[3]蓄積的疲労度
特殊救難隊員の通常の業務並びに訓練等における精神的側面、身体的側面並びに職場の雰囲気やモラールといった社会的側面の負荷について検討する目的で、蓄積的疲労徴候インデックス(通称CFSI)を用いて評価を試みた。図1は特殊救難隊員の各年度別のCFSIプロフィールである。図からもわかるように、今回の調査ではその平均訴え率は70%ileを越えるような因子は認められなかった。しかし、NF3イライラの状態、NF5-1不安感並びにNF6慢性疲労の因子については基準値を越えていた。
また各年度別の比較では、
I)イライラの状態の因子の訴え率において2001年12月が1999年6月と比較して有意に高かった(p<0.05)。
図1 3年間のCFSIプロフィールの変動(特殊救難隊、n=15) ※p<0.05
次に、比較的高い作業強度を強いられる対象、特に競技スポーツ選手のオーバートレーニングの評価によく用いられる日本語版POMSテストを行い、3年間の全測定に参加した隊員の項目別比較を行った(図2参照)。
図からもわかるように、隊員のPOMSテスト結果に大きな変動は見られず、各年度間で有意な差(5%水準)を認めたのは、
I)D(抑うつ―落ち込み)の尺度2000年と2001年の比較のみであった。
図2 3年間のPOMSテストの変動(特殊救難隊、n=13) ※p<0.05
また、ここでこうした蓄積疲労度の評価を一般化することが可能かどうかを検討する目的で、海上保安庁に属するその他の潜水業務者にも同様な調査を実施し、その傾向を分析した。図3、4がその結果である。
図3、4からもわかるようにそのプロフィールの特徴はやや異なるが、どの項目にも有意な差は認められなかった。
図3 特殊救難隊と一般潜水士のCFS1プロフィール(2001年12月)