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3.研究の内容
3.1 1軸/2軸船の船型と主要性能に関する研究
(1)船型計画と主要性能の把握
[1]世界の主要港を調査し、東アジアの港湾を主たる対象に、研究のベースとなる1軸及び2軸船の主要目を選定し、目標性能を設定し両船型のコア船型(SR243A及びB船型)の船型計画を行った。
[2]両コア船型の主要性能把握の水槽試験(抵抗、自航、伴流、操縦、規則波中)を実施した。
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図1 港湾調査の一例(東アジア)
[3]1軸コア船型の水槽試験結果から推進性能及び操縦性能の向上が課題とされ、船尾流場の改善を図ったSR243C船型を計画し性能の確認を行い、さらに浅喫水肥大度が大きく出来る可能性が見えたので限界を探る目的も兼ね、喫水を10mとしL/B小、B/d大でかつ船首尾の肥大度を増したSR243D船型を計画し性能確認を行った。
[4]2軸船型については、1軸船型で最大に浅喫水肥大度を増したSR243D船型の主要目に対応し喫水を10mとし、さらにL/B小、B/d大のSR243E船型を計画し、性能の確認を行った。
(2)理論による性能推定
[1]現有の理論計算の有用さを調査するため、理論による性能推定(ランキンソース法による造波抵抗、CFDによる粘性抵抗、船尾流場、自航要素、ストリップ法による耐航性能、細長体理論による操縦流体力微係数など)と模型試験結果との比較検証を行い、これらを推定手法とする場合の評価と問題点を把握した。
(3)プロペラ設計
[1]1軸コア船型の水槽試験結果をもとに、深水域に加え浅水域での船体抵抗増加(速力低下)と船尾流場の変化を考慮に入れ、キャビテーション特性改善に注力しプロペラ理論によってプロペラ設計を行った。
[2]プロペラ模型を製作し、プロペラ単独性能、キャビテーション性能及び変動圧力計測を行った。
3.2 1軸船型の操縦性能向上対策に関する研究
[1]L/Bが5、B/dが5程度の1軸スーパーシャロードラフト船の重要な課題は、操縦性(針路安定性)の改善にあるとされ、1軸コア船型の船尾フレームラインの改良、舵面積比増加、特殊舵の採用による改善効果を、模型船を用いて実験的に把握した。
操縦性能シミュレーション計算結果
  SR243A船型
オリジナル
SR243A船型
舵面積増加
SR243A船型
スラツプ舵
SR243A船型
シリング舵
船尾形状変更 IMO
基準
左旋回 右旋回 左旋回 右旋回 左旋回 右旋回 左旋回 右旋回 左旋回 右旋回
旋回運動
AD/Lpp 2.65 2.68 2.62 2.66 1.98 2.02 2.54 2.58 2.81 2.85 ≦4.5
TD/Lpp 2.23 2.29 2.21 2.28 1.56 1.60 2.12 2.19 2.48 2.55 ≦5.0
初期旋回運動
TR/Lpp 1.38 1.41 1.34 1.37 0.96 0.98 1.28 1.31 1.42 1.45 ≦2.5
10°/10°Zig/Zag
1st O.A. 18.5 15.9 15.8 13.7 6.9 6.5 14.5 12.7 13.4 11.9 ≦20.0
2nd O.A. 29.8 34.1 26.0 29.2 8.8 9.2 22.1 25.0 24.4 27.1 ≦35.0
20°/20°Zig/Zag
1st O.A. 24.3 22.4 22.3 20.9 15.0 14.6 20.8 19.5 20.6 19.4 ≦25.0
3.3 実海域運航性能(波浪中運航性能)に関する研究
[1]評価海象(平均海象及び荒天海象)を設定し、実海域での運動に伴う甲板冠水や船底露出等の発生確率を検討し、実海域での運動特性を把握した。
[2]短期予測法を適用して不規則中波抵抗増加を求め、荒天海象下での船速低下を計算した。
[3]以上の推定法を確認するため波浪中水槽試験を実施した。
3.4 浅水域操縦性能に関する研究
[1]浅水域での操縦性能を調査するため、水深を変えた模型試験を施行し、その特性を把握した。
[2]浅水域での船体沈下を模型試験により計測し、運航上の留意点を検討した。
3.5 総合評価と取りまとめ
[1]スーパーシャロードラフト船を設計するに当って、1軸船及び2軸船のそれぞれにつき設計指針の纏めを行った。








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