4.環境負荷の削減に効果があると考えられる点検・整備項目の整理
燃費の向上やPM等の削減の観点から、これまでに7つの取組強化項目について検討してきたが、ここではそれを基に具体的な点検・整備項目を抽出・整理した。
(1)検討項目の整理
1)点検・整備の実施が重要(取組強化項目の1、2、3、4、5、7)
点検・整備の実施にあたっては、実施する時期や方法及び、対象とする部位や部品の設定が重要である。
日常点検を含む法定点検と自主点検を、車両の使用状況に応じて効果的となるよう計画性を持って実施するためには、法定周期とメーカーが情報提供しているシビアコンディションを考慮して点検・整備の実施時期や方法を設定することが重要である。
点検・整備項目を抽出するためには、法定点検項目とメーカーが情報提供している部品交換の推奨に関係した項目を参考とすることが重要である。排出ガスの状態に直接影響を与える点検・整備項目として、エアフィルタ、エンジンオイル、エンジンオイルフィルタ、燃料噴射系、マフラ等が考えられる。また、燃費の低下を防ぐ点検項目としてはトランスミッションオイル、デファレンシャルオイル、タイヤの空気圧等が考えられる。さらに、カーエアコンの冷媒として使われているフロンの漏洩防止の観点から、エアコンガスを対象項目とすることも必要である。
2)点検・整備の体制の充実(取組強化項目の6)
体系的な点検・整備を進めるためには、環境保全全般の責任者や点検・整備を統括する者を定める必要がある。
(2)環境に配慮した点検項目の抽出整理
前述1)を踏まえ、点検・整備の箇所別に点検内容等について整理したのが次表である。
表8 環境に配慮した点検・整備項目
作業の実施 |
主に運送事業者が実施する |
主に整備事業者に依頼する |
運送事業者が実施又は 整備事業者に依頼 |
点検・整備項目 |
日常点検時 |
定期点検時 |
自主点検(随時必要な点検) |
点検内容 |
対応 |
点検内容 |
対応 |
点検内容 |
対応 |
エアフィルタ |
  |
  |
状態の点検 |
汚れがあれば清掃・交換 |
状態の点検 |
汚れがあれば清掃・点検 |
エンジンオイル |
量の確認 |
不足していれば補給 |
量の確認 |
不足していれば補給 |
  |
  |
  |
  |
汚れの確認 |
汚れていれば交換 |
汚れの確認 |
汚れていれば交換 |
  |
  |
漏れの確認 |
漏れていれば整備 |
  |
  |
エシジンオイルフィルタ |
  |
  |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
タイヤ |
空気圧の確認 |
不足していれば調整 |
空気圧の確認 |
不足していれば調整 |
空気圧の確認 |
不足していれば調整 |
排気ガス |
  |
  |
  |
  |
目視で状態確認 |
不適正であれば整備事業者に相談 |
  |
  |
測定装置で測定 |
不適正であれば原因箇所を究明し整備 |
測定装置で測定 |
不適正であれば原因箇所を究明し整備 |
トランスミッションオイル |
  |
  |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
  |
  |
漏れの確認 |
漏れていれば整備 |
  |
  |
デファレンシャルオイル |
  |
  |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
  |
走行距離や時期に応じて交換 |
  |
  |
漏れの確認 |
漏れていれば整備 |
  |
  |
燃料墳射系 |
  |
  |
噴射ノズルの汚れ等の確認 |
不適正であれば整備・調整 |
噴射ノズルの汚れ等の確認 |
不適正であれば整備・調整 |
マフラ |
  |
  |
状態の確認 |
不適正であれば整備・交換 |
状態の確認 |
不適正であれば整備・交換 |
エアコン |
  |
  |
  |
  |
状態の確認 |
ガスの漏洩防止等 |
(注)自動車点検基準(昭和26年8月10日 運輸省令第70号)および、
自動車の点検及び整備に関する手引(平成12年3月27日 運輸省告示第162号)等を参考に作成