[5]2001年9月から12月にかけての取り組みについて
前章でも述べたように、2001年5月10日付けで「フィジカルトレーニングマニュアル作成に向けての作業の方向性について」の指針が出された。我々も2001年度の研究計画として当初2001年9月から12月にかけて「特殊救難隊員の基礎運動機能並びに各種フィールドテスト結果に及ぼす3ヶ月間の基礎体力づくりプログラムの効果と影響」と題して別添資料のような1)筋持久力系、2)柔軟性、3)アジリティ系、4)エアロビック系の4種のトレーニングからなる基礎体力トレーニングを立案し、3ヵ月間実施する計画に基づいて研究を開始したが、残念ながら実施開始まもなくアメリカ合衆国での同時多発テロが発生し、特殊救難隊にもその派遣並びに待機と合わせて緊急の特殊訓練事項が発生し、その計画どおりの実施が困難となった。そこで今回は当初の検討計画に沿わないまでも、実施可能な限りで隊員にトレーニング実施を指示し、以下のようなその実施前後におけるラボラトリーテストとフィールドテスト及び前中後における蓄積的疲労度並びに健康習慣等を実施し、その変動を検討した。
図5,6はその間の1ヶ月毎に実施したCESI並びにPOMSテストの結果である。図5からもわかるようにCFSIから見た訴えは、
I)NF2-2 身体的不調の因子の訴え率が9月に比べて11月に有意に低かった(p<0.05)。
II)12月におけるNF3イライラの状態の因子の訴え率が5%水準で10月より、また1%水準で11月より有意に高かった(p<0.05)。
III)11月におけるNF4労働意欲低下の因子の訴え率が、他の月より有意に低かった(9,10月は5%水準、12月は1%水準で有意差が認められた)。
のようであり、2001年12月には全般にやや負荷量が高まったことが推察された。
図5 2001年9月〜12月のCFSIプロフィール(特救隊n=24)
また、図6はPOMSテストからみた隊員の状態であるが、
I)A-H(怒りと憤激)の因子において9月に比べて11月に有意に低かった(p<0.05)。
II)V(活気の因子)において9月に比べて11月が有意に低かった(P<0.05)。
III)F(疲労の因子)において10月、12月が11月に比べて有意に高かった(10月は5%水準、12月は1%水準で有意差が認められた)。
のようであり、CFSI同様2001年12月には全般にやや疲労が高まったことが推察された。
図6 2001年9月〜12月のPOMSテスト結果(特殊救難隊、n=24)