9.考察
心拍数から運動強度の評価を行うことは、あらゆるスポーツで実用化されている1,2)。
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図2-1 流速1ノット中における心拍数の変動
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図2-2 50m平行潜水中の心拍数の変化
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図2-4 10mまでの垂直潜水における心拍数の変化
本調査研究の目的は、スクーバダイビングを専門としている特救隊員がどれだけの体力と能力を持っているかをプールトレーニングの中で調べ、その状態での負荷量を心拍数から評価することにある。
特救隊員のダイビングに関する能力は、5名だけの結果ではあるが、ドルフィンキックの泳力において最大心拍数にまで追い込み、維持できる体力が備わっていた。平行潜水においても50m程度であれば余裕のある潜水が実施可能である。10mの垂直潜水においても余裕のある潜水が可能であった。潜水徐脈の出現が認められたが、実作業においての影響は認められないと思われる。
横浜防災基地プールでのトレーニングにおけるアドバイス
1.ドルフィンキックトレーニング
泳力強化のためのトレーニングは、訓練用プールで流速ノット(低速、中速)を変えたトレーニングが必要である。時間は、10分を目標にし、負荷強度は心拍数で最大負荷量の180拍/分前後を目標とすべきである(図2-1)。但し、水面流速は、コース(位置)により異なる。
2.訓練プールの平行潜水トレーニング
50mの平行潜水は問題なくこなせるために、数本の繰り返しトレーニングを行う(図2-2)。例えば、1分間の休憩を挟んで10本の50m潜水を行うなどの方法が考えられる。
3.潜水プールの垂直潜水
10mまでの垂直潜水は余裕のある潜水が可能である。また潜水徐脈の出現が認められるが、訓練及び実作業においての影響は認められないと思われる。
訓練としては、10mを最大水深として数本の繰り返し潜水が考えられる。潜降方法は、梯子及びロープを伝うやり方とガイドなしのやり方がある。