3.相談ボランティアに対する調査
相談ボランティアに対するアンケートから
社団法人 日本青少年育成協会
企画推進部長 石山 義典
平成12年度より一部地域で試験的に始めた不登校経験者による相談ボランティアを、平成13年度より全国に広げて募集したところ、約400通もの応募があり、そのうち、アンケートに267名から回答があった。
アンケート回答者の内訳を見ると、男性78:女性189となり、女性が約7割を占めている。年齢では、最年少が15歳、最年長が62歳で、年代別では10代が全体の25%、20代が50%、30代が15%で、これだけで全体の約9割を占めている。不登校や登校拒否が問題化し始めたのがごく最近であることを考えると、この年齢構成はやむを得ないところかもしれない。
次に、アンケートの内容についてみてみる。グラフ1は不登校であった期間を示し、グラフ2は不登校であった期間のうち、ひきこもっていた期間を示している。ひきこもりを経験しているのは回答者の約半数である。不登校の期間でみると、2年以内という回答が60%以上を占め、ひきこもり期間では75%以上となっている。一概に期間の長短と症状の軽重が一致するとはいえないが、期間が短かったことで次のステップへ進むのが比較的容易であった、あるいは次のステップに進めている人は比較的短い期間で克服できていると言えるのではなかろうか。
グラフ1
グラフ2
次のグラフ3は不登校当時を振り返ってみたときの状態や状況を示している。複数回答なので、回答者によって回答数にばらつきはあるが、やはり「つらかった」とする回答が80%近くを占めている。その反面、「良い経験になった」も半数を超えている。当時はつらかったが、今にして思えばよい経験になったということだろう。また「その他」の中には絶望感や漠然とした不安、孤独感などマイナス面を表す言葉が数多く見られた。
グラフ3
グラフ4は不登校時にしてほしかったこととしてほしくなかったことをそれぞれの項目を100%としてあらわしている。これも複数回答のため回答数にかなりのばらつきがある。回答数別では、してほしかったこととして、見守る56%、向き合う29%、何もしない26%の順で、してほしくなかったこととしては学校に誘う66%、家に来る55%、電話をかけてくる34%の順となり、してほしくなかったことは比較的多くの人に共通するようである。しかし、遊びに誘ったり、声をかけたりすることはそのときの状況や受け取り方によって個人差があるようだ。
どの項目に関しても0%ということはない、不登校生に対して何をすれば良く、こうしてはいけないということを一概に言うことが大変難しいことを示している。当たり前のことではあるが、その子その子に合った最善の方法を常に模索し続けなければなければならないのである。
グラフ4
最後のグラフ5は克服のきっかけを聞いている。あくまでもきっかけであり、そこに至るまでには紆余曲折があり、また本人の努力が大きく作用したことは言うまでもないが、家族、友だち、先生など比較的身近な人との関りがきっかけとなっていることが特色として挙げられる。特に家族がきっかけと答えている人は全体の45%にのぼっており、家族など身近な人たちの暖かい励ましや助言がいかに必要であるかを物語るものと言えるだろう。
特にグラフ化はしていないが、回答者のうちの7割以上が将来、カウンセラーや学校の先生になることを希望している。相談ボランティアに応募している人たちだからとも言えるが、自分の経験を生かして不登校生などに関わっていこうとする人たちが多いことに敬服すると同時に、今後の光明であると思っている。
グラフ5