(3)海上交通について
[1] 概況
北九州港は、本州と九州の結節点に位置し、大陸にも近接しており、古くから海上交通の要衝として重要な役割を果たしてきた。平成12年の海上出入貨物量は、約9345万トン、コンテナ貨物取扱個数は約41万2千TEUで、全国有数の国際貿易港として、わが国の経済発展に大きく貢献している。
北九州港は、その背後に鉄鋼産業を中心とした大きな工業地帯を有しており、輸出では鋼材、コークス、化学薬品など、輸入では鉄鉱石、石炭、LNG(液化天然ガス)などが多い。これを貿易相手国・地域別にみると、オーストラリア・中国・インドネシアが上位を占め、さらにコンテナ貨物では、中国、台湾、韓国などが上位を占めており、アジアと西日本を結ぶゲートウェイとしての役割を担っている。
[2] 太刀浦コンテナターミナル
現在、北九州港において、国際貿易の中心的施設となっているのが、門司区の北端に位置する「太刀浦コンテナターミナル」である。水深12メートル岸壁2バース、水深10メートル岸壁3バースなどを備えるこの施設は、月間200便ものコンテナ船が寄港する西日本最大の国際コンテナ基地となっている。
「太刀浦コンテナターミナル」では、主に日用品や化学薬品などの国際コンテナ貨物を取り扱っており、アジアを中心とした諸国との貿易が行われている。
平成8年からターミナルオペレーションシステム(TACTOS)、平成12年からターミナルデリバリーシステム(TDS)の運用を開始しており、正確・迅速・効率的なターミナルオペレーションとターミナルトラッキングサービスを実現している。また、本年6月から六大港としては初の昼休みのゲートオープンを開始し、コンテナ貨物のターミナル搬入がより効率的になった。さらに、増大する青果物の輸入に対応するため、燻蒸上屋を整備中であり、今秋にも供用開始が予定されている。
太刀浦コンテナターミナル
[3] 小倉コンテナターミナル
本市の都心部に位置する「小倉コンテナターミナル」は、多くの物流センターが集積する都市型コンテナターミナルとして平成9年3月に供用開始された。鉄道や高速道路など陸上の基幹輸送網へのアクセス性は極めて高いものとなっている。特に、「小倉コンテナターミナル」とJR貨物「浜小倉駅」を核とした海上コンテナの鉄道輸送システムが、平成12年11月に本格稼動したことで、さらに利便性が向上している。
[4] 新門司地区
門司区東部、周防灘沿岸に位置する新門司地区には、九州最大のフェリー基地である「新門司フェリーターミナル」がある。現在、関西方面に1日4便(阪九フェリー、名門大洋フェリー)、関東方面に1日1便(オーシャン東九フェリー)が就航しており、西日本と関東・関西を結ぶ国内物流の一大拠点となっている。
背後には、広大な「マリナクロス新門司」(新門司二期臨海造成地)が整備されており、多くの物流会社が進出している。また、新門司地区は、九州自動車道の「新門司インターチェンジ」に約3キロメートルと近接しており、「太刀浦コンテナターミナル」との距離もわずかに約10キロメートルしかない。さらに、沖合約3キロメートルの海上には、大型ジェット機が24時間発着可能な「新北九州空港」が平成17年に開港される予定で、新門司地区は、今後も西日本最大の国内物流拠点として、大いなる飛躍が期待されている。
[5] ひびきコンテナターミナル
運輸省(現、国土交通省)が平成7年6月にまとめた長期ビジョン「大交流時代を支える港湾」のなかで、北部九州が中枢国際港湾の一つとして位置付けられた。これを受け、本市では、平成8年3月に「北九州港響灘環黄海圏ハブポート構想」を策定し、若松区西部の響灘地区に、九州唯一の水深15m岸壁を有する「ひびきコンテナターミナル」の整備を開始した。コンテナ船の大型化に対応するとともに、西日本地域及び環黄海圏から発生する北米・欧州向けコンテナ貨物の中継拠点機能を担うハブポートとなることを目指すものである。
まず、第一期整備事業では、水深15m岸壁2バース、水深10m岸壁2バース、コンテナターミナル43ha、港湾関連用地18haなどの整備を進めており、平成15年には、年間50万TEU以上のコンテナ貨物取扱能力を有する大型コンテナターミナルの供用開始が予定されている。
なお、「ひびきコンテナターミナル」の整備と運営にあたっては、民間の資金やノウハウを最大限に活用するため、PFI手法を導入し、国際競争力のある港づくりを目指して取り組んでいる。
また、「ひびきコンテナターミナル」から発生するコンテナ車輌等に対応するとともに、若松・戸畑区間の円滑な交通を確保するため、洞海湾を横断する新若戸道路を整備する。さらに、響灘地区では、臨海部の遊休地を活用した「エコタウン事業」や、大型の港湾施設と一体となった「響灘臨海工業団地」の整備を進めている。
響灘環黄海圏ハブポート構想完成予想図
(4)道路交通について
[1] 道路の概況
本市の都市交通は、自家用車の利用が最も多く、年々増加する傾向にあり、鉄道やバスなどの公共交通機関の分担率は減少している。このため、増加する自動車交通に対して、積極的に道路整備を進めるとともに、鉄道・バス・モノレールなどの公共交通機関の利便性の向上、並びに駅前広場などの交通結節点の整備を進めている。
幹線道路については、東九州自動車道や国道3号黒崎バイパスの整備が進められているとともに、都市高速道路、新北九州空港連絡道路、新若戸道路の建設に着手している。これらの道路が完成することにより、新北九州空港やひびきコンテナターミナルなどの物流拠点を結ぶ幹線道路ネットワークが形成され地域の活性化が期待される。
本市の道路面積は約29百万m2(H9年:延長4008百万m)で、この10年間で約17%増加し、市民1人あたりにすると28.4m2/人である。これは政令都市平均を大きく上回り、札幌市に次いで第2位である。
道路延長等の経年変化