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特集 新しいふれあい社会を考える
「お金をつくろう!」
 ボランティアやNPO活動の現場はヒト・モノ・カネのないない尽くし。「そんな中でやりくりするのもボランティアならではの楽しさヨ」とは言え、特に活動基盤を支える資金不足は大きな悩みのタネだ。組織として活動していくにはある程度のお金は不可欠。さて、いったいどうやって工面すればいいのだろう?「さぁ、言おう」にはそんな“苦労の声”が時々届いている。そこで今月号では、これまで皆さんから寄せられた工夫の実例や改めて集めた情報をまとめてみた。活動している人もまだ活動してない人も、あなたの身近なところでの資金づくり、一緒に考えてみませんか?
日頃の積み重ねで地道に捻出
 
「つもり貯金」でこつこつ貯める
 通常、草の根団体では資金集めの基礎として会費制を取っているところが多い。そこで今回は敢えて会費以外の工夫に焦点を当ててみた。とにかくお金お金といってもそう簡単にまとまった資金は手に入らない。まずは地道に身近なところから貯める工夫が一番だ。たとえばボランティア活動の現場では、多くの場合、活動者の交通費は自らの自己負担。そこでこんな工夫をしている団体がある。
 
高齢者福祉施設に洗濯奉仕に集まるグループ「月曜会」
(茨城県牛久市)では、月に2回、メンバーが普段バスに乗る距離をこの日ばかりは自転車にして往復400円の「つもり貯金」を行っている。これで1年間に1人当たり1万円近くを捻出した。幼稚園の親の会が発展して続けてきた活動なのでメンバーはほとんど40〜50代。健康維持にもつながるまさに一石二鳥の方法だ。貯まったお金は皆が研修や集会など遠くに出かける場合や、緊急時等に活用している。
 
バザーはミニから始めよう
 バザーやフリーマーケットは工夫と努力次第で収益を上げやすい。大規模に行うものを考えるのではなく、まずはミニバザーから始めてみてはどうだろう。たとえば団体事務所(自宅の場合も)や会合などで集まる場所に各自が家から品物(野菜、乾物、インスタント食品類)を持ち寄り募金箱を置いておくという例もある。“いつでもどこでも”の心意気で、気軽に継続していけばそれなりの収入になっていく。
 
「CO・CO(ココ)湘南台」(神奈川県藤沢市)は、以前、本誌99年5月号でもご紹介したが、地域の勉強会から育っていった市民の手によるグループホーム。見学者が絶えないことから工夫して、ベランダにいつも仲間の作った野菜や手作り品を置いて購入してもらえるようにしている。
 
「たすけあい遠州」(静岡県袋井市)では、「縁側ショップ」と名付けて近隣の農家が作った野菜類や「ごっつぉうハウス」で作ったお弁当等を毎週販売し、その1割を団体の収入としている。大きな額ではないが、それによって人が集まってくるという楽しさを大事にしたい、という姿勢。このごろは一角に自分たちの作ったものを売る「テナント方式」も採用している。
 
「はっぴいわん」(愛知県常滑市)では、リビングの一角の木綿工房のコーナーにブローチや絵など手作り品を置いている。はっぴいわんの主な活動は「食事付きミニデイサービス」で600円。そこでなるべく大勢の人に出入りしてもらう工夫をしながら、200円のコーヒーを飲んだり手作り品を買ってもらったりして、赤字にならないよう努力しているという。
「年間を通じて各種イベント、行事、生きがい教室など老若男女が市内はもとより近隣から集まってくるので建物に出入りする延べ人数はすごい数になると思う。1年ではかなり大きな金額になり、招聘した講演料やガソリン代になって助かっている」と代表の久保田久代さんは語る。「あまりにたくさんの人が使ってトイレが壊れた」と笑う久保田さんだが、たくさんの人を惹きつけるコツは、生きがい教室でも講演でも質を落とさずあくまで本物志向でいくことだ、という。
 
「西須磨だんらん」(兵庫県神戸市)では、地域密着型という団体の性格を考えて、地域のお祭りやガレージセール、フリーマーケットにはできるだけ日用雑貨の店を出店することにしている。こちらも収益だけを目的にせず、地元の人との交流の場確保に重点を置いている。日頃のこうした地域参加は、団体の存在をPRするには絶好の機会。それが将来、寄付や会費という「お金」になって戻ってくることにもなる。
 
 話を聞いてみると、工夫を重ねている団体は、普段から地元の人たちとの地道な交流の積み重ねの中で、収益につながるアイデアをあれこれと実行している。逆にいえば、日頃からの地域内でのつながりができていなければ、「お金」「お金」と必要な時だけ必死になっても、そうは簡単にはいかないということだ。








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