IV 翻訳事業
◆必要書類および資料などの翻訳◆
二カ国間また場合によってはそれ以上の国々に関係する国際的社会福祉事業に従事しているISSJでは、そのサービスを遂行していく上で翻訳事業が必要かつ不可欠である。
現在取り扱っているケース数からいって一番数が多いのは養子縁組であり、国としてはフィリピン、タイ、アメリカ、英国、カナダ、韓国などである。従ってこれらの国々の養子縁組法をはじめ養子縁組に必要な公・私文書の翻訳が大半を占める。なかでもアメリカ合衆国やカナダ連邦はその名が示す如く各州が異なった法律を採用しているため、また時々法律の改訂、修正が行われるため、常に注意して最新のものを用意する必要がある。最近では1976年度に制定された英国(連合王国)の養子縁組法が「国連子どもの権利条約」などに則って大幅に修正され、「1999年国際養子縁組法」が制定されたため、約40ページにわたる翻訳に取り組んだ。
養子縁組以外にも二カ国間にわたる結婚・離婚、認知、親権、虐待・家庭内暴力問題、無国籍児や在留ビザのない子ども達の送還などに関わる文書の翻訳も行っている。最近急激に増加してきたのは、難民に関する翻訳である。一口に難民といっても定住難民、難民認定申請中の難民、超過滞在者として拘留されている難民、仮釈放中の難民などその内容は様々であり、必要とされる翻訳も異なってくる。定住難民の場合、帰化を希望する人たちも徐々に増え、帰化に必要な書類の翻訳にも携わっている。
以上に加えて、ISSが持つ世界規模のネットワークの中で情報を交換し合うために、ISS本部および支部などから送られてくる種々な社会福祉関係の法律、各国政府からの発表、児童・女性・家族問題に関しての書類や記事などを参考書類として翻訳している。その他、日本の児童福祉関連の法律、ISSJの事業報告書、ニュースレター、カンボジア・プロジェクトの報告書の翻訳、またフィリピンのDSWDから研修生として派遣されているフィリピン人のソーシャルワーカーが国内の施設などを訪問する場合同行して、両者間のコミュニケーションの円滑化をはかるのも翻訳部の仕事である。