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(6)介入終了後15ヵ月の時点では(表7)、A群とB群の間に、統計学的な差異は認められなくなった。
表7:介入終了後15ヵ月のA群とB群の比較
介入終了後15ヶ月
  A群 B群
POMS    
抑うつ 9.5±11.5 8.1±9.4
活気 24.6±8.9 27.6±3.1
怒り・敵意 11.0±9.4 9.1±10.9
疲労 7.6±5.7 6.1±5.6
緊張・不安 11.6±5.1 10.4±5.1
混乱 8.6±5.1 9.2±3.7
総得点 66.1±37.9 70.7±32.4
GHQ-30    
一般的疾患傾向 1.4±1.3 1.4±1.4
身体的症状 1.0±0.8 1.8±1.7
睡眠障害 1.3±1.3 1.3±1.1
社会的活動障害 1.5±1.9 0.4±1.0
不安・気分障害 1.2±1.3 1.0±1.7
希死念慮・うつ傾向 0.1±0.3 0.2±0.7
総得点 6.4±4.6 6.2±5.9
HAD    
抑うつ 4.2±3.9 5.0±28
不安 6.6±2.8 7.0±2.9
総得点 10.7±5.9 12.0±4.9
NK細胞活性    
E/T比10:1 23.4±12.0 15.8±8.4
E/T比20:1 39.4±18.9 29.5±15.0
いずれも2群間に有意差なし (Mann-WhitneyのU検定)

(7)次にA群において、各項目のデータの変動を追ってみる(表8)。
 POMSについては、介入前のデータを基準に考えて、疲労は介入終了後3ヵ月、8ヵ月、15ヵ月の時点まで統計学的に有意に軽減された状態でいる。緊張・不安は介入終了後1週間以内から低下し、3ヵ月、8ヵ月、15ヵ月の時点まで統計学的に有意に低下している。混乱についても、介入終了後8ヵ月、15ヵ月の時点で統計学的に有意に低下している。総じてPOMSで評価される指標については、怒り・敵意という項目をのぞいて全体的に低下傾向つまり改善傾向が見られる。
 GHQ-30については、不安・気分障害が介入終了後8ヵ月に有意に低下している。他、一般的疾患傾向、身体的症状について低下傾向つまり改善傾向が見られる。
 HADについては、不安が介入終了後3ヵ月に有意に低下している。 NK細胞活性については、E/T比10:1、E/T比20:1ともに介入終了後3ヵ月、15ヵ月の時点で統計学的に有意に上昇している。介入終了後1週間以内には介入前よりも少し低下しているが、目立った変動ではない。
表8:A群のデータ変動
A群          
  介入前 介入終了後
1週間以内
介入終了後
3ヶ月
介入終了後
8ヶ月
介入終了後
15ヶ月
POMS          
抑うつ 12.3±8.1 11.1±9.0 11.9±9.9 10.5±9.6 9.5±11.5
活気 27.2±5.1 27.0±5.3 26.6±6.5 24.2±7.3 24.6±8.9
怒り・敵意 11.6±5.1 12.5±6.9 14.4±9.1 11.1±7.8 11.0±9.4
疲労 12.3±4.2 10.3±4.1 9.9±4.1m* 8.9±4.3m* 7.6±5.7m*
緊張・不安 17.6±5.6 13.6±5.6m* 14.6±4.9m* 12.2±5.2m** 11.6±5.1m*
混乱 10.3±4.2 9.9±4.3 9.2±3.9 8.6±5.1m* 8.6±5.3m*
総得点 91.2±23.1 84.4±27.6 86.6±28.8 75.4±34.2m* 66.1±37.9m*
GHQ-30          
一般的疾患傾向 1.9±1.3 1.9±1.3 1.4±1.1 1.5±1.1 1.4±1.3
身体的症状 1.4±1.0 1.0±0.9 1.2±1.1 0.8±0.9 1.0±0.8
睡眠障害 1.6±1.1 1.3±0.9 1.3±0.9 1.2±1.2 1.3±1.3
社会的活動障害 1.1±1.4 1.0±1.5 1.0±1.1 1.2±1.6 1.5±1.9
不安・気分障害 1.7±0.5 1.4±1.8 1.6±1.2 0.5±1.0m** 1.2±1.3
希死念慮・うつ傾向 0.2±0.6 0.1±0.3 0.0±0.0 0.0±0.0 0.1±0.3
総得点 7.9±3.7 6.6±3.4 6.4±4.2 5.2±4.0m* 6.4±4.6
HAD          
抑うつ 5.3±3.6 4.5±3.5 4.3±3.1 5.1±4.2 4.2±3.9
不安 8.3±3.0 6.8±3.7 6.3±1.8m* 6.3±2.9 6.6±2.8
総得点 13.6±5.6 11.3±6.1 10.6±4.2m* 11.4±6.7 10.7±5.9m*
NK細胞活性          
E/T比10:1 19.0±9.5 17.7±12.1 28.4±13.6m* 20.5±10.0 23.4±12.0m*
E/T比20:1 30.9±13.9 27.6±16.5 45.7±18.9m** 35.3±16.9 39.4±18.9m*
m*p?0.05 m**p?0.01 (Wilcoxonの符号付順位検定)、(NK細胞活性はT-test)

(8)次にB群において、各項目のデータの変動を追ってみる(表9)。
 POMSについては、介入前のデータを基準に考えて疲労は介入終了後8ヵ月、15ヵ月の時点で統計学的に有意に軽減された状態でいる。緊張・不安は介入終了後15ヵ月の時点で統計学的に有意に低下している。また、抑うつもスコアが下がる傾向が見られる。
 GHQ-30については、一般的疾患傾向が介入終了後8ヵ月で有意に低下している。社会的活動障害も介入終了後8ヵ月で有意に低下しているが、この時点での平均スコア0であることから、何かバイアスがかかったことも想定する必要がある。
 HADについては、抑うつが介入終了後1週間以内に有意に上昇している。
 NK細胞活性については、E/T比10:1は、介入終了後1週間以内から15ヵ月の時点まで統計学的に有意に低下している。E/T比20:1はともに介入終了後介入終了後1週間以内と、3ヵ月の時点で統計学的に有意に低下している。いずれの時期も介入前の値よりも低下している。
表9:B群のデータ変動
B群          
  介入前 介入終了後1週間以内 介入終了後3ヵ月 介入終了後8ヵ月 介入終了後15ヵ月
POMS          
抑うつ 12.1±6.2 15.8±11.0 13.4±7.4 8.6±7.2 8.1±9.4
活気 27.3±3.1 29.6±3.4 27.8±4.0 27.2±3.2 27.6±3.1
怒り・敵意 11.1±5.6 16.7±9.7 12.7±6.5 10.4±5.7 9.1±10.9
疲労 13.1±4.3 13.9±5.5 10.2±3.4 7.9±4.7* 6.1±5.6*
緊張・不安 16.3±6.3 16.1±7.0 15.6±6.9 12.9±4.1 10.4±5.1*
混乱 12.0±2.8 13.3±5.0 10.8±3.7 11.0±2.4 9.2±3.7
総得点 92.0±21.4 105.3±34.0 90.4±23.3 78.0±22.0 70.7±32.4*
GHQ-30          
一般的疾患傾向 2.2±0.7 2.3±1.3 1.9±1.1 1.0±0.5** 1.4±1.4
身体的症状 2.4±1.7 2.4±0.9 2.1±1.6 1.6±1.2 1.8±1.7
睡眠障害 1.9±1.4 1.9±0.9 1.3±0.9 1.0±1.0 1.3±1.1
社会的活動障害 1.0±1.1 1.2±1.8 1.4±1.5 0.0±0.0* 0.4±1.0
不安・気分障害 1.3±1.4 2.2±1.8 2.0±1.7 1.8±1.2 1.0±1.7
希死念慮・うつ傾向 0.0±0.0 0.3±0.7 0.0±0.0 0.1±0.3 0.2±0.7
総得点 8.9±4.1 10.4±4.9 8.8±4.9 5.4±2.5* 6.2±5.9
HAD          
抑うつ 3.7±2.5 6.9±4.6* 5.3±3.1 5.2±2.5 5.0±28
不安 7.4±2.0 8.6±3.7 8.8±2.3 8.0±2.6 7.0±2.9
総得点 11.1±4.3 15.4±7.4* 14.1±4.3 13.2±3.8 12.0±4.9
NK細胞活性          
E/T比10: 1 20.0±9.0 13.9±9.2*** 16.0±8.5* 17.3±9.7* 15.8±8.4**
E/T比20: 1 33.4±15.3 25.8±15.6** 27.9±14.5* 29.9±15.1 29.5±15.0
*p ?0.05 **p ?0.01 ***p ?0.001 (Wilcoxonの符号付順位検定)、(NK細胞活性はT-test)








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