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5.成果の活用
 本研究部会では、我が国造船の新たな展開を目指し、東アジア地域の港湾で多量の貨物が運べる、従来にない大B/dと肥大度を併せ持つスーパーシャロードラフト船の船型開発の研究に取り組み新船型創出の基盤固めを行った。
 本研究部会で開発に取り組んだ船型は、東アジア地域の港湾を対象とし、喫水を11m以下に設定し、9〜10万トンの載貨重量を有する船型であり、実船化する上での課題の解決が図られたが、得られた成果はこれにとどまらず、これに類似の従来にない大B/dと肥大度を併せ持つ船型の開発に有効に活用ができる。その研究成果の活用について以下に述べる。
(1)1軸船及び2軸船の一般配置、貨物容積、トリム計算を始めとした基本計画の設計資料が、個々の計画船の初期検討に有効に活用できる。
(2)船型線図と推進性能、操縦性能、耐航性能に関する水槽試験結果が得られており、また、船型の改良、さらに船型要素を変化させたときの性能変化のデータが得られているので、計画船の性能の最適化に有効に活用できる。
(3)浅水域の航行を考慮したプロペラ設計の手法が把握できたので、類似船のプロペラ設計に有効に活用できる。
(4)現有の理論計算による推定手法の有効性が確認されたので、個々の計画船の性能推定の初期検討に有効に活用できる。
(5)1軸船で懸念される操縦性能の向上のための方策が得られたので、船尾フレームライン改良、舵面積増大、特殊舵の採用など、計画船の制約に応じて対応ができる。
(6)実海域での運航性能が把握でき、理論による荒天海象下での甲板冠水等の発生確率計算及び回帰分析による波浪中抵抗増加の計算手法が得られたので、計画船の馬力マージンなどの設定に有効に活用できる。
(7)浅水域での操縦性能の特性の把握ができ、理論による計算手法の有効性が確かめられたので、計画船の性能推定、また、船体沈下などの運航上の留意点が計画船に生かせる。








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