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1985年 第15回全米里親会大会
  5月1日〜4日 テキサス州フォートワース
 
 フォートワースはダラスとツウイシティ(twin city)としてテキサスの中心をなしています。
 テキサスの州旗は、ローンスター − 一つ星あるいは独り星 − であり、この州旗の下で、南北戦争の際に南軍の中心部隊として、華々しく戦いアトランタでの戦で敗退して行ったのであります。
 なお、今回より国際里親養育機構(本部、欧州)の国際会議が軌道に乗ってきたことに伴い、全米里親会大会における「国際会議」は廃止されました。
 
1. 開会 5月1日 午後1時〜2時
(1)大会議長 フォートワース里親会長H.O.ピータース2世。 (H. O. Peters JR.)
 全米里親会長カール・ブラウン(Carl Brown)氏に対し感謝状の贈呈。
(2)カルフォルニア州、BMW会社社長、ジョン・シルバーマン氏(MR. John Silverman)から里子育英資金の寄贈。
(3)全米里親会長カールブラウン氏
 海外里親会のうち特に日本里親会長渥美節夫氏の参加についての紹介
 
2. 特別ゲスト・スピーチ 児童福祉関係書作家
  モリソン女史(Mrs. V. Morison)
 アメリカにおける里親制度近況、里親と政治力について
 〈講演要旨〉
(1)1985年以降4人の里子を育てた経験を有していますが、これが特別な行為とは思っていません。
(2)里親となったときに、一種の孤立感を抱いた、つまり他からの疎外され(isolate)かつ援助のない(help-less)感じを持った。しかし次第に里親の組織の力(Organization power)によって自分にも力がわいてきた。
 この力は、政治的な力にも盛り上がってきたと思います。そのために何回か会(Conferance)を催しました。それがPoliticalな力になってきたものと思います。
(3)1950年代〜1970年代にかけて里親制度に関する行政制度は確かな進展を見ました。例えば、所得税の減税、研修制度の拡充充実や自己研修機会の確保等里親制度は進展しました。
(4)しかしながら、1981年及び1982年以降、軍事予算の増加に対比してアメリカ合衆国の児童関係予算は急速に削減されてきました。
 政治のために、児童は苦境にたたされています。いま子供達は核の脅威を感じ未来に向って希望を持っているとは思えません。このように政治のために、子供が影響をうけ、特に里親制度が影響をうけることは決して良いこととは思っていません。
(5)里親制度の改善や向上には、政治的活動がどうしても必要です。里親の地方組織を確保し、その地域組織から盛り上げて行って州や合衆国段階へと政治的な力となって影響を及ぼす必要があります。
 この観点から考えれば里親の一人一人が政治的な力を持つことが大切なことです。
(6)勿論里親は、その専門性について勉強し、各種の会議(Conference)、学校(School)、TV等を利用し大いに自己の力を養うとともに、Social Workerからの寄与と協力を得て頑張ることが必要です。
(7)兎に角、里親制度の必要性と重要性を公共の場所等で大いに表明することが大切です。
 
3. 分科会、
 知的障害の里子に対する里親養育(Parenting the Mental Reterded Child)
 5月4日 午前8時30分〜11時
 司会 アリスクラーク女史(Ms. Alice Clark)
  フォートワース児童家庭局(Children and Family Service. Ft. Worth. TX.)
(1)事例
12歳(女) 知的障害(3〜4歳程度)で、身体的にも弱少の障害あり
13歳(男) 身長7feet程度で、精神年齢3〜4歳程度
14歳(男) 殆どしゃべれない
19歳(女) 上にBossがいないと生活できない
(2)一般的な生活指針
ア 意思の疎通(Communication)を図ること
イ feelingを感得させること
ウ 知的障害児の論理を多少の時間の余裕をもって理解して上げること
(3)基礎的な生活習慣の教え方
ア.日と時間の教え方
 例えば、朝の作業の写真を撮って、その際の時間を教える
 カレンダーの活用をする。
 日常の時間で行う場合には、必ず時間を教える。
イ.作業従事の教え方
 やれることは必ず完遂させること。
 その作業への一貫性を教えること。
 いわば、むちと人参との併用が必要。
 仕事は、常識的に見て普通の仕事が必要です。
ウ.日常習慣を憶えさせること
 食物をかえることで尿の時間をかえることも可能となります。
(4)教育問題
ア.物まね
 TVその他の方法で物まねをさせることが必要、勿論単なるCopyでなく、よい物まねをさせることが必要です(よりよいことをするようにする)。
イ.物事の理解
 仲々理解し難い物については何回も繰返し教え込む必要があります。例えば両親の離婚については、知的障害児は仲々理解できず、一方が死亡したものと思う場合が多い。
(5)知的障害児養育の各種相談機関の紹介をし連絡をするようにしておくこと。
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5月1日 第15回全米里親会大会開会式、
テキサス・フォートワース・ハイエットリージェンシイホテルにて
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5月2日 大会会場にて全米里親会会長カールブラウン氏と
打合せをする日本里親会理事長








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