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ありがとうを循環する地域通貨 8
 今月は兵庫県宝塚市の「宝塚エコマネー」をご紹介します。エコマネーとは、エコロジー、コミュニティ、エコノミーを意味する地域通貨の一つです。日本各地で行われており、阪神・淡路大震災後に地域住民のつながりをさらに深めようと、宝塚市でも取り組みが始まりました。
宝塚エコマネー
 宝塚市は人口約21万人の住宅都市です。NPO法人宝塚NPOセンター、宝塚市などを中心に、「地域で人々の新しい結びつきを促し、互いに支え合う仕組みとしての有効性を図る」ことを目的にエコマネーを実験的に導入することが提案され、2000年6月に市内全域を対象に20のまちづくり協議会(概ね小学校区を単位に設置)を通して第1回の実験参加の呼びかけを行いました。その結果4つのまちづくり協議会(「中山台コミュニティ連合会」「一小校区コミュニティ」「コミュニティすみれ」「光が丘」)とNPO法人めふのお家が地域の窓口を開き、それ以外の地域ではN PO法人宝塚NPOセンターか窓口となりました。
 実験期間は2000年8月10日から2か月間、189人が参加しました。宝塚エコマネー実験運営委員会が運営に当たり、実験の側面支援としてサポート委員会か設けられました。エコマネーの呼称は宝塚にちなんて「ZUKA」(づか)としました。
 第1回の実験ては1000ZUKAと100ZUKAの紙券が用いられ、参加申込時に各10枚が手渡されます。サービスの交換は30分=1000ZUKAを目安としました。サービスの依頼は、会員の提案したサービスメニューリストと会員名簿を参照して、個人が直接提供者に申し込みます。第1回で流通したサービスは、パソコン指導、園芸、手芸、調理、外出介助、翻訳、地域の清掃活動などです。
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パソコンできれいにテザインされたZUKA
(約15cm×8cmの大きさ)
 実験終了後のアンケートによれば74%が「参加してよかった」と回答し、85%が「次回も参加したい」、28%が「新しい知り合いが増えた」と概ね好評で、地域の運営委員も継続して普及させたいとの意向を示しました。また、第1回実験で明らかになった課題の改善に向けてエコマネースクールを開催し、地域の人材育成に当たりました。
 第2回の実験は、2001年6月1日(地域によって変更あり)から6か月間です。テーマを「コミュニティの活性と環境(エコロジー)」とし、社会貢献活動の一環として(株)ダイエーの協力が得られました。参加地域と流通の仕組みは第1回と同様ですが、直接交渉することへの抵抗感をなくすため、地域ごとに調整役が置かれています。今回は1000ZUKAだけを用いることとしています。参加者は前回をはるかに上回って、9月末で約470人となっています。市民、NPO、企業、行政が協働する新しい仕組みづくりの過程がまちづくりであり、コミュニティの活性につながります。
(宝塚エコマネー実験運営委員会事務局 山本麗子)








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