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1978年 第8回全米里親会大会
      第2回国際会議
  4月27日〜29日 テキサス州ヒューストン
 
1. 1978年第8回全米里親会大会は、同時併行で催される国際会議としては第2回を迎え、字宙基地テキサス、ヒューストンで行われました。アメリカ以外の参加国として、日本、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドであり、我が国から次のとおり、北海道里親会長笹村貞雄氏以下20名の出席者でありました。
    坂   茂 厚生省児童家庭局
    笹村 貞雄 北海道 里親
    佐藤 重之 静岡県 里親
    高橋  清 北海道 里親
    鈴木 一郎 宮城県 里親
    石森 正衛 宮城県 里親
    宮原 竹子 秋田県 里親
    橋瓜 光男 長野県 里親
    橋瓜 久子 長野県 里親
    渡辺  繁 新潟県 里親
    田中 賢順 群馬県 里親
    守屋巳之助 神奈川県 里親
    菊池 彰信 神奈川県 里親
    市丸 陽三 神奈川県 里親
    杉本  務 東京都 里親
    木庭  清 大分県 里親
    塚本 朝子 熊本県 里親
    亀崎 重徳 埼玉県 里親
    黒木 睦彦 埼玉県 医師
 1979年国際児童年を来年に迎えようとして、全米里親会会長デイヴィッド・エヴァンス氏が里親会を代表して白亜館会議にカーター大統領から招待されていることになっていて、1978年会議の重要性を強調していました。
 
2. 開会式 4月27日 午前9時〜11時
 開会挨拶で、全米里親会長は、特に「われわれは世界を救おうというのではありません。子供を救おうというのです。それが世界を救うことになることを願っています。」
 「このたびの会議は、合衆国政府の児童政策に重要な役割をはたすのです、この全米里親大会及び国際会議は、カーター大統領から、1979年家庭問題についてのホワイトハウス会議に出席して、家庭及び児童に対する連邦政府の政策樹立に参加するよう求められています。この際、里親の現状の問題解決についての意見を、会国及び世界から持ちよっていただきたいと思います」
 氏はさらに次のように述べ参加者に感銘を与えました。
 「I had the opportunity recently to visit Houston and review our preparations for the 1978 National Conference. I want each of you to know how much I was impressed with the great efforts in Houston and Texas on behalf of foster children. There are many good things happening on behalf of children and I want to encourage your participation in the National Association. The NFPA Houston Conference in April,1978, will play a vital part in shaping federal policies for children. At that time, we will host the first National Congress on Foster Family Care which will enable us to state where we stand on the major issues on foster care. The Conference and the Congress are important because of our participation in the 1979 White House Conference on the Family. President Carter has called upon the NFPA to shape federal policies toward children and their families and I call upon you to join with the NFPA in our combined efforts for children.」
 
3. 第2回国際会議―国際分科会―
 前回から開催された国際会議は、今大会でも、国際分科会として開かれました
4月28日 午後3時30〜5時30分
 参加者 日本、米国、カナダ、オーストラリアの里親及びケースワーカー等
 特に次の議題が特徴的でありました。
(1)里子からの各種要求に対する対応解決の方法について
ア.米国で、里親と実親との相談で子供の将来について話合うことが普通である。日本ではこのような事例はない
イ.子供に対する虐待は米国では極めて多い。ただし日本における親子心中のケースはない
ウ.生活保護を受けていなければ里親になれる。(アメリカ)
エ.結婚をしなくても、また実子がなくても里親になれる
オ.進学、就職については、里親は拒否をしない。(日本)(アメリカ)、またその希望について放任型(アメリカ)
カ.しつけは日本では母が多い
キ.里子養育期間は日本では長期化する
ク.アメリカでは養育期間で18歳で措置解除だが、措置期限を21歳にしている州がある
ケ.アメリカでは里親は里子を「愛してはいけない」という観念があり、日本と基本的に異なる
コ.日本の場合、措置解除後もフォローをしておりアメリカ等と全く異なる
(2)実親と里親
ア.実親は里親に連絡を取ることが義務づけられている。従って実親からの介入が多い。ただし実親の法的権利は保護されず里親の養育権が強い
イ.カナダでは、子供の権利を認めるという趣旨で実親の権利を失わさせていることが多い。
ウ.日本の場合、実親と里親の権利の調整は裁判所より行政指導で解決が図られる。
エ.カリフォルニア州では日系人が里親になることは少ない。特に日本人の特質なのか。
オ.里親は里子の就職進学についての要求には全く干渉しない。放任主義でこのような里親が多くなってきています。
 
 以上の日本と他国との相違比較論は多く出てきましたがその対比について今後の論議の必要性があります。
 このほか48分科会で研究討議が行れました。
 宇宙科学の中心であるNASAを見学したことは、当時としては珍らしく、絶好の機会でありました。
 ヒューストン郊外ハリスカウンティー、チャイルドコロニーを視察し、また帰途ハワイ州オアフ島で、知的障害者コロニーとしての大規模のワイモノコロニーを視察した。
 2001年現在で、日本では児童に対する暴力、虐待が急に問題化してきましたがこの1979年代においての海外の状況も参考になると考えられます。
 また心身障害児に対する里親養育についての日本における対策がいまだ進歩していないのが気になります。
 既に脱施設化が終了して、その外のキメ細かい問題が多く、少年に関する司法上の問題が数多く登場してきました。
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4月27日 第8回全米里親会大会開会式における
渥美理事長の挨拶
テキサス・ヒューストン・シャムロックホテルで
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4月28日 国際分科会会場
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5月1日 ハワイ・ホノルル・知的障害者コロニーにて
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5月1日 同上、コロニー施設内にて








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