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(2)東京湾湾奥部底質分析調査
 海外における底質の基準に対して、我が国の港湾における底質がどのような水準にあるか検討するため、海外の基準と東京湾湾奥部における底質分析調査結果を比較した。
 比較する海外の基準値については、各国のlowerレベルとupperレベルのうち、低い値を選んだ場合とと高い値を選んだ場合を表2−23に示した。
 東京湾湾奥部における底質調査結果と海外の基準値との比較は表2−24、調査地点図は図2−12に示すとおりである。
表2−23 浚渫土砂の海洋投入処分に係る国外の基準例
(各国の基準)
  香港★1 ベルギー ドイツ★2 ノルウェー スペイン★3
現行基準
(見直し中)
SEBA★4に提案中 SEBAに提案中 SEBAに提案中 現行基準
管理値 アクションレベル1
(目標値)
アクションレベル2
(限界値)
アクションレベル1
(参考値)
アクションレベル2
(限界値)
クラス1
(Good: 清浄)
クラス2
(fair: 適合)
クラス3
(Poor: 貧相(要検討))
クラス4
(Bad: 不良)
クラス5
(Very Bad: 強度に汚染)
アクションレベル1 アクションレベル2
試験方法 含有量試験 含有量試験 含有量試験 含有量試験 含有量試験
重金属類 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥
カドミウム >1.5 2.5 12.5 2.5 12.5 <0.25 0.25-1 1-5 5-10 >10 1.0 5.0
クロム  >80 60 300 150 750 <70 70-300 300-1500 1500-5000 >5000 200 1000
>65 20 100 40 200 <35 35-150 150-700 700-1500 >1500 100 400
水銀 >40 0.3 1.5 1.0 5.0 <0.15 0.15-0.6 0-3 3-5 >5 0.6 3.0
ニッケル >75 70 350 50 250 <30 30-130 130-600 600-1500 >1500 100 400
>200 70 350 100 500 <30 30-120 120-600 600-1500 >1500 120 600
亜鉛   160 800 350 1750 <150 150-650 650-3000 3000-10000 >10000 500 3000
砒素   20 100 30 150 <20 20-80 80-400 400-1000 >1000 80 200
フッ素           <800 800-3000 3000-8000 8000-20000 >20000    
注)
*1:香港の基準値は、所定の数値を超えた場合.対象物は「管理が必要」と判断するための「管理値」である。
 *2:ドイツの基準は粒径20μm以下の堆積物に適用。
 *3:オランタとスペインの基準は、それぞれの国が設定した換算式により分析結果を換算してから基準と比較する。
 *4:SEBA:OSPAR条約(ヨーロッパにおける地域条約)の海洋活動に関するワーキングクループ(SEBA)に提案されたもの。
 
(日本の底質調査結果と比較する際の参考値)
重金属類 低い値を選んだ場合 高い値を選んだ場合
lowerレベル upperレベル lowerレベル upperレベル
mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥 mg/kg 乾泥
カドミウム 1 ノ*5 5 2.5 12.5
クロム 60 ベ*6 300 300 5000
20 100 150 1500
水銀 0.3 1.5 1 5
ニッケル 40 香*7 350 130 1500
70 350 120 1500
亜鉛 160 800 650 10000
砒素 20 100 80 1000
フツ素 800 8000 3000 20000
注)
 *5:ノルウェーの基準値を適用した。
 *6:ベルギーの基準値を適用した。
 *7:香港の基準値を適用した。
表2−24 東京湾湾奥部における底質分析調査結果と海外の基準値との比較(平成14年1月調査)(mg/kg乾泥)
測定項目 st.A st.B st.C st.D 高い値(緩い値) 低い値(厳しい値)
lower upper lower*1 upper*2
水銀又はその化合物 0.78*3 0.06 0.34*3 0.57*3 1 5 0.3 1.5
PCB 0.013 <0.003 0.014 0.012                
有機燐化合物 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1                
有機塩素化合物 <4 <4 <4 <4                
アルキル水銀化合物 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01                
カドミウム又はその化合物 1.4*3 0.1 0.4 1.8*3 2.5 12.5 1 5
鉛又はその化合物 72*3 11 23 49 120 1500 70 350
六価クロム化合物 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5                
ひ素又はその化合物 8.9 6.9 4.5 9.5 80 1000 20 100
シアン化合物 <0.1 <0.1 <0.1 <0.1                
銅又はその化合物 180*3*4 38*3 56*3 91*3 150 1500 20 100
亜鉛又はその化合物 500*3 84 180*3 530*3 650 10000 160 800
ふっ化物 150 130 140 180 3000 20000 800 8000
トリクロロエチレン <0.3 <0.3 <0.3 <0.3                
テトラクロロエチレン <0.1 <0.1 <0.1 <0.1                
ベリリウム又はその化合物 1.0 <1.0 <1.0 <1.0                
クロム又はその化合物 72*3 37 32 61*3 300 5000 60 300
ニッケル又はその化合物 55*3 20 20 46*3 130 1500 40 350
バナジウム又はその化合物 110 95 63 93                
ジクロロメタン <0.2 <0.2 <0.2 <0.2                
四塩化炭素 <0.02 <0.02 <0.02 <0.02                
1,2・ジクロロエタン <0.04 <0.04 <0.04 <0.04                
1,1・ジクロロエチレン <0.2 <0.2 <0.2 <0.2                
シス・1,2・ジクロロエチレン <0.4 <0.4 <0.4 <0.4                
1,1,1・トリクロロエタン <1 <1 <1 <1                
1,1,2・トリクロロエタン <0.06 <0.06 <0.06 <0.06                
1,3・ジクロロプロペン <0.02 <0.02 <0.02 <0.02                
チウラム 0.01 0.01 0.01 0.01                
シマジン <0.03 <0.03 <0.03 <0.03                
チオベンカルブ <0.03 <0.03 <0.03 <0.03                
ベンゼン <0.1 <0.1 <0.1 <0.1                
セレン又はその化合物 0.6 0.3 0.2 1.1                

注1)ノは、ノルウェーの基準値を採用している。
注2)ベは、ベルギーの基準値を採用している。
注3)香は、香港の基準値を採用している。
注4)*3は低い値(厳しい値)のlowerレベル(*1)以上upperレベル以下の値。 *3及び*4は低い値(厳しい値)のupperレベル(*2)を超える値。
注5)St.Aの銅は、低い値(厳しい値)のupperレベル(100mg/kg)を超え、かつ高い値(緩い値)のlowerレベル(150mg/kg)をも超えている。
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図2−12 東京湾湾奥部調査地点図(平成14年1月調査)








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