさまざまであっても、その抱える問題は共通しています。
 
(1)同世代の同時期一斉入居は30数年の時の経過によって高齢比率の異常に高い地域社会を出現させた。
(2)仕事第一の価値観が大勢を占めていた世代にとって自宅は「ねぐら」であり、地域に関心を持たずに過ごし、仕事を離れる時になって、地域からまったく浮き上がっている自分を発見し、うろたえることとなる。
(3)子世代、親世帯との同居を不可欠な前提として、重いローン負担までして手に入れた広い住まいで、家族観の変化による子世帯の独立などにより、多くの夫婦のみや単身の高齢者が新しいライフステージにふさわしい住まい方を求めながら、孤立した状況から抜け出せずに生活している。
 
 高齢者が切実に望むことは、住み慣れた多世代が交流する地域の中でお互いの自立と個性を尊重し、ふれあいながら生活することができる住まい方であると思います。どんなに設備が豪華で、至れり尽くせりの介助がされても、入居者一人ひとりの主体性が尊重されず、心のふれあいがなければ、幸せな暮らしとはいい難いものです。入居者が「世話を受ける人」でなく生活の主人公であり、職員は「世話をする人」でなく生活のパートナーであることが可能な、地域に溶け込んだ少人数の「新しい自宅」グループホームが注目されるのはその意味からです。現在、施設・老人ホームなどで館内をユニット毎に区切ってグループホーム的効果を上げる試みがされていますが、大いに歓迎したいと思います。
 当財団の推進する「ふれあい型」グループホームをはじめとする「共生型すまい」の全国ネットが本年6月をめどに結成準備中ですが、一日も早く全国の共生型すまいに関心のある皆様に新しい、まとまった情報を提供できるよう努力いたします。
(神谷 和夫)








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