本報告書は、日本財団の平成13年度助成事業として実施した「自動車共同利用モデル実験」の成果をとりまとめたものである。

　

　環境問題への関心が高まりつつある中、大量生産・大量消費型社会から循環・省資源型社会への移行の必要性が唱えられている。当財団では、交通の分野でこうした新しい時代にふさわしい交通システムの方向性等を研究すべく、平成11年度に「エコ交通に関する調査研究」を実施した。その中で、車の新しい使い方として欧州各地で増加しつつあるカーシェアリングについて重点的に調査を行った。

　12年度は、カーシェアリングに代表される自動車共同利用システムの我が国での普及のための諸課題について検討するとともに、社会実験を行うための実施計画の策定を行った。

　そして13年度は、前年度から検討してきた東京都北区(コスモ王子ガーデンズ)および、公募により採用した東京都三鷹市(シティーコート下連雀)において、我が国初の低公害のガソリン車を使った有料でのカーシェアリング社会実験を実施した。

　実験を通じて利用状況等に関する貴重なデータが得られた。また、多くの実験参加者からカーシェアリングは便利であるとの評価が得られた。さらに、カーシェアリングが普及した場合に環境改善効果や都市空間の節約効果が期待できることも確認できた。一方、普及のためには法制度の整備や、初期段階での財政的支援が重要であることも再確認できた。

　

　実験実施にあたっては、様々な業界の企業の方々や大学研究室にご協力いただいた。また、学識経験者、関連業界、関係省庁等の方々からなる委員会を設け、指導・助言をいただいた。太田委員長はじめ、委員の皆様方ならびに実験実施にご協力いただいた多くの方々に深く感謝を申し上げる次第である。さらに、実験にご理解をいただいた実験実施場所の住民の方々や、実際に実験に参加して下さった方々にも御礼を申し上げたい。

　カーシェアリングヘの関心を高めつつある地方公共団体、市民団体、市民、事業者の方々に今回の実験データを公表し、得られたノウハウの普及に努めたい。

　本報告書が環境にやさしい交通に関心を持たれている方々に広く活用され、我が国でのカーシェアリングの普及に向けて貢献できれば幸いである。

　

平成14年3月

　

委員長	太田　勝敏	東京大学大学院工学系研究科教授
委員	青木　英明	共立女子大学家政学部助教授
	浅野　光行	早稲田大学理工学部土木工学科教授
	池田　信彦	オリックス・レンタカー株式会社執行役員
	枝廣　淳子	環境ジャーナリスト
	笠井　純一	日産自動車株式会社車両交通研究所主任研究員
	加藤　武彦	株式会社インターリンク代表取締役
	久保田　尚	埼玉大学大学院理工学研究科助教授
(以上五十音順)
	大野　裕夫	国土交通省総合政策局環境・海洋課長
	森崎　一彦	国土交通省自動車交通局技術安全部環境課長
	(四倉　清裕　国土交通省自動車交通局技術安全部環境課長)

　

　

グループ長	青木　英明	共立女子大学家政学部助教授
構成員	青木新二郎	パーク24株式会社情報サービス室室長
	川勝　史郎	ダイハツ工業株式会社ITS企画室兼E・HV開発部主査部長
	佐々木定男	日本信号株式会社交通情報システム事業部ITS担当部長
	原田　雅之	松下通信工業株式会社ITS事業推進本部ITS事業推進室副参事
	丸山　肇	株式会社コスモスライフマンションアメニティ事業部管理企画部次長
	山口　隆志	オリックス・レンタカー株式会社首都圏営業部課長
	吉田　秀一	日本政策投資銀行政策企画部課長
(以上五十音順)

　

　

グループ長	浅野　光行	早稲田大学理工学部土木工学科教授
構成員	池内　順平	早稲田大学修士1年
	飯島　裕之	早稲田大学学部4年
	上野　裕二	早稲田大学学部4年
	池岡　和哉	研究生

　

事務局:	土橋　士郎	交通エコロジー・モビリティ財団常務理事
	南　允啓	交通エコロジー・モビリティ財団参与
	加藤　信次	交通エコロジー・モビリティ財団交通環境対策部長
	(人見　真一　交通エコロジー・モビリティ財団交通環境対策部長)
	市丸　新平	交通エコロジー・モビリティ財団交通環境対策部担当課長

　

作業担当:	望月　真一	アトリエUDI都市設計研究所代表取締役
	市原　隆一	アトリエUDI都市設計研究所
	［吉田　秀一　日本政策投資銀行政策企画部課長第III章執筆協力］