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(3)沿岸国による規制
 わが国自らによる規制は海域に限界があり、しかも費用対効果に慎重な検討が必要であるが、他方、費用負担の要求も現在のところ不可能であるとすると、沿岸国による執行の強化による防止も考える必要がある。
 内水に関する、イの場合、バーゼル条約第9条の定める不法取引にあたるものであれば、締約国に対しては条約第9条3・4・5項の定める義務の履行の要請が考えられるが、不法取引によるものであることの一応の立証が必要である点は、共通の問題である。相手国の領海・排他的経済水域・大陸棚上での投棄である、ロとハの場合は、国連海洋法条約第210条5項の定める、悪影響を受けるおそれのある国への「妥当な考慮」を要請することができる。これは、個別の立証を要せず、一般的な因果関連の蓋然性で足り、それだけ現実的である。公海に関する、ニの場合は、バーゼル条約の不法取引にあたるもの以外は、この面でも難しい。
 適法な投棄の場合のイからニに対応した、関係国の国内法でも違法な投棄の場合である、ヘからリについては、それぞれ対応した同様の措置のほか、領海に関する、トの場合は、海洋投棄規制条約の締約国には、条約第7条2項の遵守の要請、あるいは条約違反の主張が考えられる。また、国連海洋法条約第216条1項(a)・(c)の定める管轄権の適切な行使を要請できよう。排他的的経済水域・大陸棚に関する、チの場合も、国連海洋法に基づく同様の要請ができよう。
 非締約国に対しては、条約への加入を促し、共通の土俵で問題解決を考えられるよう努力するよりほかないであろう。








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