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われら地域市民
ミツバチから学んだことを多くの人に伝えたい
株式会社山田養蜂場
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佐々木 純也さん
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子ども会が見学に
 「資料に従って応募しましたら当選で、良い本16冊を母校の小学校に寄贈させてもらいました。感激と喜びでいっぱいでした。企業としてこのような方法で社会貢献できるのも、違ったボランティアではないでしょうか」というファクスが、神奈川県藤沢市の読者・郡司知吉さんから本誌編集部に届いた。本の寄贈者は山田養蜂場と記してある。早速、岡山県津山市の近く鏡野(かがみの)町にある同社を訪ねた。
 山田養蜂場は、1948年の創業以来養蜂業を営み、蜂蜜やローヤルゼリーをはじめとするミツバチ産品の製造・販売を行っている。養蜂業者は全国に約7000あり、そのほとんどは個人営業。従業員300名、グループでの年間売上高約162億円という同社は、わが国最大級の養蜂会社である。通信販売によるる顧客とのコミュニケーションを大切にし、現在通信販売会員は約110万人という。同社文化広報室の佐々木純也室長にお会いした。
 「創業者の山田政雄会長が、心臓障害を持つ娘さんを何とか元気にしようと研究を重ね生まれたのが当社のローヤルゼリーです。この家族愛を事業の原点に据え、社会の一人ひとりが生きがいのある豊かな人生を送れるように、と願う気持ちが当社の社会貢献活動につながっています。ミツバチは花から蜜をとる、花はミツバチで受粉する、養蜂家は自然の邪魔をしないで花を咲かせる手伝いをする、という“共生“の仕組みを持つ養蜂業。私たちは多くのことをミツバチから学びました」と佐々木さん。
 同社は、毎年子どもたちに読んでもらいたい本を十数冊選定し、「みつばち文庫」として岡山県内の全小学校(養護学校も含む)及び公募で選ばれた県外の小学校に寄贈している。自然との共生によって成り立つ養蜂業に携わる者として、次代を担う子どもたちが「しぜん」「ひと」「いのち」の大切さを理解し、豊かな心を育むことにささやかでも役に立ちたいとの思いで「みつばち文庫」を選定している。1999年は650校、2000年は665校、2001年は1088校に図書を寄贈した。
 このほか、子どもたちに豊かな心を育んでほしいという思いを多くの方と共有したいという趣旨で開催している童話や絵本のコンクール(ミツバチの童話・絵本コンクール)、養蜂場に子どもたちを招き、実際の養蜂体験を通じてミツバチと自然の関係、人と自然との関係を学んでもらう体験学習教室(エコスクール)、養蜂場スタッフが小学校などの教育現場を訪問し、ミツバチに関する話から「自然環境の大切さ」や「いのちのつながり」などについて伝える出張授業(みつばち教室)なども毎年開催。さらに文化セミナー、蜂の巣型の風車の寄贈、ネパールをはじめとする開発途上国への教育・生活支援、植樹活動(3年間で5万本強)など幅広い社会貢献活動が行われている。
 「今、みつばちパークを作る計画を進めています。私たちの思いが少しずつ子どもたちの中へと広がっています」と佐々木さん。理想的な企業の社会参加活動の一つを見た気がした。(取材・文/三上 彬)
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2001年のみつばち文庫
第2会ミツバチの童話・絵本コンクール最優秀童話賞作品








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