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4.4 施工試験結果
 
4.4.1 コンクリートの受け入れ検査結果
 コンクリートの受け入れ検査結果を表4.1に示す。ケースULのスランプフローは、目標値60±5cmに対し大きな値となっているが、材料分離等は全く見られなかった。
表4.1 コンクリート受け入れ検査結果
  ケースL ケースUL
スランプ(cm) 20.5
スランプフロー(cm) 73×73
空気量(%) 4.0 4.6
Vロート流下時間(sec) 6.6
 
4.4.2 コンクリートの打設(充填)試験結果
 充填状況を写真4.1に示す。打設には、コンクリートホッパーを使用し、さらに、ケースLはバイブレーターによる締め固めを行った。
 写真4.2に、硬化後の試験体を示す。充填状況は良好であり、厚さ140mmの側壁への打設も問題ないことが確認された。
 写真4.3にケースULの打設ごとの打設面高さを示す。超軽量コンクリートは、自重による自己充填可能な高流動タイプのコンクリートであり、幅2mの供試体において、ヘッド差は最大でも3cm程度(勾配:1.5%)であり、優れた流動性及び充填性を有することが確認された。
 また、硬化後採取したコアの骨材分布状況を写真4.4に示す。ケースL、ケースULとも骨材の偏りは認めらず、材料分離を生じることなく良好な充填性を有することがわかる。
 
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写真4.1 コンクリート打設状況
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左(a)ケースL  右(b)ケースUL
写真4.2 脱型後の状況
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※矢印はコンクリート落とし込み位置 数字は底面から×印までの高さ(単位:cm)
写真4.3 ケースULの流動状況(各打設リフト流動後の高さ)
(拡大画面: 110 KB)
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写真4.4 骨材分布状況
4.4.3 硬化コンクリートの物性試験結果
 打設したコンクリートの強度試験結果(標準養生)を表4.2に示す。圧縮強度は目標の35N/mm2(材令28日)を満足している。引張強度、曲げ引張強度及びせん断強度は、普通コンクリートに比較すると小さく、圧縮強度に対する各強度の比率が小さくなっている。これは、軽量骨材の強度が小さいためと考えられる。
表4.2 コンクリート強度試験結果(単位:N/mm2)
  材齢 ケースL ケースUL 備考
圧縮強度 7日 31.8 29.8 普通コンクリートの圧縮強度に対する比率:
28日 46.8 36.7
引張強度 7日 2.7(1/12) 2.5(1/12)
28日 3.7(1/13) 2.9(1/12) →約1/10
曲げ引張強度 28日 4.6(1/10) 3.1(1/12) →1/5〜1/7
せん断強度 28日 5.3(1/9) 3.6(1/10) →1/5〜1/7
注)括弧内は、圧縮強度に対する比率を示す。
 
 また、採取したコアの圧縮強度を表4.3に示す。同表には、施工試験時に作製し、施工試験模型と同様に気中養生を行い、コアの圧縮試験と同時に行ったテストピースの圧縮強度を合わせて示す。コア位置により若干の強度差はあるが、いずれも30N/mm2と良好な結果が得られた。
表4.3 コアの圧縮強度試験結果(材令28日)(単位:N/mm2)
ケースL ケースUL
ケース名 コア テストピース ケース名 コア テストピース
L-U1 35.1 34.8 UL-U1 32.1 32.4
L-U2 38.9 UL-U2 35.4
L-U3 37.0 UL-U3 30.2
L-M1 38.2 UL-M1 33.0
L-M2 41.5 UL-M2 30.5
L-M3 38.3 UL-M3 32.0
L-L1 38.9 UL-L1 35.8
L-L2 40.7 UL-L2 34.3
L-L3 39.8 UL-L3 33.7
※ケース名の右側はコア(10cmφ)採取位置を表す。場所を下図に示す。
 
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5.まとめ
(1) 軽量コンクリート(単位容積質量1800kg/m3)、超軽量コンクリート(単位容積質量1400kg/m3)とも良好な充性を有することを確認した。
(2) 軽量粗骨材は比重が小さく(絶乾密度約1.3kg/l)、打設して締め固める時に軽量骨材が浮き上がる現象が一般に見られるが、採取したコア表面の軽量骨材の分布に偏りは見られず、厚さ140mmの壁でも材料分離等を起こさず、十分施工できることが確認された。
(3) コアの圧縮強度は、気中養生を行ったテストピースの圧縮強度と同等以上であり、良好な充性を裏付けるものと考えられる。
(4) 軽量コンクリートの引張、曲げ引張及びせん断強度は、軽量骨材の強度が小さいために、総じて小さい結果となった。








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