2.国際児(混血児)やインドシナ難民への社会適応援助促進活動
本活動はISSJ呉事務所が主として行ってきた。第二次大戦後呉市にはオーストラリアの進駐軍兵士と日本人女性との間に出生した子ども達とその家族に対して社会援助が求められた。1959年に呉市・厚生労働省・外務省からの要望で呉事務所を設置し、現在に至っている。国際児も今や大半は自立し家庭を持っているが、結婚・離婚問題、就職問題、子どもの諸問題、親の介護問題など様々な問題や悩みを抱えている者もいる。呉事務所は、彼らの身近な生活相談の場となり、心の拠り所として、大きな役割を果たしてきている。
国際児やインドシナ難民の日本への社会適応促進のために、グループ活動の中でケースワークを行うことで大きな効果を収めている。1996年春、ISSJ呉クラブ(ISSJ国際児の会)と広島メコンの会は「ISSJ呉国際交流の会」(会長:福田昭二)を結成し、会員の相互理解を深めるとともに呉在住の外国人との交流の輪を拡げている。今年度は次のような活動を行った。
◆第6回ISSJ呉バザー(4月29日)
「呉みなと祭り」の国際村に出店し、ラオス・カンボジア・ベトナムの母国料理の手作り販売、日用品雑貨や古着の販売、オーストラリアン風焼き肉の販売を行った。当日は雨となり客足は例年より少なかったが、65,245円の純益をあげることができた。
呉バザーでは各国料理のお店を出店
◆第4回グローバルスポーツフェスタ(6月10日)
呉市二河屋内練習場で、呉市・呉市国際交流協会の共催のもとISSJ呉クラブ、広島メコンの会、KUPA(呉在住フィリピン人女性連合会)、アミザージ(呉在住日系ポルトガル人グループ)の会員とその家族が参加して、国際運動会を開催した。スポーツや母国の民族舞踊を通じて参加者同士の家族ぐるみの交流を深めることができた。
その他、以下行事へISSJ呉クラブのメンバーと参加し、友好の輪を深めた。
*KUPAクリスマスパーティー(12月15日、ビューポートくれ)
*第18回広島メコンの会忘年会(12月16日、ひまわりプラザ)
*第1回JAPPHIL ASSOCIATION クリスマスパーティー(12月23日、広公民館)
3.難民および難民申請者への相談援助
法務省の発表によると平成13年度の難民申請者総数は353人で、そのうち、難民と認定された人数は24人であり、難民認定制度が発足した1982年以来の難民認定者数の累計は284人となった。このような状況の中ISSJでは、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)より、日本国内の難民申請者、認定者のカウンセリングと生活適応援助の業務を委託されている。ISSJはアフガニスタン、イラン、ウガンダ、エチオピア、カメルーン、スーダン、スリランカ、トルコ、チャド、パキスタン、ベトナム、ミャンマーの12カ国、29ケースの家族および個々人に対し、生活支援を行っている。
具体的には、住居や仕事探し、医療機関への同行、地域で開催されている日本語教室の紹介、入国管理局や弁護士事務所への同行、必要書類の作成や翻訳、同行先での通訳等、支援内容は多岐に渡る。日本政府により難民認定の結果が出されるまでには、何年もかかることもあり、その間、限られた社会資源をつないで生活する難民申請者の精神的ストレスは計り知れない。彼らの不安な気持ちに耳を傾け、受け止め、励まし、アドバイスを提供するカウンセリングもISSJのソーシャルワーカーに課せられた重要な業務である。最近の難民申請者の中には母子ケースの増加傾向がみられ、出産、保育、就学の相談援助の必要性も高まっている。
日本国内の難民申請者、認定者を支援するには、支援体制の強化が重要課題であり、ISSJは他の支援機関・団体との協力関係の構築と維持にも積極的に取り組んでいる。1994年にNGO同士、またはNGOとUNHCRの協力体制を構築・強化するための連絡会議の開催が世界的に始まり、パリナック(Partnership in Action=PARinAC)と名付けられた。
1996年には日本でも国内・国外で難民を支援する多くのNGOの参加を得て、パリナック・ジャパン・フォーラムが発足し、現在もUNHCRを会場に、毎月1回の会議を開催している。2000年1月には、パリナックに加盟するNGOで、特に日本国内の難民申請者および認定者の支援を目的に活動を展開している7団体が分科会(国内難民支援部会:Working Group on Refugee Assistance in Japan:以下RAJA)を立ち上げた。RAJAはUNHCRをパートナーに毎月1回の定例会を開催し、国内難民支援体制の強化に努めている。
ISSJはパリナック・ジャパン・フォーラムに加盟し、また、RAJAの構成団体としても、会議への参加はもとより、他の支援団体との協働・連携、情報の共有化、パンフレットの作成イベントヘの参加等、積極的に活動を展開し、更なる支援体制の強化、および支援技術の向上を目指している。