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(参考) 浚渫土砂の海洋投入処分に対する影響シナリオの考え方
 
1.海洋投入処分の動向について
 (見解1)環境保全上の観点から埋立を極力抑制することへの社会的な要請にともない、埋立は廃棄物処分が優先され、浚渫土砂は有効利用と海洋投入処分に振り向けようとする傾向が強まると予想される。
 (見解2)一方で、国際的海洋汚染防止の主旨から、浚渫土砂も海洋投入処分を極力避けるべきという欧米からの要請が強くはたらくと、基準値の設定、環境影響評価、モニタリングの実施などが厳しい条件で設定されることになり、維持浚渫(防災と航行安全)、大水深港湾への対応(物流の変革・国際競争力の確保)等を担う事業の負担を増やすことにつながる。
 (見解3)環境保全上の見地や経済的効果からみると、有効利用に対する要請が高まると予想されるものの、その受け入れ容量に限界が生じることや、利用先での水面利用との調整が難しくなること、などにより海洋投入処分の必要性は持続すると予想される。
 
2.浚渫土砂処分のガイドライン検討における選択肢について
事項 区分 選択肢の例 想定される内容
基準値 物理的特性 シルト・粘土分 シルト・粘土分の含有量で有効利用先、海洋投入処分先を制限  
化学的特性 有害物質濃度 上限値・下限値 ○上限値を超えたものは1)移動不可、2)管理型処分場での処分
○下限値と上限値の間にあるものは、1)土質によって処分先を制限、2)生物試験を義務化
○下限値を下回るものは、1)有効利用、2)土質によって処分先を指定
上限値のみ ○上限値を超えなければ有効利用、海洋投入処分の制限少(下限値と同等)
○上限値を超えると移動不可・管理型処分、超えない場合は該当項目によって生物試験の必要性、処分先の制限など
生物試験 現存生物 種組成 ○生物の生息が可能であること
○有効利用先、処分先への影響評価
  バイオアッセイ 急性毒 ○化学成分の複合的影響
    慢性毒 ○有効利用先、処分先への影響評価
環境影響評価 スコーピング 既存資料、物理特性 しゅんせつ物WAG,GIPMEに準ずる 日本では適用対象が少ない(?)
事業ごとに環境影響評価を実施 化学試験、生物試験 基準値のみ 上限値、下限値の該当により段階的評価
    埋立時の影響評価(工事中)に準ずる  
モニタリング 処分海域を指定 監督官庁が実施    
  事業者が実施   事業者の負担大
 
3.環境影響連関モデル(暴露経路)
 環境影響連関モデルの例を図2−33に示した。
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図2−33 浚渫土砂海洋投入に伴う環境影響連関モデル








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