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エッセイ・連載
ありがとうを循環する地域通貨 5
レッツチタ
 「レッツチタ」は愛知県知多半島(5市5町)の「チタ(知多)」と地域通貨「レッツ」とを組み合わせて、みんなで地域通貨チタを使おうと名付けられたグループで、地域通貨を循環させることで知多半島の環境、教育、福祉まちづくりなどを活性化し、崩れつつあるコミュニティーを再構築しようと活動しています。現在の会員は約90名と1団体です。2000年の春から1年間の試行期間を経て、その経験をもとにシステムを新たに整備し直し、2年目を迎えています。
 レッツチタは、大福帳(通帳)を使い単位を「チタ」として取引を行う形式です。銀行の通帳をイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。たとえば、サービスをしてもらったら大福帳のマイナス欄、サービスをしたらプラス欄に記入します。この場合の交換の基準は1チタを1円相当としていますが、値段はお互いに話し合って自由に決めることができます。
 
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感謝証書/サービスやモノを提供してもらったお礼に、自分のサインをして右側部分を切り取って相手に渡す。
 
 会員になるためには、入会時に入会金2500円と2000チタを事務局に支払い、登録シートに「提供できるサービス・モノ」「希望するサービス・モノ」などを記入し、会員登録をします。サービスリストは2か月に1度更新され、提供できるサービス、希望するサービスなどがあれば、会員はこの中から選んで、各自で交渉するのが原則です。けれども、事務局で紹介してもらったり、事務局主催のイベントなどに参加して相手を自分の目で確かめてからお願いする人も多いようです。
 サービスリストには、ベビーシッター、留守番、送迎、コンピュータ指導から料理指導、占いなど様々な内容が並んでいます。大福帳に加えて、今年から新たに感謝証書という借用証書形式の証書を併用することとなりました。レッツチタでは地域通貨が使えるフリーマーケットを開催していますが、このような場合には、一度にたくさんのモノを交換するため、いちいち大福帳に記帳するのは面倒だという会員の声に応えたものです。感謝証書の種類は100チタ、500チタ、1000チタの3種類です。サービスやモノを受けて感謝したい相手に対して、感謝証書の表面に自分のサインを書き込み、2人目からは裏面にサインしながら感謝の気持ちを循環させていきます。
 
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大福帳/会員各自が持つ大福帳。入会時は2000チタを事務局に支払うため、マイナス2000チタからスタートする
 
 今年はイベントなど会員の出会える場を提供していくとともに、地域通貨を必要としている市民団体やNPO、主婦、農業者や商業者、教育関係者、学生等と交流しながら、どのように導入すれば生活に根づいた、地域の中で循環する生きたチタになるのかをともに話し合い、実行していけるよう展開したいと思います。
(レッツチタ代表 杉浦明巳)








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