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第十六条 紛争解決
1 この議定書の解釈又は適用に関するいずれの紛争も、まず、交渉、仲介若しくは調停、又は係争国により選択された他の平和的手段を通じ解決する。
2 一の締約国が他の締約国に対して当該両締約国間に紛争が存在することを通知してから十二箇月以内に当該紛争が解決に至らない場合には、係争国が千九百八十二年の海洋法に関する国際連合条約第二百八十七条1に定める手続の一つを利用することについて合意する場合(当該紛争の係争国は、当該係争国が千九百八十二年の海洋法に関する国際連合条約の締約国であるか否かを問わず、かかる合意を行うことができる。)を除き、当該紛争は、いずれかの係争国の要請により、附属書IIIに定める仲裁手続により解決する。
3 千九百八十二年の海洋法に関する国際連合条約第二百八十七条1に定める手続の一つを利用することについての合意に達する場合には、選択された当該手続に関係する当該条約第十五部の規定を準用する。
4 2に定める十二箇月は、関係国の相互の同意により、更に十二半箇月まで延長することができる。
5 2の規定にもかかわらず、いずれの国も、この議定書に拘束されることについての同意を表明する時点で、事務総長に対して、第三条の1及び2の規定の解釈又は運用に関する係争国となる場合には、附属書IIIに定める仲裁手続の手段により紛争が解決されるに先立ち、当該国の同意が必要となることを通知することができる。
 
第十七条 国際協力
 締約国は、権限のある国際機関において、この議定書の目的を促進する。
 
第十八条 締約国会議
1 締約国会議又は締約国特別会合は、この議定書の実施について常に検討するととも、必要であるときには、廃棄物その他の物の投棄及び海洋における焼却によって生ずる汚染を防止し、軽減し及び実現可能なときには除去するための活動を強化する手段を識別するために、その効果を評価する。そのため、締約国会議又は締約国特別会議は、次のことを行うことができる。
.1 第二十一条及び第二十二条の規定によりこの議定書の改正を検討し及び採択すること。
.2 この議定書の効果的実施を促進するための事項を検討するために、要請に応じ、補助機関を設定すること。
.3 適当な専門的団体に対し、この議定書に関係する事項について締約国又は機関に対して助言することを要請すること。
.4 海洋汚染の防止及び規制に関心を有する権限のある国際機関との協力を促進すること。
.5 第九条4の規定に従って提出される情報を検討すること。
.6 権限のある国際機関との協議の上、第八条2に定める手続(例外的かつ緊急の状況を判断する基準を含む。)並びに協議による助言のための及び例外的かつ緊急の場合における物の安全な処分のための手続を作成し又は採択し、並びにそれに従って勧告を行うこと。
.7 決議を検討し及び採択すること。
.8 必要と思われるその他の措置を検討すること。
2 締約国は、第一回締約国会議において、必要な手続規則を定める。
 
第十九条 機関の任務
1 機関は、この議定書に関係する事務局の任務について責任を有する。この機関の加盟国ではない議定書の締約国は、当該任務を実施するに当たり機関が負う費用について適当な貢献をする。
2 この議定書の運用に必要な事務局の任務は次の事項を含む。
.1 一年に一回の締約国会議(但し、締約国が別段の決定を行う場合を除く。)及び、締約国の三分の二が要請するときはいつでも、締約国特別会議を招集する。
.2 この議定書の実施及び同議定書に基づいて作成された勧告及び手続について.要請に応じ助言を与えること。
.3 締約国からの照会及び情報を検討し、締約国及び権限のある国際機関と協議し、並びにこの議定書に関連する又はこの議定書に特に規定されていない問題に関して締約国に勧告を行うこと。
.4 締約国及び権限のある国際機関との協議の上、第十八条6に定める手続の作成及び実施における準備及び支援を行うこと。
.5 この議定書に基づいて機関が受領したすべての通知を関係締約国に送付すること。
.6 二年に一回、この議定書の運用のための予算及び会計報告書(これらの報告書はすべての締約国に配布される。)を準備すること。
3 機関は、適切な財源の利用可能な範囲内で、第十三条2.3に規定する事項に加えて次の事項を行う。
.1 海洋環境の状況を評価する上で協力すること。
.2 汚染の防止及び規制に関心のある権限のある国際機関と協力すること。
 
第二十条 附属書
 この議定書の附属書は、この議定書の不可分の一部を成す。
 
第二十一条 議定書の改正
1 いずれの締約国も、この議定書の規定について改正を提案することができる。改正案は、その検討が行われる締約国会議又は締約国特別会議の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。
2 この議定書の規定についての改正案は、改正案を採決することを目的に召集される締約国会議又は締約国特別会議において、出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数票による議決で採択することができる。
3 改正は、締約国の三分の二が改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、改正を受諾した締約国について効力を生ずる。その後は、改正は、他のいずれの締約国についても、当該他の締約国が改正の受諾書を寄託した後六十日目の日に効力を生ずる。
4 事務総長は、すべての締約国に対し、締約国会議において採択された改正及びその改正が各締約国について効力を生ずる日を通報する。
5 この議定書の改正が効力を生じてから、この議定書の締約国となるいずれの国も、改正を採択する締約国会議又は締約国特別会議において、出席しかつ投票する締約国の三分の二が別段の合意をする場合を除き、改正されたこの議定書の締約国となる。
 
第二十二条 附属書の改正
1 いずれの締約国も、この議定書の附属書について改正を提案することができる。改正案は、その検討が行われる締約国会議又は締約国特別会議の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。
2 附属書IIIを除く附属書の改正は、科学的又は技術的検討に基づいて行い、適当なときには、法的、社会的及び経済的要素を考慮することができる。そののような改正は、改正案を採択することを目的に召集される締約国会議又は締約国特別会議において、出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数票による議決で採択することができる。
3 機関は、遅延することなく、締約国に対し、締約国会議又は締約国特別会合において採択された附属書の改正について通知する。
4 7に定める場合を除き、附属書の改正は、各締約国について、受諾を機関に通告した後直ちに、又は、締約国会議による採択の後百日で効力を生ずる。但し、後者の場合には、改正を直ちに受諾することができない旨をその百日の終わりまでに宣言する締約国については、この限りでない。締約国は、いつでも、先に行った異議の宣言に代えて受諾を行うことができるものとし、この場合において、先に異議の申し立てられた改正は、当該締約国について効力を生ずる。
5 事務総長は、遅延することなく、機関に寄託された受諾書又は異議の宣言を締約国に通報する。
6 この議定書の規定の改正に関連する追加附属書又は附属書の改正は、この議定書の規定の当該改正が効力を生ずる時点まで効力を生じない。
7 仲裁手続に関する附属書IIIの改正について、及び追加附属書の採択及び効力発生については、この議定書の規定の改正に関する手続を適用する。
 
第二十三条 議定書及び条約の関係
 この議定書は、条約の締約国である議定書の締約国については、条約より優先する。
 
第二十四条 署名、批准、受諾、承認及び加入
1 この議定書は、千九百九十七年四月一日から千九百九十八年三月三十一日まで、機関本部において、いずれの国による署名のために開放しておく。
2 国は、次によりこの議定書の締約国となることができる。
.1 批准、受諾又は承認を条件としない署名
.2 批准、受諾又は承認を条件とした署名の後の批准、受諾又は承認
.3 加入
3 批准、受諾、承認又は加入は、その旨の文書を事務総長に寄託することにより行う。
 
第二十五条 効力発生
1 この議定書は、次の要件が満たされた日の後三十日目の日に効力を生ずる。
.1 少なくとも二十六箇国の国が、第二十四条に基づきこの議定書に拘束されることについて同意を表明すること。
.2 少なくとも十五箇国の条約締約国が、1.1に規定する国の数に含まれること。
2 1に規定する日の後に第二十四条に基づきこの議定書に拘束されることについて同意を表明した国については、この議定書は、当該国がその同意を表明した日の後三十日目の日に効力を生ずる。
 
第二十六条 移行期間
1 千九百九十六年十二月三十一日以前に条約の締約国でなく、かつ、この議定書が効力を生ずる前、又は、この議定書が効力を生じてから五年以内に、この議定書に拘束されることについて同意を表明するいずれの国も、当該同意を表明する時点で、通知において説明される理由により、4に定める期間を越えない移行期間の間に2に定める規定以外のこの議定書の特定の規定を遵守することができないことを、事務総長に通知することができる。
2 1に基づき行われるいかなる通知も、海洋における焼却又は放射性廃棄物若しくはその他の放射性物質の投棄に関連するこの議定書の締約国の義務に影響を与えるものではない。
3 移行期間の間第四条1又は第九条の一部又は全部を遵守できないことを1に基づき事務総長に通知したいずれのこの議定書の締約国も、当該期間の間、当該締約国が許可を発出しなかった廃棄物又はその他の物の投棄を禁止し、附属書IIの規定に則した許可発給及び許可基準を確保するための行政的又は法的措置をとるために最大限努力し、また、発給した許可について事務総長に通知しなければならない。
4 1に基づき行われた通知に特定される移行期間は、当該通知が提出されてから後の五年を越えてはならない。
5 1に基づき通知を行った締約国は、批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した後に開催される第一回目の締約国会議に、この議定書の完全な遵守を達成するための計画及び予定表を、この議定書の第十三条に基づく関連する技術協力及び支援のための要請とともに提出する。
6 1に基づき通知を行った締約国は、提出したこの議定書の完全な遵守を達成するための計画を実施し及び監視するための移行期間における手続及び制度を制定する。遵守に向けた進展に関する報告書は、当該締約国により、当該移行期間の間に開催される各締約国会議に提出される。
 
第二十七条 脱退
1 いずれの締約国も、この議定書が当該締約国について効力を生じた日から2年を経過した後はいつでも、この議定書から脱退することができる。
2 脱退は、事務総長に脱退書を寄託することにより行う。
3 脱退は、事務総長が脱退書を受領して後一年を経過した日又はそれよりも長い期間であって当該脱退書において指定されている日に効力を生ずる。
 
第二十八条 寄託者
1 この議定書は、事務総長に寄託する。
2 事務総長は、第十条5、第十六条5、第二十一条4、第二十二条5及び第二十六条5に特定される任務に加えて次のことを行う。
.1 この議定書に署名した又は加入したすべての国に対して、次の事項を通報すること。
.1 新たに行われた署名又は批准書、受諾書、承認書若しくは加入書の寄託、及び署名又は寄託の日付
.2 この議定書の効力発生の日付
.3 この議定書からの脱退書の寄託及び脱退書を受領した日付並びに脱退が効力を生ずる日付
.2 この議定書を署名した、又は、加入したすべての国に対して、この議定書の認証謄本を送付すること。
3 事務総長は、この議定書が効力を生じてから直ちに、国際連合憲章百二条に基づく登録及び公表のために、この議定書の認証謄本を国際連合事務総長に送付する。
 
第二十九条 正文
 この議定書は、ひとしく正文であるアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語により原本一通を作成する。
 
 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。
 
 千九百九十六年十一月七日にロンドンで作成した。








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