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3.自動車排出ガスの規制に関する動向
 取組強化項目7
 初期性能維持のための、点検・整備の確実な実施。
 後述のように排出ガス規制が強化される状況のなかでは、初期性能をきちんと維持していくために、点検・整備の確実な実施により、排出ガスを良好な状態に保つことが重要である。なお、排出ガス規制が強化される一方、DPF装置の装着等整備の選択肢が広がる傾向にあることにも留意しつつ、計画的な整備を進める必要がある。
(1)ディーゼル排出ガス規制の強化
1)新短期規制の実施
 平成14年から平成16年にかけてディーゼル車の排出ガス規制の強化(新短期規制)を行うため、ディーゼル車の排出ガス規制に係る道路運送車両法の保安基準が改正され、平成12年9月5日に公布された(関連資料(4)参照)。
2)新長期目標の早期達成等(中央環境審設会 第4次答申)
 中央環境審議会より「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第4次答申)」として平成12年11月1日に出されたものであり、第3次答申で提言されたディーゼル自動車の新長期目標について達成時期を可能な限り早め、併せて軽油中の硫黄分を低減するとともに、引き続き自動車排出ガス低減対策のあり方全般について検討すること等がその内容とされている(関連資料(5)参照)。
(2)自動車NOx法の改正
 大都市地域のNOx対策については、自動車NOx法(平成4年)に基づいて特別の排出基準を定めた規制(車種規制)をはじめとする施策が実施されてきたが、自動車の交通量の増大等により、目標を達成することは困難な状況にある。一方、ディーゼル車から排出される粒子状物質については、発がん性のおそれを含む国民の健康への悪影響が懸念されている。このため、NOxに対する従来の施策を更に強化するとともに、自動車交通に起因する粒子状物質の削減を図るために新たに施策を講ずることが必要である。そこで自動車NOx法を改正し(「自動車から排出される窒素炭化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)」)、NOxに関する対策の強化やPM対策の追加等所要の改正を行った。
○法律の抜粋
 (自動車NOx・PM法)
1.対策を行う対象物質に粒子状物質を追加
・自動車から排出される粒子状物質の総量の削減を図るため、総量削減基本方針及び総量削減計画の作成、車種規制等による対策を推進
2.対策地域の拡大
・粒子状物質を法律の対象に加えることに伴い、対策地域を追加(名古屋市及びその周辺地域)
3.自動車排出ガス対策の強化
・粒子状物質について車種規制を導入
・車種規制の強化
ディーゼル乗用車を規制対象に追加する
・ディーゼル車の排出基準については、ガソリン車代替の可能な車両区分では当面その代替が必要になるレベルに、ガソリン代替が不可能な区分では最新規制値に設定する
4.事業者に対する措置の強化
・一定規模以上の事業者(所有台数30台以上)に対する自動車使用管理計画の作成、都道府県知事への提出を義務づけ
・都道府県知事による事業者の指導、助言等を実施
5.施行期日
・公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行
ただし、車種規制及び事業者に対する措置の強化は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行
(3)東京都におけるディーゼル車規制対策
 首都圏及び阪神圏における自動車排出ガスによる汚染に対しては、自動車NOx法を始めとして様々な対策が行われてきたが、その汚染の状況は依然として深刻である。このため、東京都では、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」においてディーゼル車から排出されるPMの規制をはじめ大規模事業者に対する低公害車導入の義務やアイドリング・ストップの義務づけを行っている。
○環境確保条例におけるディーゼル車からの排出ガス規制の概要
 (東京都におけるディーゼル車規制対策)
1.島嶼地域を除く都内において、基準を満たさないディーゼル車の運行禁止
・粒子状物質に係る東京都の排出基準を満たさないトラック、バス等のディーゼル車運行を禁止し、低公害車への買い換え、PM減少装置の装着を進める。
・規制基準は、国の新車に対する最新の排出基準の「一段階前」の値とする。
・PMの基準を満たさないディーゼル車は、新車登録から7年経過した時から都内での運行が禁止される。
・7年を経過した場合でも、都の指定するPM減少装置を装着すれば運行可能となる。
・基準を満たしているか、否かの判断は、個々の車の新車時の検査で測定された粒子状物質の排出により判断する。
・運行責任者は自動車の購入、配置、整備等自動車の運行に関わる全ての権限を持つ地位にある者とする。
・貨物の輸送等委託先の運行ルート、時間等を指定し、事実上運行責任者と同じ地位に在る者は、荷主も責任を負う。
・条例違反の場合には、責任者に対し運行禁止命令を出す。
2.自動車環境管理計画書の提出
・島嶼を除く都内に事業所があり、30台以上の自動車を使用する事業者を対象とする。
・低公害車の導入や自動車の使用合理化等自発的な環境配慮行動を記載した計画書の提出とその実績報告を義務づける。
3.アイドリング・ストップの義務づけ
・自動車の運転者に、駐車又は停車したときのアイドリング・ストップを義務づける。
・自動車を使用する事業者に対し、その自動車の運転者に対する研修を義務づける。
・20台以上の駐車場の設置者、管理者に対し、駐車場利用者に対し、看板等によるアイドリング・ストップの周知を義務づける。
4.低公害車の導入の義務づけ
・200台以上の自動車を事業に使用している事業者に対し、低公害車の導入を義務づける。
・低公害車の導入率は、平成17年度末までに超低公害車(国の時期排出ガス規制値に対し75%低減レベル)に換算して5%以上。
5.重油混和燃料の使用禁止
・重油を、ディーゼル車に使用される軽油に混ぜることによりPM排出量が増加することが確認されており、そうした燃料の使用を禁止する。








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