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4.海洋環境保全推進活動の状況
(1)推進員の活動状況
 推進員は、海上保安庁の実施する行事だけでなく、それぞれが所属する団体等で実施する環境保全行事において海洋環境保全コーナーを設置して、パネル展や図画展を開催したり、社内の広報誌やインターネットのホームページに海洋環境問題等を掲載し、そのホームページを見た中学校から授業の一環として職場訪問を受けたり、地域の親子を対象に環境に関する紙芝居や水質検査の実験を行ったりするなど、活動状況は年々多彩に、かつ活発になってきている。(表−6参照)
 このような地域密着した草の根的な環境保全行事では、海事・漁業関係者だけでなく、日常生活では海との関係が少ない地域住民に対しても、幅広く密接な周知啓発活動を行うことができるため、海洋環境保全の推進に大きな効果をもたらしている。
 行事に参加した子供たちも、「ポイ捨てをしないように」また、「家庭排水に、油などを流したりして海を汚さないように、自分の出したゴミも人の捨てたゴミも家に持ち帰る」「食べ物を残さず食べるようにする」などの感想が多く寄せられており、推進員の地道な活動が次世代を担う子供たちにも大きな影響を与えていることが伺える。
(表−6)平成12年度海洋環境保全推進員活動件数
地方本部 啓発活動件数 汚染通報件数 合計 海上保安庁の措置を有した件数
海上保安庁が実施する行事等への参加・協力 関係団体等が実施する行事等への参加・協力 その他 油以外 地方公共団体への通知 海上保安庁が防除措置を行った件数 捜査件数 警告

指導
着手 検挙再掲
北海道 23 19 128 170 6 6 12 182 5 7 1 1 0 13
東北 46 54 1,111 1,211 11 3 14 1,225 0 13 3 2 1 17
関東 33 30 628 691 6 7 12 703 2 5 1 1 1 9
東海 22 37 886 945 1 38 39 984 20 7 0 0 1 28
神戸 148 79 4,447 4,674 12 143 155 4,829 130 7 1 1 5 143
広島 276 154 646 1,076 4 39 43 1,119 7 4 0 0 9 20
門司 75 34 1,247 1,356 4 28 32 1,388 2 4 3 3 13 22
舞鶴 27 59 983 1,069 1 1 2 1,071 0 1 0 0 0 1
新潟 26 23 1,260 1,309 1 2 3 1,312 1 1 0 0 0 2
南九州 24 25 671 720 2 39 41 761 1 0 0 0 5 6
沖縄 16 5 15 36 5 2 7 43 1 0 1 1 2 4
合計 716 519 12,022 13,257 53 307 360 13,617 169 49 10 9 37 265
 
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海上保安新聞 第2546号(平成13年8月2日)
 
 7月20〜21日、元街小学校6年生20名に対して「マリンキャンプinやしま」を行いました。マリンキャンプとは、元横浜市立小学校長を歴任された加藤推進員や横浜市教育委員会、元街小学校の協力のもと、次世代を担う子供達に巡視船やしまでの生活体験を通じ海洋環境保全意識の高揚を図るとともに、海への関心、知識を深めてもらう事を目的として横浜海上保安部が学習機会を提供したものです。
 加藤推進員は児童引率として全行事に参加し、また「美しい海を守るため」と題して海洋環境保全講習の講師も努めました。
 講習では、横浜市下水道局の処理水サンプルを用いて、処理場の各処理工程と家庭排水が浄化され海域に排出されていく姿、さらに家庭から実践できる環境保全をわかりやすく解説しました。
(関東地区会誌「かんきょう」第14号)
(2)地区海洋環境保全推進運動の実施
 地区海洋環境保全推進運動は、「地区海洋汚染防止推進運動」として、昭和61年度から海洋汚染発生件数の多い特定5地区において実施され、平成2年度からは特定5地区に特定地区外6地区を含めた全地区において展開されていた推進運動を、本事業の始まった平成8年度に各地区が海洋環境保全推進運動名称を変更して、全地区を対象に実施しているものである。
 各地区海洋環境保全推進運動名称は(表−7)のとおり。
 本運動は、6月1日〜30日の1か月間(環境月間)及び11月1日〜7日の1週間(海洋環境保全推進週間)、所轄海上保安部署の指導のもとに、地域住民を対象として海浜清掃や海洋環境教室を開催したほか、環境保全行事において海洋環境保全コーナーを設置し、海洋環境保全ポスターの掲示、パンフレット等の配布を行うなど、幅広い周知啓発活動を実施した。
(表−7)地区海洋環境保全推進運動名称
地方本部 運動名称
北海道 北海道地区海洋環境保全推進運動
東北 東北地区海洋環境保全推進運動
(みちのくの海クリーンアップ2001)
関東 関東・静岡海洋環境保全推進運動
東海 伊勢湾・熊野灘地区海洋環境保全推進運動
神戸 大阪湾クリーン作戦
広島 瀬戸内海・宇和海クリーン作戦
門司 九州北部・山口西部海洋環境保全推進運動
舞鶴 日本海西部海洋環境保全推進運動
新潟 中部日本海海洋環境保全推進運動
南九州 南九州地区海洋環境保全推進運動
沖縄 沖縄地区海洋環境保全推進運動
 
[1]ポスターの掲示
 各地方本部ごとにポスターを作成したが、ポスターの図案は、海上保安庁が平成12年度に実施した、海洋環境保全思想の普及と海上保安業務への理解の促進を図る目的で、小学生を対象に「第1回未来に残そう青い海・図画コンクール」において募集し、各地方本部で入賞した作品(広島地方本部を除く)を採用して図案化したもので、各地方本部ごとに特色あるポスターを作成した。
 (各地のポスターは、口絵に掲載)
 ポスターは、推進員及び海上保安部署の応援を受けて、各地のデパート、水族館、小学校等の公共施設等、フェリー待合室及びイベント会場などに展示された。
[2]周知啓発用資料の配布
 海洋環境保全推進活動の周知啓発用資料として、小学校低学年向けのパンフレットを中央本部おいて作成し、小学校に配布するとともに、会誌を各地方本部において作成し各種環境保全の行事等で活用した。
aパンフレット
 小学校低学年用として、海上保安官の関口 進さんに作成していただいたマンガパンフレット「みらいにのこそうあおい海」(B-5判、16頁)を70,000部作成し、各地の小学校を中心に配布した。
 このパンフレットは、小学校での環境学習の教材としても利用されており、推進員が近隣の小学校に配布したほか、海洋環境教室や街頭キャンペーンなどのイベントの際に小学生を対象に配布した。
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b会誌
 推進員の機関誌・情報誌として地方本部ごとに発行されている会誌も、各地区の状況に応じて年1回〜6回発行され、海洋環境保全推進事業の広報誌として徐々に関係団体等へ浸透してきている。
 会誌名も各地区独自のネーミングとなっており、地域の一般市民にも親しみやすくなっているほか、内容も推進員の活動状況のほか、海上保安部署からの環境保全関連情報・環境関係法令の解説、地区ブロック会議の開催状況、環境小話など豊富な情報を盛り込んでおり、海洋環境保全について推進員だけでなく一般市民に対しても大変わかりやすいものとなっている。
 各地方本部発行状況は(表−8)のとおり。
(表−8)平成13年度海洋環境保全会誌発行状況
地方本部 会誌名 発行号数・発行年月日
北海道 きたきつね
海洋環境保全推進員機関誌
第10号(13.6.15)
東北 なりはま
海洋環境保全推進員だより
第9号(13.8.30)
第10号(14.3.8)
関東 かんきょう
未来に残そう青い海・海洋環境推進員の情報誌
第14号(13.9.25)
第15号(13.12.10)
東海 伊勢湾・熊野灘地区
 みんなの心で守青い海・
  Marine Eco Press
第17号(13.8.30)
神戸 海洋環境保全推進員だより 第16号(13.7)
第17号(13.11)
広島 未来に残そう青い海
マリン・エコ・ネット
第45号(13.5.10)
第46号(13.7.10)
第47号(13.9.10)
第48号(13.11.10)
第49号(14.1.10)
第50号(14.3.10)
門司 しおまねき
海洋環境保全推進員だより
第13号(13.7.27)
第15号(14.2.20)
第14号(13.11.29)
舞鶴 海洋環境保全
推進員だより
第14号(13.9.25)
第16号(14.3.25)
第15号(14.1.11)
新潟 かんきょう通信
-海洋環境保全推進員だより-
第11号(13.7.31)
第13号(14.1.28)
第12号(13.12.14)
南九州 海洋環境保全推進員だより
青い海
第11号(13.7.27)
(3)海洋環境保全コーナーの開設
 海洋環境保全コーナーでは、環境パネルや「未来に残そう青い海・図画コンクール」で応募された図画を展示するだけでなく、来場者に水質実験を体験してもらい、海洋汚染の原因について充分認識してもらうなど、さまざまな工夫をこらしたコーナーを開設した。
 環境図画展を開催した地区では、海洋環境保全ポスターの図案として募集した図画を地元郵便局やデパートなどに展示することで、より地域に密着したコーナーとなり、地域住民に対して海洋環境保全思想を広く周知することとなった。
 また、各地の水族館や推進員の勤務するカーフェリー船内には、海洋環境保全コーナーを常設して「漂着ゴミ」等の展示を行い、海洋環境保全の必要性を訴えている。
 今年度開設された主な海洋環境保全コーナーは(表−9)のとおり。
(表−9)平成13年度地方本部別海洋環境保全コーナー実施状況
地方本部 行事名 開催地区
北海道 巡視船一般公開 小樽・稚内
紋別・釧路
東北 環境パネル展
サン・サン☆さんりくサンライズフェア
海の博覧会
青森
宮古
小名浜
関東 横浜開港祭
川崎みなとまつり
ワールド・シーワールド
みなと産業祭
千葉ポートフェスティバル2001
銚子産業まつり
横須賀ビーチクリーンアップかながわ2001
横浜
川崎
東京
那珂湊
千葉
銚子
横須賀
東海 環境パネル展 名古屋
四日市
尾鷲
神戸 大阪湾クリーン作戦
環境パネル展
きらめき創造力フェスティバル
海の図画展・環境ポスター展・環境パネル展
大阪・堺・神戸
神戸
姫路
全支部
広島 たまの・港フェスティバル
日生サンバーフェスティバル(水産業祭り)
環境写真パネル展

海洋環境写真パネル展
玉野
玉野
呉・尾道・徳山
高松・松山・今治
岩国
門司 環境図画展・環境パネル展

厳原港まつり・対馬アリラン祭
巡視船一般公開・体験航海
門司・下関・三池
若松・唐津・厳原
厳原
若松・下関
長崎・佐世保
舞鶴 ワールドトレードフェア2001in浜田
環境ポスター展
浜田
境・西郷
新潟 新潟市環境フェア
環境図画展・環境パネル展
新潟
伏木・小木・直江津
南九州 環境図画展 三角・油津
串木野
沖縄 環境図画展・環境パネル展
親子ふれあいクルージング
本部・名護・石垣
平良
本部
(4)海浜清掃の実施
 6月と11月の地区海洋環境保全推進運動期間中、海上保安庁がクリーンアップキャンペーンとして実施している海浜清掃のほか、市町村等が実施している海浜清掃にも、各地の推進員が積極的に参加して海浜清掃を行うとともに、回収したゴミを教材に、この調査に参加した小・中学生等を対象として海洋環境教室を開催し、海洋環境保全を強く訴えた。
 本事業の始まった平成8年度における海浜清掃の参加者は、海事・漁業関係者、事業者等が殆んどであったが、近年では、各地のボランティア団体や小学校など一般市民の参加が多く見られるようになり、年々、一般市民の、特に児童の海洋環境保全に対する意識が大きく向上していることが伺える。
 今年度実施された主な海浜清掃は(表−10)のとおり。
(表−10)平成13年度地方本部別海浜清掃実施状況
地方本部 行事名 参加人数 回収量 開催地区
北海道 クリーンアップ日本海・留萌
広尾町音調津海岸漂着ゴミ調査
420
48
4トン
32袋
留萌
広尾
東北 クリーンアップ蒲生
2100人クリーンビーチ大作戦
大島小田の浜海水浴場漂着ゴミ調査
蕪島周辺海浜調査
戸賀湾海浜漂着ゴミ調査
浜中海水浴場漂着ゴミ調査
いわき市永崎海岸漂着ゴミ調査
400
1800
53
80
32
28
77

4トン
20袋

25kg

40kg
塩釜
石巻
気仙沼
八戸
秋田
酒田
小名浜
関東 湘南鵠沼海洋クリーンアップ
お台場海浜公園海底・海岸清掃
ビーチクリーンアップかながわ2001
野比海岸漂着ゴミ調査
下田海中クリーン作戦

474
200
105
180

300kg
50袋
40袋
1トン
横浜
東京
横須賀
横須賀
下田
東海 浜海浜清掃
海浜清掃(大淀海岸)
280
165
2トン
3トン
名古屋
鳥羽
神戸 大阪湾クリーン作戦
二色浜海浜清掃
須磨海岸クリーン作戦
二見海岸海浜清掃
田辺湾漂着ゴミ調査
串本海岸清掃
小松島港和田島海岸清掃
400

2500

330
1500


12トン

6.5トン
20トン
大阪・堺
岸和田
神戸
東播磨
田辺
串本
小松島
広島 宇品海岸漂着ゴミ調査
倉敷市沙美海水浴場海浜清掃
玉野市渋川海岸
光市虹が浜漂着ゴミ調査
庵治町御殿浜漂着ゴミ調査
蕪崎港海岸清掃
宇和島市赤松海岸漂着ゴミ調査

115

109

300

2トン


40袋

広島
水島
玉野
徳山
高松
新居浜
宇和島
門司 下関市彦島海岸漂着ゴミ調査
ラブアース・クリーンアップ2001
合同海岸清掃
厳原港清掃大作戦
伊王島沿岸漂着ゴミ調査

850
335
100
120

6トン

8トン
500kg
下関
若松
三池
厳原
長崎
舞鶴 松原クリーンアップ作戦
網代海岸清掃・漂着ゴミ調査
海岸クリーン作戦
67
378
230
2トン
3トン
35袋
敦賀
網代
西郷
新潟 新潟港クリーンアップ2001
日和浜海岸漂着ゴミ調査
合同海浜清掃
300
42
2.7トン 新潟
七尾
南九州 三角西港クリーン作戦
海岸清掃
日豊海岸クリーン作戦
38
150
2600
2トン
3トン
5トン
三角
山川
細島
沖縄 クリーンアップ宮古
海浜清掃
270 2.0トン 平良
沖縄全域
(5)海洋環境教室の開催
 海洋環境教室は、海上保安部署の協力により、巡視船艇の体験航海や一般航海にあわせて一般市民を対象に開催されたほか、地域の海浜清掃、海岸・海浜漂着ゴミ調査などの際に、回収したゴミを教材に、行事に参加した小・中学生及びその父兄などを対象として開催された。
 さらに、中・高校生の職場訪問や体験学習ににあわせて海洋環境保全講習会を開催して、海洋環境の保全についての講演や付近海域の海水を採取しての水質検査を行うなど、機会あるごとに21世紀を担う子供たちを対象に、海洋環境保全について意識の向上を図ることとした。
 また、推進員からの要請により地元小学生を対象に「海洋体験学習」を巡視船にて実施し、「海辺の教室」「海の勉強会」を、推進員の所属するヨットハーバーを教室に、ゴミ問題などに関する学集会を開催したことにより、児童・生徒だけでなく父兄や教職員に対しても日常生活等から生じる海洋環境の汚染状況に対する理解を深め、海洋環境保全に対する関心を高めることとなった。
(6)海洋こどもエコクラブの活動
 各地の海洋エコクラブ会員を対象に、海上保安庁の協力を得て、巡視船艇による海洋環境クルーズや海洋環境教室を開催して、海洋環境の保全に対する意識の向上を図った。
東備海洋こどもエコクラブを結成(広島地区)
 海上保安協会玉野支部海洋環境保全推進員の岩城源作さんが「東備海洋エコクラブ」を結成、7月28日備前市民センターで備前市長ら来賓を迎えて結成式が行われた。
 メンバーは備前市立片上小学校と佐伯町立佐伯小学校の小学2年〜6年までの22人。
 「海の子と山の子の交流を深めながら海に親しみ、海から受ける恩恵の大きさを知り、きれいな海を守るには何をしたらいいか」という意識を持ってもらいたいと、玉野部と海保協会玉野支部の後援で結成した。結成式では、会員一人ひとりがクラブ代表の保安岩城推進員から会員証と帽子を受け取り、決意を新たにした。
 結成式の後、こどもたちは備前市片上港から巡視艇「せとかぜ」に乗船、環境パトロールを兼ねて体験航海。乗組員から島の名称の由来を聞いたり、順番に操舵を体験するなど約1時間半の航海を楽しんだ。
 クラブは、海浜・河原の清掃奉仕や海中生物の観察を通して環境学習などを行った。








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