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NPO法人の寄付税制について
昨年12月14日に与党3党による税制改正大綱が、また、それに先駆けて政府税調による発表が、その後、閣議決定がなされました。その結果、NPO法人に対する寄付税制支援が決まりましたが、その認定基準は大変厳しい内容となっています。一般には、NPO法人への寄付税制支援が決まってよかった、といった安易な声が聞こえてきますが、当然のことながら、NPO法人であればすべて該当するなどというものではありません。「認定NPO法人」となるためには、いくつもの認定基準があり、それらをクリアしなければ、寄付税制への道はありません。
そこで、一体、どの程度の福祉系NPO法人がクリアできるのかについて、当財団では、傾向を知るために23団体に緊急アンケートを行うべく、1両日でその答えをという要請を12月19日に行いました。その結果からすると、まず、家事援助サービス等を行うほとんどの福祉系NPOは、認定基準に該当しない、という予測通りの結果となりました。
問題の基準の第1は、「会員以外のサービス対象者が50%以上」というものです。ほとんどの団体は会員制を採っていることからすると、これで、ほぼ全滅です。第2は、「総収入に占める寄付金と助成金との割合が3分の1以上」という要件で、これに加えて総収入には「1者当たり計上できる上限額は、寄付金と助成金の合計額の2%」というもので、この要件でもクリアできるところはありません。そして、第3が広域を問う「同一の市町村外からの寄付金、活動、受益者のいずれかが20%以上」というものです。
そこで、「NPO促進税制に関する有識者会議」では、解釈通達等で、どれだけ広げた運用ができるのか、政党等へ訴えていくのと同時に、財団として、大蔵省(現財務省)主税局宛てに、要望及び確認事項を提出しました。また、「市民活動を支える制度をつくる会・シーズ」や「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」などの関係団体と政党のヒアリングなどに応じつつ、実態と認定基準とのかい離状況などを知らしめていき、また、中期的には、制度そのものを変えていく運動を展開していきます。
(奈良 環)