日本財団 図書館


被害者支援法律まめ知識
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」

1 今回の151回国会におきまして、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が成立しました。
この法律は、DV(ドメステック・バイオレンス)防止法と呼ばれる法律です。そもそも、我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われていました。
ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてきませんでした。
このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要です。そこで、配偶者からの暴力に係わる通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力を防止及び被害者の保護者の保護を図るため、この法律が制定されました。

2 この法律では、まず、配偶者からの暴力への防止のために、都道府県の設置する配偶者暴力相談支援センターの設置の制度が創設されました。
配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次に掲げる業務を行うものとされます。
一 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は婦人相談員若しくは相談を行う機関を紹介すること。
二 被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導その他の必要な指導を行うこと
三 被害者の一時保護を行うこと
四 被害者が自立して生活することを促進するため、情報の提供その他の援助を行うこと。
五 保護命令の制度の利用について、情報の提供その他の援助を行うこと。
六 被害者を居住させ保護する施設の利用について、情報の提供その他の援助を行うこと。

このセンターは、将来、設置される予定です。福岡県にも設置される予定です。

3 さらに、この法律で、保護命令制度が創設されました。
被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申し立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、保護命令と退去命令を命ずるものとされました。
一 命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居、その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止すること。
二 命令の効力が生じた日から起算して二週間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること。保護命令等には、配偶者からの暴力を受けた状況や、更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる事情、そして、配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、配偶者からの暴力に関して相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無等を記載した書面を裁判所に提出する必要があります。その意味で、警察と弁護士との連携が大切になってきます。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION