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資料1 第16回IALA・VTS委員会会議報告
第16回VTS委員会
VTS 16/7/1r1
2001年9月7日
理事会のための要約
 
 VTS当委員会は、本第10回会議において、運用上の手続き(Operational Procedure)、装置の基準(Equipment Standard)、VTSマニュアルの一部、についての作業を更に進展させた。
 
 VTS指導者を育てるための新たな模範研修コースV103/4、及び、模範研修コース「職場研修」用の作業帳(OJT Task Book)が作成された。これらは、承認を得るために理事会へ提出される。
 
 VTS用具(VTS Tools)としてのAISに関するガイドライン案が、理事会の承認を得るために作成された。
 
 VTS装置に関する機能上の要件及び技術上の性能基準についての作業が開始された。
 
 1998-2002年期作業プログラムにおける全項目の最終的な状態が、本報告において説明されている。本委員会は、今後の作業プログラムについての提案書を作成したが、これは、IALAの2002-2006年期基本計画に沿っているものである。
 
 C-Map社のV.Kristoffersen氏が、自社の海洋(Ocean View)電子海図について紹介した。
 
 PIANCのC.Krajewski氏が本委員会に参加し、河川情報システム(River Information System:RIS)についての勧告に関する会議に出席した。
1. 全般

1.1 当VTS委員会は、第16回会議を、2001年9月3日から7日まで、IALA本部において、M.ソロシ氏(米国)を議長、B.リチャードソン海軍少将を副議長として開催した。事務担当は、ブルース・ケロウエイ氏であった。

1. 参加者名簿は、VTS16/別紙1に示してある。
2. 作業班は3組で、代表者は以下の通りであった。

運用班(WG1)  議長:ポレン氏、記録係:ホサイン女史
技術班(WG2)  議長:ラルー氏、記録係:ハドリー博士
要員/研修班(WG3)  議長:イーデス船長、記録係:ヒューズ船長
 
1.2 事務局長のクルーズ氏が、当委員会の1998-2002年期最終会議への参加者全員に歓迎の意を表した。事務局長は、全員に対し、当VTS委員会は、IALAの各委員会の再編が未決状態にある中で変わらず残るであろう、と告げた。
 更に、当委員会に対し、VTSにおけるAISに関して、及び、AIS海岸局の機能上の要件を定義することについて、やるべきことが多々あると述べた。また、参加者に対し、2002年4月にサウスシールズで開催が計画されているワークショップ「研修」に、また、更に、「制限水路おける航行」というワークショップが既に計画されていることに、留意するよう促がした。
 
1.3 当委員会は、理事会の要請に応えて、2002-2006年期IALA基本計画案の見直しを行い、当該基本計画に沿った今後の作業計画の提案書を作成した。この提案作業計画は、VTS16/6/1にある。
 
1.4 TermaAS杜のジェンズ・ピーダーセン氏が、VTS装置についての具体的な技術上の性能基準(Illustrative Technical Performance Standards)に関する文書を提出し、説明した。本委員会は、当該提出文書の中で提案されている構成を、V TS装置の運用上の性能基準及び技術上の性能基準の作成を担当する会議において、土台として使用することを決定した。これらの案件は、当委員会の運用作業班と技術作業班との協調作業により検討されて行くことになろう。本委員会は、この技術上の性能基準をIALA会員にとって有用で有益なものとするためには、適切な詳しさのレベルを決める必要があること、に合意した。技術上及び機能上において選択対象となり得る諸装置が、価格に幅を持たせることになること、及び、性能基準はあるレベルにおける価格分析または代替案分析を含むべきであること、が留意された。これらの重要事項は、来るべき作業プログラムにおいて、当委員会により優先案件として取り扱われるべきであること、が提案された。本件を取り扱うワークショップの編成について、更に検討が行われる予定である。
2. 着信資料

2.1 本委員会は、第26回IALA理事会の会議報告書に留意した。内陸水路の船舶通航業務に関する勧告が承認されたこと、が留意された。
 
2.2 その他の着信資料類は、全て、VTS16別紙2r1に列挙されている。これらの資料類は、各作業班へ振り分けられ、各班の検討に及びそれに続く具体化作業にもしくは当委員会の作業を進展させるための利用に、供された。
3. 運用(WG1)

3.1 VTSの教科単位から標準海上通信用語集までについて意見を提出。

 作業完了; 意見はIMOへ送付され、採択された。
 
3.2 VTSマニュアル

 本委員会は、マニュアルの第2.2章「VTSの分類」について見直しを行い、IMO決議A.857(20)「船舶通航業務のためのガイドライン」との一致性を確保するために文言の訂正を行なった。

 当該マニュアルの事務担当/編集担当は、VTS16/6/6で行われている変更に従って当該マニュアルを修正すること、が求められている。
 
3.3 VTS整備に先立って行なう危機分析及び予備調査についての勧告の作成

 作業完了
 
3.4 VTS装置の運用上の性能基準に関する勧告の作成

 本委員会は、VTS16/2/2、VTS14/WG2/WP2r1、VTS16/WG1/WP4、VTS11/6/1r1を検討した。VTS16/2/2は、内部資料として作成されているものであるが、技術的な性格が強過ぎ、VTS装置の運用上の性能基準を定める作業の支援には適さないと考えられた。従って、VTS16/WG1/WP4を、運用上の要件を判別するための最良のアプローチとして使用すること、が決定された。運用上の目標は、既に、VTS11/6/1r1において判別されていた。運用上の諸機能は、VTSが提供している3レベルの業務により決定されていた。これらの機能から、現在、一般的な諸パラメーターが判別されつつあり、資料が作成段階という過程にある。これは、変動要素が多数含まれているので、時間を要する作業と考えられる。この作業は、今会期中には完了されず、2002年秋の会期まで持ち越される必要があることになろう。

 作業班の作成資料VTS16/WG1/WP1が、次回VTS委員会会議において検討に付されるべきである。
 
3.5 VTSシステムの分類/区分に関する勧告の作成

 VTSの分類及び区分についての、もともと英国より提出された資料であるVTS15/WG1/WP5が見直され、最終稿が作成された。
 事務局長は、VTS16/WG1/WP3r4を理事会へ提出しVTSマニュアル第3版への記載事項として承認を得るようにすることが、求められている。VTSマニュアルの事務担当/編集担当は、括弧でくくられている記事部分を第2章の「はじめに」のところへ移すことを考慮するように希望する可能性がある。

 本委員会は、「VTSの分類に関するVTSアンケート」に対する、IALAによって受領された回答が欠けていることが懸念される旨を表明した。従って、事務局長は、VTS16/6/2にある書簡をVTS委員会の各委員へ送付し、このアンケートが各委員の国内におけるVTS担当部局/VTSセンターによって完了されるように助力を求めること、が要求されている。
 
3.6 内陸水路のためのVTSに関する一般勧告の作成

 作業完了
 
3.7 VTSセンターで使用する標準的な符号記号類の適用に関する(妥当である場合は)ガイドラインの作成
 AISが現れたために、この案件は、次回会期である2002年秋に持ち越されることになろう。
 
3.8 VTSについての運用上の目標及び運用上の手続きの設定
 本委員会は、フィンランドの資料VTS16/WG1/WP6を検討し、これを、更に練り上げてIALA勧告を作成するための基本文書として使用することを選んだ。VTS委員会の会期外の時期に会合する作業班(オランダと英国)が形成され、オランダと英国とのVTSにおいて使用されている運用上の手続きについての情報を収集することになった。

 当委員会の各委員は、各自の組織内において使用されている運用上の手続きについての実例であって、VTS運用上の手続き(VTS Operational Procedure)に関するIALAガイドラインに含まれている情報に追加される情報を含んでいる例を、ポレン氏とホサイン女史とへ送付するように求められている。
 
3.9 制限水路における航行に関するガイドラインの確立

 本委員会は、事務局との共同作業により、実施計画中のワークショップにおいて本件を取り扱う予定である。次回ワークショップは、2001年10月に開催される。
 
3.10 河川情報提供業務に関するガイドライン案及び勧告案

 本委員会は、PIANCからの着信資料VTS16/2/4を検討した。PIANCのクラジェウスキー氏に対して、多数の意見が表明され、PIANCの作業班で検討が行われるようにという要請があった。意見は、概ね、以下のついて述べたものであった。

・ 当該文書は、規範的な性質のものであり、河川情報提供業務(RIS)を汎世界的に整備することについては、困難を生じさせる恐れがある。
・ いろんなシステムのための表示の統合
・ VTSとRISとの関係
・ 法的な責任についての考慮
・ 資金の問題
・ 当該ガイドラインを国際的に適用するという点を強調することの必要性
・ 積荷情報の機密性
・ RIS運用者等の研修
 
3.11 VTSにおけるAISの使用に関するガイドライン

 事務局長の教示に応えて、本委員会は、VTS用具(VTS Tool)としてのAlSに関するガイドライン(VTS16/6/5)案を作成した。

 事務局長は、本文書を理事会へ提出しIALAガイドラインとして承認され採択されるようにすること、が求められている。
4. 技術(WG2)

4.1 VTS装置の具体的な技術上の性能基準に関する勧告の作成

 J.ピーダーセン氏が、自筆の資料「VTSの具体的な技術上の性能基準Illustrative VTS Technical Performance Standards)」について、本委員会で概要を説明した。当該資料及びWG2によるこれまでの作業に基づいて、本委員会は、VTS装置の性能基準を作り上げるための枠組みを作成した。この性能基準の文書を拡充させる作業が割り当てられた。この項目は、次回の作業プログラムへ持ち越されることになろう。
 
4.2 IHOへのIALA提案「VTS情報の舶用ECDIS上における表示に関する件」の進捗状況についての監視、及び、妥当である場合は、勧告とガイドラインとの作成

 IEC/TC80は、作業班を設けて、VTS情報の舶用ECDIS上における表示の件を検討しつつある。当委員会は、IALAの提出文書に対するIECの応答を待っている状態にある。
 
4.3 搭載要求及び表示事項を含むAlSの国際的な展開状況についての監視
 本項目についての作業は進行中である。
 
4.4 VTSの運用についてAISが持っている潜在的な意味の検討、及び、以下の事項
i.  VTS用具としてのAISの使用に関するガイドラインを、AIS委員会との共同作業により作成すること。

  本委員会は、提案されていた自動船舶識別システムに関するIALAガイドラインの「VTS用具であるAIS(AIS aVTS Tool)」と題された第4章を完結させた。

  事務局長の教示に従い、本委員会は、上記文書を拡充し、VTS用具としてのAISの使用について、より一般的なガイドラインをもたらすことにした。事務局は、この文書を理事会へ提出しIALA勧告として承認され採択されるようにすること、が求められている。

  この作業と関連して、本委員会は、更に、IALA・VTSマニュアルに別紙6として含まれることになる「VTSにおけるAISの役割」について述べている文書を作成した。

ii.  妥当である場合は、VTS問題との関連において、AIS委員会の方向付けを行うこと。

  本委員会は、提案されている自動船舶識別システムに関するIALAガイドラインの、「VTS用具であるAIS」と題されている第4章が、AIS委員会へ届けられその検討に付されること、を要求する。

iii.  WG1との共同作業により、AISの安全データと一般データとの間の関係を定義すること。

  今会期中にこの作業を進展させることは不可能であった。
 
4.5 VTSセンターと、他のVTSセンター・政府機関・業務協定機関・船舶などとの間におけるデータ交換(AISにより伝達されるものを含む)についての必要条件の検討、及び、研究開発という問題が持ち上がることを考慮しての勧告(共存する通信のためのものを含む)の作成

 この件は、IALA・AISガイドラインへ含めるために作成された文書との関連において検討された。しかし、当委員会は、現段階においては、勧告を行うことができない。
 
4.6 既存の調査プロジェクトの見直しを行い、当作業班に関連している情報を判別すること

 EUの調査プロジェクトIPPAと共に行われている作業について、進捗状況が報告された。
 
4.7 IALA・VTSマニュアル第3版の2001年1月18日付け案の見直し

 当委員会は、IALA・VTSマニュアルに付属書6として含まれることになる「VTSにおけるAISの役割」について述べている文書(V16/6/4)を作成した。

 事務局は、この文書をIALA・VTSマニュアルの編集担当へ届けるように求められている。

 
5. 要員/研修(WG3)

5.1 VTS要員の研修及び資格認定に関する基準についてのIALA勧告(V-103)をIMOへ提出し、本勧告がIMO総会決議において基本文書とされるように求める。

 当委員会は、VTS要員全員の研修及び資格認定についての規範を作り上げた。勧告V-103はIMOへ届けられ、MSCは、回報第952号を発行して勧告V-103が各IMO会員国の注目を集めるように処置した。IALA勧告V-103、及びそれに付随している各模範研修コース、がIMOにより認知を受けたことは、VTSを専門職ベースで推し進める上において、及び、普遍的な研修基準を採択する上において、大きな一歩となった。
 
5.2 VTS運用者の模範研修コース及び職場研修に関する勧告の作成

 模範研修コース一式が完成され、出版された。これには次のものが含まれている。

・ 模範研修コースV-103/1 船舶通航業務(VTS)運用者
・ 模範研修コースV-103/2 船舶通航業務監督者
・ 模範研修コースV-103/3 船舶通航職場研修
                (VTS運用者及びVTS監督者)
・ 模範研修コースV-103/4 船舶通航業務職場研修指導者
 (今会期に完成された)

 事務局長は、模範研修コースV-103/4をIALA理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
5.3 IALA・VTSマニュアルの「VTS要員及び研修」についての章の草稿作成

 当委員会は、VTSマニュアル第3版に含めるための、VTSの要員と研修との件についてガイドラインを与えている章を作成した。この章は、VTSの職員配備の水準についての勧告、及び、VTS研修施設を認定するための要件について並びに既存VTS要員の研修についての手引き、を取り込んでいる。
 
5.4 VTS要員に対する技術の影響についての監視

 当委員会は、これは現在進行中の案件であると考えている。
 
5.5 職場研修作業帳

 VTS運用者の研修を支援するためのものである職場研修作業帳の模範版(Model OJT Task Book)(V-103/OJT TB)が作成された。

 事務局長は、これを理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
5.6 VTS研修施設の認定

 本委員会は、各IALA会員へ送付する事務局長からの書簡の草稿を作成した。この書簡は、認定されている研修及び評価についてのIALAのデータベースを構築する意図を述べており、また、各会員がこの要件を満足させるために既に行っているまたは行おうと意図していることの進捗状況について、各会員からの情報を求めているものである。
 
6. 会議の成果資料

 本会議の成果資料一覧表は、本報告書のVTS16別紙2r1にある。
 
7. 今回の会議報告書の承認

7.1 本委員会は、この第16回会議報告書を、修正されたところにより、承認した。
 
7.2 次回会議は、2002年9月9日-13日に、14:00時に開始することをもって、サンジェルマン・アン・レイにおいて行うことが予定されている。
 
8. 行動

8.1 事務局長は、提案されている2002-2006年期作業計画を、IALA理事会へ提出するように求められている。
 
8.2 事務局長は、VTS16/WG1/WP3r4(分類)を、IALA理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
8.3 事務局長は、世界VTSガイドに関する書簡を、VTS委員会の委員全員へ送付するように求められている。
 
8.4 事務局長は、VTS用具としてのAISに関するガイドライン案(VTS16/6/5)を、IALA理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
8.5 事務局は、提案されているVTSマニュアルの別紙6(VTS16/6/4)を、当該マニュアルの編集担当へ送付するように求められている。
 
8.6 事務局は、提案されているAISガイドラインの第4章(VTS16/6/3)を、AIS委員会へ提出し検討に付されるようにすることが求められている。
 
8.7 事務局長は、模範研修コースV-103/4を、IALA理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
8.8 事務局長は、模範研修コース作業帳V-103/OJT TBを、IALA理事会へ提出し承認を得るようにすることが求められている。
 
8.9 事務局長は、認定研修施設に関する書簡と調査書とを、IALA会員全員へ送付するように求められている。
 
8.10 当委員会の各委員は、各自の組織内で使用されている運用上の手続きの実例であって、VTS運用上の手続きに関するIALAガイドラインに含まれている情報に追加される情報を持っている例を、ポレン氏とホサイン女史とへ送付するように求められている。








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