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特集・新しいふれあい社会を考える 投稿特集
もっと介護に親しむために
介護ビデオってどこにあるの?
 方木 修一さん 64歳 福岡県
 
 「90歳の父と85歳の母に介護が必要になったとき、可能ならば“私と妻の手で…“との思いから3級ヘルパーの講習を受けました。習ったことを忘れないために自習用のビデオテープを探したのですが、ほとんど市販されていないのですね。介護関連の施設の図書室、資料室などで貸し出していますが結構不便です。自費で購入するには少々高過ぎます。もちろん借りてダビングすることも禁止されていますから、将来介護が必要になる父や母と介護テープを見ながら、その時のことを語り合うチャンスもありません。日常的に介護に親しむために、介護ビデオテープの安価な市販、あるいは公共図書館でのダビング等、もっと必要に即した法の適用や市場の対応が望まれます」
 
 投稿者の方木さんが指摘する通り、介護の基礎的な知識はこれからもっと誰もが広く心得ていていいものだろう。もちろん人の身体にかかわることだから、生半可な知識や技術だけで対応できるものでもなく、それぞれに必要な経験はあるが、とはいえ、家族のために、あるいはいずれ自分が介護を受ける身になった時のためにも、関心を持って勉強しておけば役に立つ。実際に、介護ビデオを見て勉強したいという人も増えているという。今回はその普及の現状を探ってみた。
 
購入する場合
 
 一般のビデオに比べればまだ少ないとはいえ、最近は結構多彩になってきたようだ。学研やNH Kといった大手の制作や、テレビ放映の再編集もの、市や町で制作したもの、あるいは研修教材用ビデオなどがあり、アニメーションによるものもある。価格も投稿にある通り全体的に高いが、比較的手頃なところで、NHKきょうの健康シリーズ「家庭の医学」3800円などがあった(その他、筒井書房の「民間デイケア」全5巻は分売可能ながら1巻8000円。暮らしの映像社「後藤栄子の在宅介護教室」全5巻で1万8000円等)。ただし一般の書店やCD店などにはほとんど置いていないため(試しにいくつか確認したが全滅)、取り寄せになる。その場合は値段も当然ながら、中身を見て買うことができないから内容や収録時間(金額の割に短い?)などを事前に十分にチェックしておこう。
 
借りる場合
 
 レンタルショップ…レンタル大手の「TSUTAYA」本部に聞いてみた。過去に介護ビデオを置く企画はあったが残念ながら実現には至らなかったという。ただし今後も要望があれば検討していきたいとのこと。高齢社会の将来を考えれば需要はあるはずで、いずれは店頭に並ぶ日も近い?
 図書館…今の図書館は結構すすんでいる。書籍だけでなくビデオテープ、カセットテープ、 CDなど視聴覚機材も要望に応じて利用できるところは少なくない。ただし介護ビデオについては、中央図書館から地域の図書館に回して貸し出しするところもあれば、まったく対応していないところもあり、とさまざまだ。中では宮城県の県立図書館内「音と映像のフロア」に全20巻の在宅介護のシリーズがあると紹介してくれて応対も親切だった。
 利用者としては、書籍の注文と同じように介護ビデオの取り扱いを要求していきたいもの。ぜひ最寄りの図書館に問い合わせてみよう。
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福岡にある「ふくふくプラザ福祉図書館」では400を超えるビデオリストを準備
 福祉施設等…県や市の社会福祉協議会の図書室、資料室にはだいたい揃っているようだ。その場で見ることも貸し出しも無料で可能。一巻ものの入門は「在宅介護をはじめる人のために」(全国社会福祉協議会企画、生命保険協会助成)があり、市販はされていないが最寄りの社会福祉協議会に問い合わせれば必ず置いてあるとのことなのでチェックしてみよう。
 
 ただしいずれの場合も、投稿者がいうとおり、個人レベルでの「気軽なダビング」はやはり現状では不可能。まずは最寄りの図書館、公民館、地域センターなどに要望を出して、ぶらっと出かけて借りられるようにしていきたい。「映画のレンタルビデオと介護技術習得のためのビデオが同列に語り得るものなのか」(方木さん)という指摘は高齢社会における意味ある問題提起だ。ニーズが増えていけば価格も安くなり、質も量も改善されていくはず。さらに、今後は多チャンネル化を迎えたテレビで介護専用番組(チャンネル)なども十分考えられるはずで、テレビ局さん、ぜひご検討を!








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