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第1章 国土保全等の観点からの農山漁村集落の現地調査結果
I 山形県小国町の集落再編整備事業と集落対策
1 小国町の概況
(1)位置等
・小国町は、山形県の西南端、新潟県境に位置し、山形、新潟両県庁所在市まで約80kmである。面積は737.55km2で県内44市町村の中では最大であり、これは東京23区全体の面積よりも大きい。
・古来から「小国郷」と呼ばれた領境の地であり、小国三万石は、大江氏、伊達氏、蒲生氏、上杉氏が統治し、明治22年の町村制で59の自然村が四つの行政村(小国本村、北小国村、南小国村、津川村)となり、昭和17年に小国本村が町制を施行。昭和29年3月に南北の小国村と合併、昭和35年8月に津川村を編入し、現在に至っている。
(2)自然・地形条件等
・周囲は1,000mから2,000m級の連山からなる磐梯朝日国立公園に属する飯豊・朝日の山岳であり、町域の中央部に市街地が盆地状に形成されている。
・町の行政区域の約97%は山林で占められており、特にブナを中心とした広葉樹林は516.82km2と市町村別では全国最大を誇る。
・気候は、典型的な日本海式気候で、山形地方気象台小国観測所の積雪量は、過去最高で3mを超え(昭和49年2月13日)、積雪量が減少したとされる近年においても最大積雪量が平成11年3月1日に222cm、平成12年2月13日に230cmを記録、根雪期間も平成11年12月から12年4月にかけて125日、平成12年12月から平成13年4月にかけて111日と1年の3分の1前後に及ぶなど日本屈指の豪雪地帯である。
・地目別土地利用面積は、表I−1のとおり。
表I−1地目別土地利用面積(小国町)
(単位:ha、%)
  全体
  農用地 林野 宅地 その他
面積 73,755 1,456 71,155 274 870
100.0 2.0 96.5 0.4 1.2
(平成12年度:土地に関する概要調書報告書)
(3)交通条件
・道路は国道113号が東西に走り、町内に県道が5路線(実延長約77km)、町道が250路線(実延長約247km)が整備されている。
・鉄道は、JR米坂線が東西に走り、各駅停車で羽越本線の坂町駅まで約39分、奥羽本線の米沢駅まで100分のアクセスであるが、1日の便数は快速が2本、各駅停車が5本と少ない。
(4)人口・世帯数
・人口は、平成12年の国勢調査で10,262人で、うち男5,030人、女5, 232人であるが、昭和30年の18,366人に比べると44.1%減少しており、過去20年間でも16.0%減少している。
・世帯数は3,209世帯、20年前の昭和55年の世帯数が3,325世帯であることから横ばいやや減少の傾向にある。
・年齢階層別に推移を見ると昭和46年と平成11年の比較で、年少人口(0歳〜14歳)が3,271人から1,546人と半分以下に減少、逆に65歳以上の老年人口が979人から2,798人と3倍近くに増加するなど、少子・高齢化が著しい。
表I−2人ロ・世帯数の推移(小国町)
年次 人  口 対前回比 指 数
(30年=100)
世帯数 対前回比 指 数
(30年=100)
総数
30 18,366 9,102 9,264   100 3,267   100
35 17,787 8,794 8,993 -3.2% 97 3,520 7.7% 108
40 15,983 7,877 8,106 -10.1% 87 3,589 2.0% 110
45 13,999 6,927 7,072 -12.4% 76 3,447 -4.0% 106
50 12,649 6,182 6,467 -9.6% 69 3,345 -3.0% 102
55 12,221 5,973 6,248 -3.4% 67 3,325 -0.6% 102
60 12,096 5,963 6,133 -1.0% 66 3,337 0.4% 102
2 11,315 5,525 5,790 -6.5% 62 3,217 -3.6% 98
7 10,715 5,223 5,492 -5.3% 58 3,163 -1.7% 97
12 10,262 5,030 5,232 -4.2% 56 3,209 1.5% 98
(5)就業者人口
・表I−3からわかるように、昭和30年以降、総就業者数の推移は漸減傾向にあり、平成7年時点の就業者数は5,571人で、割合は第1次産業11.0%、第2次産業49.5%、第3次産業39.4%となっている。このことからわかるように、町の産業構造は、山村としては珍しく第2次産業が基幹産業となっている。
表I−3産業別就業者数の推移(小国町)
年次   第1次   第2次   第3次 合 計
  構成比   構成比   構成比
30 5,502 66.1% 1,338 16.1% 1,480 17.8% 8,320
35 4,778 57.3% 1,945 23.3% 1,616 19.4% 8,339
40 3,967 51.2% 2,028 26.2% 1,754 22.6% 7,749
45 3,271 42.9% 2,428 31.9% 1,920 25.2% 7,619
50 2,305 33.4% 2,636 38.3% 1,950 28.3% 6,891
55 1,694 25.5% 2,895 43.6% 2,049 30.9% 6,638
60 1,421 21.3% 3,208 48.2% 2,030 30.5% 6,659
2 978 15.9% 3,107 50.4% 2,080 33.7% 6,165
7 615 11.0% 2,760 49.5% 2,196 39.4% 5,571
(6)農業
・農家数等
表I−4及び表I−6にあるように、過去20年間で総農家数は44.3%、農家人口は46.0%、それぞれ大きく減少している。
・経営耕地面積等
平成12年農林業センサスで、経営耕地面積(販売農家)は956ha、販売農家1戸当たり平均が1.81haとなっている。
・農業粗生産額
平成11年の農業粗生産額は、11億9千万円で、農家1戸当たりで154万3千円となっている。種別で見ると、米が8億6千万円と全体の72.2%を占めている。
表I−4専兼別農家数(総農家数)(小国町)


年次
総世帯数 農家数 専兼別農家数 構成比
  農家率 専業 第1種兼業 第2種兼業 専業 第1種兼業 第2種兼業
40 3,584 1,565 43.7% 51 984 530 3.3% 62.9% 33.9%
45 3,449 1,476 42.8% 48 757 671 3.3% 51.3% 45.5%
50 3,345 1,301 38.9% 39 382 880 3.0% 29.4% 67.6%
55 3,325 1,220 36.7% 42 286 892 3.4% 23.4% 73.1%
60 3,337 1,087 32.6% 46 194 847 4.2% 17.8% 77.9%
2 3,217 949 29.5% 65 70 814 6.8% 7.4% 85.8%
7 3,168 768 24.2% 61 78 629 7.9% 10.2% 81.9%
12 3,209 680 21.2% - - - - - -
表I−5専兼別農家数(販売農家)(小国町)
年次 農家数 専兼別農家数 構 成 比
専業 第1種兼業 第2種兼業 専業 第1種兼業 第2種兼業
2 758 37 69 652 4.9% 9.1% 86.0%
7 614 37 78 499 6.0% 12.7% 81.3%
12 528 45 45 438 8.5% 8.5% 83.0%
表I−6農家人口・農業就業人口(小国町)
年次 人口 農家人口 一世帯当たり
世帯員数
農家16歳以上の世帯員数 農業従事者
 




 














農業就業人口 兼業(他の仕事が主)
自営農家のみ 兼業(農業が主)
40 15,983 9,108 57.0% 4.46 5.82 5,969 853 3,615 1,501 2,151 1,464 1,334
45 13,999 7,580 54.1% 4.06 5.14 5,533 896 2,895 1,742 1,698 1,197 1,431
50 12,649 6,107 48.3% 3.78 4.69 4,816 974 1,862 1,980 1,283 579 1,702
55 12,221 5,528 45.2% 3.68 4.53 4,562 900 1,576 2,086 1,169 407 1,737
60 12,096 4,943 40.9% 3.62 4.55 4,127 769 1,338 2,020 1,070 268 1,694
2 11,315 4,321 38.2% 3.52 4.55 3,569 594 1,114 1,861 998 116 1,576
7 10,715 3,436 32.1% 3.38 4.47 2,895 580 892 1,423 790 102 1,184
12 10,261 2,983 29.1% 3.20 4.39 - - - - - - -

※平成7年度調査は、満15歳以上の農家世帯員が対象。








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