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3.「不登校生の進路と社会参加のネットワークづくり」2002に向けて
 [1]本年度は、シンポジウムと相談会を午前午後に分けて行ったため、連続性に欠けるきらいがあり、昼休みに帰ってしまう相談者も多く見られた。そこで、次年度はこれを、シンポジウム、相談会ともに午後の開催としたい。これによって、われわれ主催者やパネリストが移動しやすくなるというメリットも見逃せない。
 
 [2]第一章で述べたように、今年度、相談ボランティア本人の不登校体験を活かして相談にのってもらった。これが大変好評で、相談した側も自分の気持ちが通じたといって喜んで帰っていったし、相談にのった彼らも「人の役に立ってよかった」と話していた。
 実は相談ボランティア募集の際、「私の子供が不登校だったので、親に対するアドバイスができると思うんですが、私ではだめですか」という応募者もかなりいた。今年度はお断りしたが、2002年度には「ファミリーサポーター」という名称で、かつて自分の子供が不登校であったという親を公募し、研修を行って、相談会では彼らにも相談員を務めてもらう予定である。これに備えて4月30日までを募集期間とすべく、既に新聞社・通信社各社にプレスリリースを送っている。
 
 [3]今年6月、三省堂より本事業をもとに、本協会が編集する「不登校生・親・教師のための「もうひとつの進路と社会参加」総ガイド」が発行される。これには2002年度の本事業の計画を始め、本報告書に掲載できなかった「不登校生受入機関リスト・相談機関リスト・不登校生への対応方法」などが含まれているので、本書とあわせて今後の活動に活かしていきたい。
 
 [4]相談ボランティアは、不登校生の気持ちが理解でき、相談者にアドバイスができるという長所もあるが、客観的に見ると不十分な点もある。
1)実はまだ不登校時代を引きずっている人も存在する。
その結果、
2)なかなか本心を語れない。
3)周囲を気にしすぎる
4)決断力に乏しい
5)だれかに頼ろうとする
6)無責任な人が多い
7)常識に欠けている
8)体力不足
等が指摘できる。つまり一言で言えば、「自分に自信がもてない」ということであろう。実はそのためにこそ、「ボランティアで他人の役に立つことで自信が持てるように」と考えたわけであるが、「いまだ道遠し」である。294名の登録者のうち、我々が会っているのは約半数であるが、残りの半数は、登録して人の役に立ちたいという気持ちはあるのだが、身体が抵抗するという人もいる。ボランティアの中にも、「既に正社員として働いている」という人から、「とても社会生活が難しい」という人まで様々で、ひとりひとりの状態が異なり、しかも全国という地理的な問題もあり、彼らへの対応は難しい。しかし、何といっても今年度初の試みであり、次年度への課題である。








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