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第3章 点検・整備に関するチェックリストの検討
1.チェック項目として検討すべき項目の抽出と考え方の整理
 第2章の検討を踏まえ、具体的で実効性が期待できる項目の絞込みを行った。
(1)点検・整備のための体制
 取組を進めるに際しては経営者が明確な方針を示したうえで、責任者とその権限を明確にしていくことが必要である。また、トラック運送業においては実際に環境保全活動に取り組むのは従業員(主としてドライバー)であるので、取組の内容等について教育を行うことにより取組を確実にすることも重要である。
 法定点検の簡素化に対応して、点検・整備に関する事業者の自己管理責任がますます重要になるので、会社として責任ある体制のもとに計画的な点検・整備を進めることが重要であり、そのためには責任体制の確立が不可欠である。
 以上の考え方を基本に点検・整備の実施体制としては、「整備責任者の設置」、「ドライバーに対する教育・情報提供」、「実施結果の記録の整備」、「実施結果に基づく取組」等をチェック項目に設定した。
(2)環境面から配慮すべき点検・整備箇所と内容
 トラック運送事業者の車両の使用状況を踏まえ、独自の点検・整備を行う必要がある。このため、チェックリストに盛込む項目として、法定点検に加えて独自に点検・整備を行うべき箇所及びその内容について検討した。
1)チェックリストの対象とする点検・整備箇所
 環境保全の観点から必要な点検・整備箇所と、トラック運送事業者が取り組める点検内容等は、「表8 環境に配慮した点検・整備項目」に示したとおりである。
 このうち「マフラ」については、長期にわたって使用する部品である(消耗品ではない)ことから、点検・整備の頻度等を考慮する必要性に乏しいため、チェックリストの対象外とした。
2)環境に配慮した点検・整備内容の検討
 法定点検に加えて、車両の使用状況を踏まえた独自の点検基準の必要性やその内容について検討した。
 ディーゼル車の排出ガスの規制強化等を踏まえ、トラック運送事業者には、適切な点検・整備の励行等により、使用過程車の初期性能の維持に取り組むことが要求される。前述のとおり、トラック運送事業者の定期点検の実施率はまだ充分とは言えない状況にあるが事業者の自主的な活動を期待するグリーン経営マニュアルにおいては、法定点検の実施を前提として、更に、走行距離や積載重量等、その使用状況をもとに独自の整備内容を設定することが求められている。
 独自の整備基準に関する目安としては、自動車メーカーによる推奨基準があるが、この場合でも、シビアコンディションで使用される車両については、その状態に合わせたより細かい点検・整備が必要である。
(3)車両の状態に基づく適切な点検・整備
 独自の点検・整備に加えて、日常から車両の走行状況等を把握し、整備事業者にその状況を的確に伝えることが重要である。そのためには、日常点検や車両の運行時に自動車排出ガスの状況、騒音の状況、燃費の状況等を記録しておくことが必要である。
 チェックリストには、こうした観点から、「車両の状態に基づく適切な点検・整備」の項目を設定した。








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