ありがとうを循環する 地域通貨 4
今回は、地域通貨の国内編として、愛媛県新居浜市大島の「わくわく通貨」を紹介します。
軒先に掲げられた「わくわく旗」は「助けて」のお願いの合図
2000年5月から「わくわく」という地域通貨の取り組みをNPO法人わくわくアイランド大島が行っています。
2000年7月の時点で、会員数は27人、今年2月の時点では50人います。会員の平均年齢は、67歳です。
新居浜市大島は、周囲8キロの島であり、人口377人、世帯数170、高齢化率57%、島内の平均年齢は59歳です。可住地域は非常に狭く、波止場の周辺に家が密集しており、公共施設は小学校と特定郵便局だけです。
わくわく通貨は、基本的にはライムダラーの考え方をもとに、1時間のサービスに対して、1点のクレジットを渡すというものですが、タイムダラーと大きく違うのは、口座上のやりとりではなく、わくわく通貨という紙券を事務局が発行し、やりとりをするシステムとしていることです。また、その内容は「わくわくカード」というサービス記録簿に記入します。また、愛媛県関前村の「だんだん」のシステムを参考としています。
会員登録時、また定期的に配布されるサービスメニューは、個人間のやりとりをする際の参考となります。たとえばメニューには、買い物(島内外)・おつかい(島内外)・車での送迎・モーニングコール.重い物の持ち運び・庭の草抜き・裁縫などが載っています。入会すると事務局から10枚の「わくわく」という紙券をもらい、それを使ってやりとりします。
働く世代をいかに取り込むか?
皆が参加しやすいシステムを
サービスのやりとりには、2種類の方法があります。1つは、会員間のやりとりです。これは会員同士が直接交渉したり、事務局にコーディネートしてもらったりして行います。また、「わくわく旗」というものをつくっていて、これを軒先に掲げておくと、会員か御用聞きをしたり、その場でサービスをしてくれたりします。いずれもサービスの提供側は、わくわく通貨をお礼としてもらいます。
もう一つは、事務局主催の共同作業に会員が参加するものです。対価にわくわく通貨が事務局から渡されます。プログラムには、公園の清掃や、かぶと虫農園の掃除・世話などがあります。こうした共同作業を通じてお互いが知り合い、連帯感を共有することによって、地域通貨のやりとりを活発化していくきっかけづくりがなされていく効果があるようです。
“心豊かに老いて行けるコミュニティーの創造”というメンバーたちの熱い思いを形にして1年余り。今後はさらに幅広い人々、たとえば、30代から40代の若い漁師など仕事を持っている男性たちも気軽に参加してもらえるプログラムの工夫、仕組みづくりも考えながら、「わくわく」をきっかけとした温かい地域づくりを目指していきます。
(原稿協力/東京大学大学院総合文化研究科博士課程泉留維)