日本財団 図書館


われら地域市民
子どもたちの笑顔が私を変えた
白石  徹さん
NPO法人グッドウィル(GOODWILL)代表
 
 「1993年に国際ボランティアに参加してフィリピンに行った時でした。バナナの木を植えたり井戸を掘ったりする活動を終えマニラ郊外にあるスモーキーマウンテン(ごみ捨て場)に行き、ごみを拾って食べたり売ったりして生活をしている子どもたちに会いました。私たちを拍手で迎えてくれた子どもたちの笑顔は、こんなに絶望的な生活をしているにもかかわらず素晴らしいものでした。将来の夢はと問うと、大人になるまで生きていることと言う。ほとんどの子どもたちは大人になるまでに病死してしまうのです。その笑顔を見ながら私は思わず涙を流していました」と話す新居浜市で建設業を営み愛媛県議会議員でもある白石徹さん。その後白石さんをボランティア活動に導くきっかけとなったのが、この時の涙だった。
 
z0030_01.jpg
GOODWILLバンドで自ら熱唱してチャリティーライブを盛り上げる白石さん(写真左)。フォーラムなどにも参加して地域づくりに情熱を燃やす
 以前から、ボランティアの人たちが明るく楽しく継続的に活動できるものをつくりたいと考えていた白石さん、JC(日本青年会議所)副会長の多忙な任務を終えた97年、ボランティアを行う団体が活発に活動できるようサポートする組織「GOODWILL」(グッドウイル)を設立、99年には愛媛県で2番目のNPO法人となった。
 GOODWILLが新居浜市内にオープンしたボランティアショップは、障害者や高齢者の手作り商品、海外NGOの商品、地域のまちづくり団体の商品などを販売し、その売り上げの一部を基金(GOODWILLボランティア基金)にし、ボランティア団体への支援金として配分している。これまでに500万円弱の支援金が約40の団体に提供された。支援先は審査委員により公開審査会で公正に決められている。その後、地元の障害者団体や全国のNPOと協力しながらインターネット上にボランティアショップをオープンさせるなど、情報化の時代に即した白石さんの意欲的な活動が続いている。
 撤退したスーパーの空き店舗ではお化け屋敷を開催したり県内のバンドマン達を集めて手作りのチャリティーコンサートを行うなど基金集めにも知恵を絞っている。「私もGOODWILLというバンドを持っています。CDも2枚ほど出しているバンドですよ。ライブでの収益はもちろん基金に…」。ボランティア活動のほか経営者・政治家など何足ものわらじを履き多忙な白石さん。「GOODWILLをつくり、一人でも多くの人が助け合いのある活動に参加できる“仕組み”づくりをしてきましたが限界も感じています。行政に対し、NPOへも中小企業と同様の資金支援枠を設定してもらうこととNPOの公益性を審査する第三者機関をつくることを提言し、NPOへの理解を深めてもらうよう努力したい」という。
 「今後はボランタリーな気持ちを持った人間をどんどん育てたい」という夢を追って奔走する氏への期待は益々高まる。
(取材・文/三上 彬)








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION