われら地域市民
できることかはじめよう
〜重度障害者の在宅勤務にも挑戦〜
沖電気工業株式会社
「ぜひこれは書いてください。世の中には身体に障害があるにもかかわらず、働きたくて大変な努カをし勉強している人が大勢います。私たちはその人たちを受け入れる社会をつくらなければなりません」と語るのは沖電気工業株式会社・社会頁献推進室の辻秀和部長。同社は1881年創立、創業1 20周年にあたる昨年は、全社員が年1回何らかのボランティア活動に参加するよう呼びかけるとともに、中国に小学校を建設したり、タンザニアの難民キャンプに古着を集めて寄贈したりと数々の記念事業を行った。
「当社には3つのパイオニア的な社会貢献事業があります。いずれも他社に先がけて行ったものです」と社会貢献推進室の木村良二室長。3つの事業とは、[1]1964年、一社員の提案により、品川事業所(当時)で国内で初めて企業の集団献血が行われ、現在まで全社挙げての事業所内献血を行っている、[2]2001年度より、上記献血と併せて骨髄バンクのドナー登録を開始、骨髄提供者にはそれに必要な特別休暇を与える、[3]3番目が冒頭に紹介した重度障害者の採用である。
同社は、98年6月より、重度障害者の在宅勤務というユニークな制度を開始した。
(拡大画面: 37 KB)
現在OKIグループで7名がパソコンとインターネツトを駆使してソフトウェア関連の仕事をしている。ネット上でパソコンを使い、電子メールや郵便のやりとりにより自宅に居ながらあたかも会社勤務のような環境で仕事をするチームで、「OKIネットワーカース」と名づけられた。設立の動機は2つある。98年に障害者の法定雇用率が1.6%から1.8%にアップしたのに対応するため、もう一つはIT関係の企業にもかかわらずITを生かした社会頁献活動があまりなかったことである。
仕事はホームページ作成やプログラム作成などバラエティーに富んだ付加価値の高いものが多い。グループ内外から仕事を取りまとめ複数の在宅障害者に仕事の指示をし、納期管理を行う管理者(リーダー)の存在はユーザーに安心感を与え、仕事をする者にとっても不安の解消になった。そのせいか今まで採用した者の退職がないというのも誇りである。
「自分に適したやりがいを感じる適量の仕事をし、達成感をしばしば味わっている。ただ現状で満足しているわけではなく、もっと高度な仕事をしたい」「在宅での仕事の不便さは、ユーザーと直に打ち合わせができない、複雑な説明がメールではできないなどと感じるが致命的ではない。ユーザーとの間に立つリーダーがうまく助けてくれる」というようなメンバーの感想が寄せられている。
「法定雇用率の未達成でペナルティーを払うのなら、その費用を活用して本来の障害者雇用を促進させるほうがいい。それに我々が直接協カすれば面白味もあるし、楽しいし、意義もあります。社員の意識も変わりますよ」と木村さん、将来「OKIネットワーカ−ズ」がOKIグループ技術集団の一翼を担うことをぜひ期待したい。
(取材・文/三上 彬)