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はじめに
 わが国造船業界は、グローバルな造船マーケットの厳しい競争を生き残るため、国際的なスタンダードに沿った品質管理に基づいた製品やサービスの提供を行い顧客(船主など)の信頼と満足を得ることが重要となっており、元請である大手、中手造船業の大半がISOの認証を取得し、体制作りを行っています。
 ISO9001の認証取得はその発祥の地である欧米の取得が多いが、94年以降アジア圏、とくに中国・韓国において認証取得件数の増加が伝えられ、それらの国々がわが国造船業界の強力なライバルであることと考えあわせれば、グローバルスタンダードによる品質管理の向上は、国際市場確保のために必須の取組みであると断言せざるを得ません。
 造船協力企業は船舶製造工程でモノ造りの現場を担当する重要なセクションであり、元請企業と一体となった品質管理が要求されます。現在、造船協力企業の従業員数(協力工)は元請の従業員数を上回り、依存度は年々高まっています。今後は構内・構外事業者を問わず、元請造船会社や船主等の信頼を得るため協力企業においてもISO9001規格(以下規格)に基づく品質管理体制の整備が急がれます。
 当ガイドブックは、ISO9001:2000(ISO9001の2000年版、以下同じ)の認証申請のために、協力企業の経営者、品質管理担当者に理解しやすいよう、品質マネジメントシステムの解説から始まり、個々の企業が品質マニュアルを構築する上で必要な事項・検討すべき内容を規格の各要求項目ごとに解説するとともに、日造協会員企業の様々な業種業態に幅広く活用していただけるよう、"日造協株式会社"を架想した認証申請向け品質マニュアルをモデルとして掲載しています。また、認証申請の手順や社内支援活動、認証組織やコンサルタント等外部関連機関に関する事柄を、認証申請関連情報として巻末にまとめてあります。
 本ガイドブックの取り纏めにあたっては全国会員所属事業所へのアンケート実施と現地調査を行い、造船協力企業の品質管理体制の実態を調査し、寄せられた要望を反映した内容となるよう注意を払いました。
 アンケートに対しては、「ISOとは何か、まず知りたい」から、「既に認証取得済みで、更新のための情報が欲しい」まで、多様なリクエストをいただきました。本ガイドブックは、それらのご要望に極力こたえるべく工夫をこらしました。
 一般の解説書より多くの図解をもりこみ、初心者を念頭において視覚に訴える紙面構成を心がけました。また実際に各企業で品質マニュアルを構築する作業において担当者が繰返し参照し、作業グループの検討会用資料としての利用にも耐え得るよう、情報量の多い内容となっています。
 作成にあたって、ご支援いただいた日本財団をはじめ、調査にご協力いただいた会員所属事業所各位、基盤強化委員会の委員各位、編集にご協力いただいた社団法人日本能率協会等関係者各位に心から感謝申し上げます。
 本ガイドブックの活用により広く会員所属企業のISO9001認証申請が促進され、日造協会員事業所の品質管理の向上に役立つことを念願して止みません。
 平成14年3月
 社団法人 日本造船協力事業者団体連合会








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