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新連載
近隣助け合いのヒント 「助けて」と言えますか?[1]
自分から手を挙げよう
(さわやか福祉財団地域助け合い普及事業リーダー)
石井 利枝
 皆さんは身近な人で気にかかる方はいますか?その人がなぜ気にかかるのでしょうか?その気にかかる人は何か困り事がありますか?
 その人を助けてくれる人はいますか?では、皆さん自身が何か困ったときに「助けて」と気軽に声を掛け合って助け助けられる関係の方はいますか?困ったときはお互いさまと気軽に助け合える人が近くにいたら安心だと思いませんか?まさか、「助けて」と言って「助けてもらう」なんてあまり考えたこともないかもしれませんね。ある町では「助けて」と言われたら「助ける」という人が約60%を超えていたという調査結果があります。私たちは「助けて」と言われれば気軽に喜んで助けます。でも、なぜか自分からちょっと困ったときに「助けて」と言う発想がなかなか出てきません。なぜ、私たちは普段からちょっと困ったときに気軽に「助けて」という言葉が出ないのでしょうか?
 さわやか福祉財団では、近隣の助け合いを地域の中で広げて行くことの中で、地域では普段から「助けて」と言い慣れていないことに着目しました。「助けて」と言えない、または言い慣れない人たちに気軽に「助けて」と言えるための手法を提案するための「近隣助け合い推進委員会」を木原孝久座長のもと行いました。その委員会の中で提案されたものをまとめ、近々出版する予定です。そこで、次回からはこの誌面を通じた隔月のシリーズで、「助けて」と言えるための提案をしていきます。でも、ひと口に近隣の助け合いとはいっても向こう三軒両隣の助け合いから小地域内における助け合いやグループなどによって行われるものまで幅広くあります。つまり近隣の助け合いは「これだ」「こうやればできる」と決められるものでもなく、地域の風土や近隣助け合いをする人たちによって様々な姿や形があります。そこで、この誌面ではぜひ、読者の皆さんにも参加していただき、一緒に近隣の助け合いを考えていきたいと思います。
 さて、最初に戻って、皆さんは「助けて」と言えますか?ちょっと思い浮かべてみてください。「あの人になら助けてと言える」という人はいませんか?きっとどなたでも最低一人くらいはいるのではないでしょうか?もっとよく考えてみると、「ああ、小さなことだけれど助け、助けられてる」と思い出す方もいるのではないでしょうか?たとえば、おかずのおすそわけやついでの買い物、自分の家の前の掃除のついでにお隣さんとお向かいさんの家の前も掃除をしたということはだいたい経験があることではないでしょうか。近隣の助け合いはきっとそんな小さなことの積み重ねだったり、それが少し発展して近隣の人たちで継続的に声を掛け合ったり、助け合ったりとしたものではないかと思うのです。
 皆さんの最も身近な助け合いのヒント、今日からでも始められる気軽で小さな助け合いがあります。それはゴミ出しです。お年寄りや体の不自由な方、産後間もない方のご家庭などで結構困っているという人が多いはずです。もし、周りにそういう方がいたら、自分の家のゴミを出すついでに、ちょっと気軽に(勇気を持って)声を掛けてみてください。きっと「助かるわ、ありがとう」の声が返ってきますよ。








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