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ありがとうを循環する地域通貨 1
 さわやか福祉財団では、これまでの「ふれあい切符」(時間預託制度)や「ふれあいシール」、巷で言われている“地域通貨“、エコマネーなどを包含して「地域通貨」とし、「地域通貨推進事業」を独立させて2001年度から事業展開していくことになりました。また、本誌でも今月号から順次、各地で行われている地域通貨を紹介していきます。そこで、今回は、地域通貨とはどんなものかについて簡単にご紹介します。
「地域通貨」って、なあに?
 「地域通貨」とは、互いに助けられ支え合うサービスや行為を、時間や点数、自分たちでデザインした、いわば、おもちゃの「紙幣」などで表現して、これを「通貨」としてサービスや財(自分の持っているもの)と交換するシステムをいいます。
 「愛と信頼の通貨」とか、「くるくる通貨」とか、「地域通貨」を取り入れている団体やグループは、国の通貨(日本でいえば「円」)との違いをわかりやすく表現しようとしていますが、こうした運動は、1980年の初期から世界各地で実践されています。これらの取り組みの背景にあるのは、経済至上主義のグローバリゼーションが引き起こしたひずみを是正し、地域の人々が知恵や汗や才能を、時間を出し合って、市場経済とは全く別の新しい価値観を形成し、地域で自分たち独自の通貨を循環させながら、コミュニティーの再構築を、支え合いの地域づくりをしていこうというもので、日本でも「ふれあい切符制度」(時間預託制度)をはじめとして、草の根的に、自発的に発展しています。
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 さわやか福祉財団が愛媛県の委託を受けて昨年編集・
監修した地域通貨の冊子
地域通貨の基本的特徴は…
 国の信用力によるものではなく、顔の見える地域内において、人と人との温かい信頼関係を基本原則とする上で、「地域通貨」は成り立ちます。また、国の通貨との関連でいえば、利子を生む機能や、お金として貸す機能は「地域通貨」自体にはなく、さらに、お金として貯める機能もありません。サービスや財を交換することに意味があるのであって、地域通貨を貯めて持っているからといって、サービスや財を返す義務(債権性)や財産性に重点はないのです。また、「地域通貨」は、限られた地域で交換されることが原則であり、よく、全国流通化が先にうたわれることがありますが、第二義的にネットワークがあるとしても、ネットワークが先にあるということではありません。さらに、国の通貨との交換は原則としてありません。
 経済至上主義は、人々の尊厳や地域経済を破壊し、資源の浪費などといった弊害を生んできましたが、「地域通貨」は、そうした弊害から、地域の人々を保護するという社会的な機能を有しています。また、これまで、一般市場で活かされなかった能力、特に、子どもたちや高齢者の力をも活かす有効なツールの一つだといってよいでしょう。
「地域通貨」の表現方法は…
 団体やグループによって、「地域通貨」の表現方法はさまざまです。おもちゃのチップだったり、独自にデザインした紙幣方式だったり、大福帳方式、借用証書方式など、一律ではなく、それぞれに工夫しています。
 こうした点については、次号から紹介していくことにしましょう。








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