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9.考察
 「構造化されたストレスマネジメントプログラム」を実施することによって、介入前に特殊救難隊員に特徴的に観察された怒り・敵意(POMS)、疲労(POMS)、緊張・不安(POMS)、混乱(POMS)、一般的疾患傾向(GHQ-30)、身体的症状(GHQ-30)、不安・気分障害(GHQ-30)といった項目のうち、疲労(POMS)と緊張・不安(POMS)、不安・気分障害(GHQ-30)の改善には非常に効果があることが示された。また、混乱(P0MS)、一般的疾患傾向(GHQ-30)、身体的症状(GHQ-30)についても改善傾向にあった。ただし、怒り・敵意(POMS)については、効果は確認されなかった。活気(POMS)については、高値を示しており、これに対する影響はなかった。
 「構造化されたストレスマネジメントプログラム」を学習したものは、ストレスに関する心理社会的教育のみを受けたものよりも、身体的なストレスの訴えが低下し、不安に代表されるような気分障害も軽減することがわかった。
 今回の介入は5週間に及ぶものであったが、その効果は、介入終了後8ヵ月までは持続するが、それ以降はだんだんと薄れてくるものであることがわかった。
 一般的に健康教育の効果はおよそ6ヵ月が持続期間であるといわれているが、特殊救難隊にも同様のことがあてはまるようである。特殊救難隊員は、日々の訓練や実践でうける心理的・身体的負荷を緩和させるために、「構造化されたストレスマネジメントプログラム」で教育したような短時間で簡便に実施可能なリラクゼーション法の実施を獲得し、継続することが大切である。
 したがって、こういった一連の教育は単回の教育にとどめず、1年に1回程度の間隔で実施していくことが望まれる。ただし、効果の持続期間や再学習の機会を考えると半年に1回といった教育がより望ましいと言える。








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