8.結果
タンクの水中重量は、スチールとアルミでは異なり、スチールで重たく負荷が高くなる。1日目の7月17日に行われた実験では、このことを考慮せずに行われたため、空気タンク(スチールタンク)の負荷が高くなり同一条件で行えなかったためにデータから削除した。2日目(7月18日)に行われた実験ではスチールとアルミの水中重量を測定し、同じ条件で行った。従って、実験は2日目の6人のデータを用いた。水温は28℃であった。
それぞれの呼吸ガスによる6人の平均心拍数を図4-1と表4-1に換気量を図4-2と表4-1に示す。開始2分までは換気量が安定しなかったために、開始3分以後の結果である。
各呼吸ガスによる全体の平均心拍数は、Airが131.5拍/分、Nitroxが127.3拍/分、Helioxが134.7拍/分とNitrox<Air<Helioxと高く、負荷レベルはそれぞれ中等度であった。
平均換気量は、Airが27.3リットル/分、Nitroxが26.7リットル/分、Helioxが29.1リットル/分と心拍数と同様にNitrox<Air<Helioxと高い結果であった。
実施後の使用感想を聞いた調査は10人全員に対して行われ、次の[1]〜[10]に示す。[1]〜[4]は7月17日、[5]〜[10]は7月18日の対象者である。
[1]負荷量の自覚は、Air>Nitrox>Helioxであった?Helioxで呼吸抵抗が少なく感じた。
[2]負荷量の自覚は、Air>Nitrox>Helioxであった?Helioxで呼吸抵抗が少なく、涼しく感じた。
[3]負荷量の自覚は、Air>Nitrox>Helioxであった?Air負荷では苦しかった。Helioxで呼吸抵抗が少なく感じた。
[4]負荷量の自覚は、Air>Nitrox>Helioxであった?Air負荷で熱く感じスーツ内に水を入れた。Helioxで呼吸抵抗が少なくは感じなかった。
[5]Airが一番熱かった。Helioxガスが冷たい分、体が楽だった。
[6]呼吸抵抗の違いは感じなかった。Helioxでノドが渇いた。Helioxは咽頭までは冷たく感じたが、以後はそれほど感じなかった。
[7]負荷量は、運動の順番でなれてきた感じがある。Helioxで呼吸抵抗の違いは感じなかった。
[8]吸入に伴う温度の変化はあまり感じなかった。Helioxの抵抗は少ない。
[9]負荷の違いない。Helioxの体温消失?呼吸抵抗の違いはない。
[10]体の熱さを感じたのがNitroxであり、Helioxが熱さを感じなかった。Heliox呼吸抵抗は楽な感じを受けた。
7月17日対象者はタンクの水中重量を考慮しなかったためにHelioxタンクが最も軽い状況でドルフィンが行われ、4人共がAir>Nitrox>Helioxの順に負荷が少なかったと感想を述べている。7月18日はタンク重量を修正して行われ、AirとNitroxの違いを自覚した者は存在せず、Heliox吸入で冷たい自覚を感じたと感想を述べる者が多く存在した。
図4-1 心拍数の平均値 測定ポイントは20秒ごとである。
図4-2 換気量の平均値
表4-1 運動負荷中の平均心拍数(n.6) 測定ポイントは1分ごととした
経過時間 |
Air |
Nitrox |
Heliox |
3m00s |
125.5±10.9 |
120.8±10.4 |
129.7±11.2 |
4m00s |
130.7±11.7 |
126.0±11.8 |
133.0±10.7 |
5m00s |
129.5±10.2 |
126.2±10.5 |
131.5±10.1 |
6m00s |
133.8±10.8 |
129.3±9.2 |
135.5±8.9 |
7m00s |
132.3±12.6 |
130.2±9.2 |
137.3±9.0 |
8m00s |
132.2±12.7 |
129.3±9.6 |
138.2±9.7 |
表4-2 運動負荷中の平均換気量(n.6)
経過時間 |
Air |
Nitrox |
Heliox |
3m00s |
25.8±7.0 |
25.3±4.9 |
28.2±6.5 |
4m00s |
27.8±7.5 |
25.7±6.7 |
28.3±5.9 |
5m00s |
27.5±8.0 |
25.8±6.6 |
27.8±5.4 |
6m00s |
28.0±6.8 |
27.3±4.9 |
29.7±4.6 |
7m00s |
27.2±5.6 |
28.2±4.9 |
30.0±6.3 |
8m00s |
25.5±6.0 |
26.0±3.2 |
29.5±5.6 |