4 バーゼル条約
廃棄物を規制する国際環境条約としては、もうひとつ、廃棄物の国境を越えた移動を規制するバーゼル条約
(5)がある。投棄のためには、その前段階の行為として移動が問題となるから、そこに着目すると、この条約も考慮しておく必要がある。
ただ、ここでも、その対象は、第2条3項によって、複数国が関与する、故意の、越境移動に限定されている。したがって、過失による流出は考えられていないし、単一国からの当該国の管轄する海域から公海までの海域での海洋投棄を目的とした越境移動は対象とされていない。また、適法な越境移動の過程でなされる違法な投棄は、投棄の問題として処理するほかない。